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2000年10月20日 (金)

経済・経営 日はまた昇る(パート2)

先日、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のDean(学長)にお招きを受けて、夕食会に夫婦で参加した。とても光栄なことである。冒頭のスピーチでDeanをこう言われた。

これから日本にリサーチセンターを開設し、しかもエグゼキュティブ向けのグローバルリーダーズプログラムも日本でスタートさせる。ついては、日本の卒業生に集約、 知恵の提供、そして財務的な手助けをお願いしたい。We need your helpである。

ふと、3・4年前に同じDeanが日本に来たときのことを思い出した。

確かDeanは、リサーチセンターは香港につくり、エグゼキュティブプログラムはシンガポールに拠点を置く、と。そのときに、日本の卒業生より、「日本におく必要はな いのか?」、という質問に対して、Deanは、「必要ない」とキッパリと切り捨てた。 数多くの日本人の卒業生からいかんともしがたい落胆の声があがった。いわゆる、ジャパンバッシングを過ぎてジャパンパッシングが行われていたのである。

今、HBSを始めとした数多くの有識者の間では、日本が注目を浴びている。その理由として以下が考えられる。

1)アジアに進出してみたものの、アジア経済危機が発生してみると、アジアの経済の力がある程度見えてきて、過大評価を修正し始めたこと。 2)日本のテクノロジーがかなり優位になっている分野が見え始めている(前コラム 「日はまた昇る(パート1)」をご参照ください。

現実に、UBS、MorganStanleyなどのトップの方々と意見交換すると、今は日本シフトに変えており、優秀な人材も全て日本に呼び戻していると。

多くの日本人からすると、90年代にされてきたジャパンパッシング、さらには日本への冷淡な目や無視というジャパンパッシングは、相当心の底まで悔しい思いとなって 染み込んでいると思われる。僕自身も、97年の5月のHBSのアルムナイコンファレンス での、日本を完全に軽視したパネラーやスピーカーの文言、さらには98年のマレーシアにおけるYEOコンファレンスでの、駐マレーシアの米国大使の発言はいまだに良く覚えている。数年にわたって日本人として悔しい思いをしてきた。恐らく、僕以外の 方々も同様の経験をしたのだと思う。

考えてみれば、この無視されている状態は、もしかしたら都合が良いのかもしれない、と正当化もしてきた。海外で起こっていることは、全て日本に入ってくるし、一方 では、日本の状況は、知られなくて済む。説明の必要もないし、静かで快適でもある。 このままほっといてくれと思ったりもするが、残念ながら(?)、日本の強さを再認識している方々が現れ始めている。

ただ、、日本のことをこれだけ軽視していて、"We need your help"はないだとうというのが、多くの方の率直な気持ちではないだろうか?でも、"やっとわかってくれたか"という気持ちもある。

一方、見直されつつあることは、今後さらに経済的に政治的にもプレッシャーが高くなることでもある。

先日、ルーセントと日本企業との合弁会社の清算がひっそりと小さい記事で書かれていた。なんと、遠い(?)昔に、日本の半導体が圧倒的に強かったころに、米国政府の圧力に屈してつくった、20%の輸入割当を実行するための政策会社だったという。 そういえば、そういう時代もあったな、というのが正直な感想である。90年代に米国が強くなっても、日本政府な何ら米国に圧力をかけなかった。僕は、これはこれで健全だと思う。

少なくとも、たとえ日米の最逆転があっても、日本の政府は、米国の圧力には、屈してほしくないと思う。

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