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2003年1月 6日 (月)

組織人 新年の挨拶

経営のトップを長年勤めていると、年末・年始には何を新年の挨拶で喋ろうかと、考えつづけることになる。この年末から、例年の慣行どおり、一年を振り返り、新年の挨拶を考えて、それをプレゼンテーションにまとめる作業に終始した。

過去の挨拶を振り返ってみると、2001年は新しい世紀ということで、グロービスの経営を離れて広い視野でこれからの世紀はどうなるのかを考えてスピーチを組み立てた。2002年は、グロービス10周年ということで、過去10年間を振りかえってみて、これからの10年間どういう気持ちでのぞむべきかを考えた。そして、今年は、2003年である。特に世紀の変わり目でも無いし、記念行事も無い。何を喋ろうかと思案にくれた。

先ずは、過去に喋ってきたことを振り返ってみた。大体過去の挨拶をまとめてみると、以下内容を喋ってきていた。

■個を活かした良い組織の構築
■心をこめたコミュニケーションの実施・強化
■グループ全体のメリハリのついた戦略の遂行とシナジーの強化
■スピード
■グローバルに考える

それぞれの言葉には、思い入れがあるのだが、今年はちょっと趣向を変えてみたかった。「今年の方針はこうだ」などと大上段に構えたスピーチはどうもする気になれなかったのである。今年は、今まで考えもしなかった視点で喋ってみたいと思っていた。「何を喋ろうか?」、と年末よりずっと考えつづけた。

「行く年来る年」を見ながら、なぜかふと思い出したのが、グロービスのイヤーエンドパーティ(忘年会。略してYEP)での余興に使った社内アンケートのことであった。
グロービスのYEPでは、いつもハチャメチャになって深夜まで遊ぶのだ。僕は、過去10年間YEPで酔っ払わなかったことがなかったと思えるほど、いつもハメをはずしてしまう。

そりゃそうだと思う。ベンチャーとしてゼロから創業して、いつもギリギリのところで踏ん張りながら、全速力で1年間を120%の力を出し切り、年末を迎える。その最後の打ち上げである。その夜は、例年無礼講で、皆深夜まで延々と、クラブ・ディスコ・カラオケ・バーなど思い思いのところで、遊びほうけるのである。そのYEPのあとで、グロービスの社内で実施した、アンケートの結果を知った。

そのアンケートとは何かというと、ほとんど遊びの余興であるが、簡単に説明しよう。アンケートは、グロービス社内で、「一番机が汚い人は誰?」「一番声が大きい人は?」「一番濃い〜顔の人は誰?」という質問を事前に書き込み、それを集計したものである。そのアンケートをYEPで、グループに分かれて当て合うのである(おそらくテレビ番組の「100人に聞きました」のノリだと思う)。その質問の中で、「グロービスで一番宇宙人な人は誰?」という質問があった。

その質問は、YEPでは題材にならなかったのだが、3次会の酔っ払って頭がフラフラする中でその質問の結果を何気なく見せてもらった。ビックリしたのが、何とその一番は、僕だったのである。「一番の宇宙人?何で?」と、朦朧とした頭で考えて、ろれつが回らないながらも隣に座っている人にその理由を聞いてみた。すると、「何を考えているかが皆わからないからじゃないの」と、つれない返事が返ってきた。誰にきいたかも覚えていないが、酔っ払いながらも、そのことは頭の隅に残っていたのであろう。でも気にせずに、朝5時過ぎまでクラブで踊りつづけていた。

除夜の鐘を聞きながら、ふとそのことを思い出していた。「そうだ。今年は、宇宙人と言われないために、新年のスピーチは、徹底的に僕が考えていることを全部さらけ出してしまおう。僕が描いているグロービスの将来の姿を皆にわかりやすく伝えよう。そうすれば、僕の考えていることが皆にも伝わり、一言一言の意味を理解してもらい、宇宙人といわれることもなくなるのではないか?」、と思いついた。

そこで、新年の挨拶は、以下タイトルで実施することを決めてスピーチの中身を考えることになった。

「宇宙(?)からのメッセージ。2012年のグロービスの姿」

山小屋にこもりながら、このタイトルをパワーポイントに書き込んで、少しづつ絵を描き始めた。

■2012年には、グロービスは、ビジネススクール、企業内研修、出版・コンテンツ、VC、人材紹介、全ての事業ドメインにおいて質・規模ともNo.lの評価を受けている。
■GMSは、欧米の信頼できる機関よりMBAの認証を受けている。
■東京、大阪に加えて、名古屋、福岡にシティーキャンパスが設置されている。
■山の中にフルタイムのキャンパスの建設が進み、アジアからのフルタイムの学生を招致し始めている。
■クラスは、日英双方の言語で実施されている。 等々・・・

そして、これらの結果、どのように社会が変わっているかもイメージし始めた。

■GMSによって数多くの「創造と変革の志士」が輩出され、日本社会をポジティブに変革している。
■グロービスが提供するビジネスインフラによって、数多くの日本の将来を担う企業群の創出をしている。第二のソニー・ホンダは、グロービスの周辺から生まれている。
■日本産業の復活!グロービスがつくる日本型シリコンバレーの構築。 等々・・・

山小屋で夜中にこれらを考えて、パソコンに打ち込む。未だ明確に描ききれないところは、残しておいてその次の日に考えつづけた。昼間に子供と一緒にソリやスノーボードをしながら、ふと思い浮かんだことをメモして、夜にパソコンで打ち込む。
今年の正月は雪深いので、雪かきをしながらもいろいろと思いつき、そのイメージをパソコンに打ちつづけた。そういう日々を正月に過ごし、初出社の前日に資料は完成した。

1月6日(月)の初出社の日に、新年の挨拶に挑んだ。ワクワクする。
結果は、上々であったように思えた。
それよりも、僕自信を一番明るくしたのが「僕らの力で日本の産業を復活させることに大きく貢献できる」ということがわかったことである。
しかし、それを実現させるためには、ファカルティーの皆様、受講生、クライアントの方々のご協力無しにはありえない事である。グロービスの大切なステークホルダーの方々と力を合わせ心に描いた10年後の姿を現実のものとする為、より一層の努力をしていきたい。

新年早々、新聞紙上などでは、ネガティブな報道や論評も聞こえてくるが、僕はこの2012の姿を描ききったことによって、今は日本の将来に関してはとても前向きに、考えることができている。10年後には、日本は、必ず競争優位を取り戻し、また新たなダイナミックな産業活動をしていることになっていると思う。僕らの努力によって、そうなることがわかった(?)ことで、年明けからとても陽気にワクワクしているのである。

コラムの読者の方々にも時を見つけて、僕の考えている2012年の姿を共有化したいと思う。
今年も皆さんにとって、良い年になりますように。

2003年1月6日
グロービスで一番の宇宙人の
堀義人より

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