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1998年11月24日 (火)

日本人・アジア人・地球人 トニーブレアとの朝食会

昨日、クリントン大統領が「日本市民との対話」という特別番組に出演するのをじっと見ていた。一国の大統領の見識の深さとそのオープンで率直な受け答えには、大変共感をおぼえた。

その姿は、年初にトニーブレアが来日したときの朝食会のことを思い出させてくれた。ブレア首相も非常にオープンで率直な方である。昨年末に、ブレア首相から朝食会への招待状が届いたときには正直言って、ビックリした。その招待状には、「21世紀を担う若手経営者の方と政治や経済さらには、日英関係について率直に意見交換をする機会を持ちたい」と書かれていた。

僕は、一国のトップと率直に意見交換をする機会を得た。その状況を簡単にコラムに報告する。

<英国側参加者>
トニーブレア首相
在日英国大使
英国航空の社長(財界の代表)
ロールスロイス会長他3名
そうそうたるメンバーだ。(~~;;

<日本側>
ソフトバンク孫さん
HIS澤田さん
アスキー西さん
ボディーショップ木全さん
ワープの飯野さん他5名

良く知った面々だ。(^^)

<朝食会の状況>
1月13日(火)朝場所

(握手・着席)
8:15から朝食会と明記してあったので、僕は8:05頃到着した。英国大使館の方が重々しく見守る中で、英国側の方と一人づつ挨拶をした。握手をしたり、立ち話をしたりしていて、大体一通り挨拶が終わったころにトニーブレア首相が到着(8:28頃)。英国大使館の方が一人一人名前と事業内容を紹介しながら、参加者と首相とが握手をした。僕は、何故だかベンチャーキャピタリストとして紹介された。

握手が終わったころに、席につく。席は、コの字型になっており、コの字の真ん中に首相が座り(一番の上座でした)、その両脇を英国側陣取り、コの字の両端を日本側が座る感じであった(既に座席は指定されていた)。僕は、木全社長と孫さんの横に座った。

(首相・大使の挨拶)
英国大使が先ず口火を切り、挨拶をして、簡単な趣旨説明をした。

「首相は、日本の首相、財界、政府関係者、天皇陛下などにお会いする機会はあるのですが、そればかりでは、飽き足らない様子です(笑)。日本の若手起業家の方がどの様に現況を認識しており、どの様なビジョンを持っているのかを意見交換することにより、英国の今後の方向性を考える参考にしたい。。」

その後、ブレア首相より、日本に滞在しての感想を2,3分で挨拶されました(この内容はありきたりの内容であった)。

(ディスカッション)
首相の挨拶の後、参列者の紹介も無しに、大使が僕らに唐突に以下質問した(僕はビックリした。当然、自己紹介をするものだと思っていたのだが、いきなりのディスカッションだ;;(^^;;)。

「では、早速本題に入りたいと思います。皆さんは、今の日本の経済環境をどの様に考えており、どうすれば日本は良い方向に進んでいくと思いますか?」

「シーーン」と15秒ほど静寂があった(そりゃそうだ。根回しも何にも無いんだもん。誰も英語で答えられる自信は無い)。大使が困った様な顔をして僕らを見ていたので、僕はたまらなくなって思わず手を挙げた(大使は喜んで僕のことを指した。僕は基本的に沈黙には、弱いのだ)。

首相の前でトップバッターで意見を言う機会をもらえた。緊張感があふれる中で、以下の骨子の話しをした。

・今は、産業構造の変革期(資本集約型産業から知識集約型産業へ)。日本の強みは資本集約型の産業では活かされているが新たな知識集約型の産業が未だ育ってきていない。
・競争ルールが変革する中で、そこにバブルの崩壊、資産デフレ、アジア通貨危機、金融破綻が立て続けに起こっているのが現状である。でも、僕は悲観視していない。
・この現状を打破するには、個人個人の頑張りが必要。具体的には、企業家精神(Entrepreneurship)をもって、新たな価値の創造(,Creation)と変革(,Innovation)が行われれば、この現状を打破できる。重要なのは、その環境を創ることである」と3分ほどで手短に説明した。

その後、色々と議論が始まった。でも殆どは英国側の意見だ。未だ日本側は、誰も発言をしようとしない。

暫くすると、大使が次の質問を読み上げ始めた。「英国と日本がどのように連携をとることができると思いますか?」という内容であった。アスキーの西さんが英国からの文化輸入が必要だといったので、僕は再度手を挙げて、以下骨子でまた3分ほど話した。

「グロービスは、実は英国から「教育」という商品を輸入しています。グロービスは、HBSの教材を使い、民間ベースで学校を立ち上げました。(その後簡単な宣伝をした)。グロービスは英国の国立大学のレスター大学と提携して、日本で英国のMBAを発行しています」。
->トニーブレアも「Oh! Leicester」という反応をしていた(ヤッター(^^)/)

僕は続けて、「受講生も英国の教育を喜んでおり、さらに増えることが予想できます。教育を通して日英間の文化的交流がはかれるのは、非常に好ましいことである」と締めくくりました。

英国側の受けも非常に良かった。

この時点で、僕はしゃべり過ぎかと思ったので、後は自嘲しようかと考えた。その後、孫さん、木全さんなどが色々と発言された。

そして、大使が質問を変えた。「日本の政治の現況をどう思い、どうすれば良くなると思いますか?」

僕は、これはチャンスと思い、さっと手を挙げて、以下答えた。
”The easiest way to answer your question is to impoort Prime Minister(Tony Blair) into Japan”

この答えには、日本側・英国側とも「どっ」と受けた。それからは、非常に和んだ雰囲気で、朝食会が進んだ。

最後の首相の挨拶の後で、参加者が立ち上がったときに、ブレア首相は真っ先に僕に握手を求めてきてくれた。大使からは、「口火を切ってくれてありがとう」と言われたし、英国側の参加者からもお褒めの言葉を頂いた。大使館関係者もほっと肩の荷が下りたという感じであった。

最後に気がつくと、結局日本側参加者の他4名は結局一回も発言してなかった。

僕は、英語で、英国首相の面前でのディスカッションをうまく行えたことをすごく嬉しく思っていた。普段から、YEO関係で英語を使ってリーダーシップを発揮したり、英語のスピーチやパネルディスカッションにも積極的に参加していたのが、非常に良かったのだと認識している。やっぱり、グロービスの教育ではないが、普段からケースディスカッションで訓練していると強いな、と思った。

この時のブレア首相の姿勢と米国のクリントン大統領の受け答えに共通点があると思った。お二人とも、とても率直でオープンであり、非常に親しみやすい。やはり、こういうトップがいると、国は繁栄するのであろう。

日本も徐々に変革しているので、10数年後には、こういう資質を持ったリーダーのみが日本のトップになる時代も来るのかもしれない。或いは、もっと時間がかかるかもしれないが、少なくとも僕らは、リーダーにそういう資質を求め続けることを諦めては、いけない気がする。常に、明るい希望を持ちながらも、自らもがそのリーダーとなるべく、各自が努力をすれば、21世紀も更に良い時代になる気がする。

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