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2001年6月 3日 (日)

個人 10th Year Reunion at HBS -HBS同窓会報告-

バーバードビジネススクール(HBS)の同窓会は、卒業後5年周期で5月末から6 月初に3泊4日で開催される。

初日は受付とレセプション
2日目が教授による講義と夜のセクションメイトとの同窓会
3日目が講義やパネルディスカッション、学長のアワード授与及びスピーチ。夜がブラックタイのパーティー。
そして4日目にブランチがあり、解散である。

今回は、10周年の同窓会である。卒業後早くも10年である。早いものだ。
今回のリユニオンの僕の興味は以下3つである

◇10年たって、皆どう変ったのか?
◇この同窓会のプログラムのファカルティ-プレゼンテーションの中身そのもの
◇そして、グロービス・マネジメント・スクールを日本No.1の「経営大学院」にするためにHBSのアルムナイサービスから何を学ぶかである。

木曜日にシカゴ経由でボストンに入る。シカゴで荷物をピックアップして税関通過して、再度荷物をチェックインしたがボストンで荷物が届かない。やれやれである。アメリカの空港オペレーションのレベルは低いことは理解できたが、カスタマーサポートがここまでひどいと辟易する。夜はレセプションがホテルで開かれるのだが、この荷物騒動と日本とのメイルの交信に時間を割いてパスすることにした。

翌朝バスにのって、HBSに向かう。一日かけて4コマ(午前中2つ、午後2つ)のファカルティ-プレゼンテーションがある。一コマに10名以上の教授がそれぞれの分野の最先端の研究を披露する。僕ら卒業生はどれでも選べることになっている。したがい、40以上の教授の中から4つを選び出す。これが、結構楽しみなのである。

今回のプレゼンテーションの特徴としては、インターネット、ベンチャー・キャピタルやベンチャー関係がやたらに多かった。僕は、折角の機会なので、4コマ目を除いて、普段聞けない内容の講義を選ぶことにした。

一コマ目は、Activity Based Costingで有名なロバート・カプラン教授にするか悩んだ結果、今話題のDisrupted Technologyのクレイトン・クリスチャンセン教授の"When Good Management Can Hurt Your Company" をきく。真新しい内容ではないのだが、要はボリュームゾーンの顧客の期待を越えてハイエンドの顧客をターゲットにして、企業がプロダクトを高品質・高価に進化しつづけると、必ず革新的な非連続的(Disrupted)な手法・技術を採用する参入者が現れて、低コスト・使い勝手の良さ・ 同等品質を武器に、顧客のハートをつかみ、既存企業を駆逐していくことを研究した 内容である。事例としては、メインヌレーム対パソコン、高炉対電炉、昔のソニーを 中心としたトランジスタ対真空管、デパート対スーパーなどを上げていた。そして、 最後の事例として、既存ビジネススクール対新たな参入者という内容で説明していた。 僕が3月にHBSに行った際に、皆に言われたのが、HBSの最も脅威となるのが、新たな 手法で顧客を獲得しており、プラクティカルなクラスを提供しているグロービス・マ ネジメント・スクールのような学校であろう、と皆から言われた。示唆に富む講義であった。

2コマ目は、ラーニングオーガニゼーションで著名はデイビッドガルバン教授の"Put ting the Learning Organization to Work"を選ぶ。グロービス・オーガニゼーション・ラーニングという企業向けの経営開発カンパニーを持つ立場としては、是非とも聞きたい内容である。「商品・サービスは真似される。しかも経営や技術も他からの取得は容易であるとなると、最後の競争優位の源泉は、組織のラーニングのスピードであって、これが最後の競争優位の源泉になる」。という冒頭のリマークの後、如何に してラーニングオーガニゼーションができるかを説明していた。内容は割愛するが、 グロービスの今年の目標の一つが全員がCLO、つまりChief Learning Officerになるこ とであので、別途会社の中で勉強会をしたいと思っている。

3コマ目は、ロバートシモン教授の"How High Is Your Return On Management(ROM) "である。カプランと同じ会計畑でありながら、財務指標(ROEなど)よりも今は、ROMであると主張している。「今の会社の最も足りない資源は何かというと、資本力でもなく、技術力でもなく、研究開発でもなく、それは経営者の資源(時間とエネルギー)である。それらをを如何に最大化するかがポイントである」とパンフレットに書いている。腹にストンと落ちる案内文なので、他の人気クラスをやめてこちらを受講する ことにした。こちらの内容も別途勉強会で。

最後の4コマ目は、"Opportunities and Challenges Facing Professional Service Firm Leaders"と "Software Development in the Internet Age"を梯子した。

一日びっちりと最新の研究内容をきき、帰りのバスの中でクラスメートから参加できなかったクラスに関する情報を学ぶ。これを5年前のリユニオンで行い、これで5年間のギャップを埋め合わせたという安心感とともに、ホテルに一旦戻る。

夜は、同じセクションの仲間との同窓会である。HBSでは、「セクション」というクラス制をとっており、1セクションが90名で全部で9つあるから一学年800名程度の学年構成である(たまたま我がセクションのみ80名である)。このセクションが1年目の全科目を同じクラスで同じ席で受講し続ける。2年次も必修科目で一緒になる。HBSのハードな環境で、勉強し議論し続けるから、まさに苦楽をともにする仲間(セク ションメイト)という関係になる。

皆、HBS時代からの彼氏・彼女と結婚しているため、皆家族ぐるみで仲が良い。夜は、そのセクションの仲間のみのが集まる会となる。僕らのセクションでは、ダンというセクションメイトの好意で、ダンの「豪邸」で開催する(この家が凄いのだ)。ダンは、サミットパートナー、CMGI、そして自らのキャピタルを創った人間で、90年代後半のバブル景気を謳歌しつつ、昨年豪邸に引っ越してきたらしい。

パーティーには、皆が夫婦同伴で思い思いにかけつけた。10年のギャップを埋め合わせるために、ドレスコードはハワイアンである。到着するなりトロピカルドリンクと花輪での歓迎である。家の中にはレゲエバンドが入っており、中庭には仮設テントがあって、そこで食事をした。

久しぶりのセクションメイトと一緒に夜を過ごして、トロピカルドリンクを片手にし ながら、レゲエミュージックに合わせて踊っていると、10年前のパーティーにタイ ムトリップした感覚になる。皆、そのまま10年歳をとっているが、皆殆ど本質的に は変っていない。ただ、社会的なポジションと資産を確実に手にしつつある。面白い と思ったのは、皆だいたい3人ぐらい子供を持ち、ライフスタイルが一番最重要課題 になっていることである。子供がいるから家を変えた、出張の頻度を下げた、ファミ リーのためにもっと自由な時間が使える職場に変えた等である。

職種的には、当初コンサルティングや投資銀行がやたら多かったのが、10年経つと 一番多いのは、ベンチャーキャピタルやバイアウトなどのプライベートエクイティー 投資の世界である。半数ぐらいがそうである感じがする。これも米国のバブルが崩壊 したばかりなので偏っているのであって、5年後にはかなり違っている気がしている。 次ぎに多いのが、コンサルティングなどの個人所有の会社である。事業会社に長いこ と務めている人も意外に多いい。GMやエンロンの人もいた。

セクションメイトで3,4名は、ベンチャーに挑戦したが、売却などして、今はコン サルティングやプライベートエクイティー関係に転じている。恐らく、もうチャレン ジはしなさそうである。やはり、ベンチャーはエネルギーレベルが高い若いうちにす るのがベストであろう。

良く質問されたのが、「まだグロービスにいるの?」という質問である。米国人はす ぐに会社を売ってしまうので、そういう発想になるらしい。僕は、その都度「一生、 グロービスとともに生きていくよ」と答えることにしている。これだけ楽しいものを 売却する(やめる)ということは考えられないことなのである。しかも未だ始まった ばかりである。
アメリカの「成功」の尺度は、どうもお金中心になっている気がしている。仕事やキ ャリアはそのための手段であり、お金があればライフスタイルも自由になりやすいと 思っている。

さて、5年後は、皆どう変っているのだろうか?

-GLOBIS社内ML"わいがや"より

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