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2004年12月21日 (火)

組織人 『人生の座標軸』出版記念パーティ

『人生の座標軸』の発売日が確定した2004年11月末に、ふと「出版記念パーティを開催してみようか・・」と思いついた。「コラムの読者や受講生に案内を出して、希望者を募ってみよう。グロービスの1Fの大教室2つをぶち抜けば、200名近く入るかもしれない。とりあえずやってみよう」。

ということで、11月29日の月曜日に、案内を出した。すると、3日も経たないうちに、200名以上のお申し込みがあり、満員御礼ということで、受付を締め切ることとなった。

「これだけ好評ならば、グロービスの学校がある大阪と名古屋でも開催しよう」と急遽、二都市での開催も決まった。12月13日(月)に東京で講演会&パーティを開催し、2日後の15日(水)に大阪でも同様に行い、翌年の1月18日(火)には名古屋で開催することにした。

『出版記念パーティ』とタイトルをつけながらも、同時に講演会も開催することを失念していた。「何を話そうか・・・」といつものごとく直前まで、準備はしていなかった。師走の忙しさも手伝ってか、平日にはじっくりと考えられない。週末の軽井沢で家族が寝静まったあと、パソコンで原稿を作成しはじめた。


『人生の座標軸』出版記念パーティ

東京・大阪・名古屋
2004年12月・2005年1月

グロービス・グループ
グループ代表 堀義人

と先ずはタイトルを打ち込み、暫く考えた。‘出版記念講演なので、本の文章の一部を紹介し、書いた思いを伝えることにしよう‘と思い、文章を選び始めた。

■出版をしようとした理由(はじめにより)

--「自分とは何か?」というのは、とても難しい問いかけだ。僕の場合には、堀義人という一個人である。僕の両親にとっては子供であり、結婚した後には妻にとっての夫となり、子供でできたあとでは父親になる。社会人としては、グロービスという組織の代表を務めるとともに、一日本人である。更に言えば、一アジア人でもあって、一地球人でもある。

どの役割が一番重要というわけでもなく、それぞれが自分という人間が果たすべき役割なのだと思っている。ただ、父親としで子供に接する自分と組織の代表としての自分は、実は全く違う人間ではないかと思うほど、違う表情と言動をすることになる。そのギャップに触れるに連れ、僕は、これらの様々な自分を「座標軸」という切り口で意識して分類する必要性を感じてきた。--

■人生のバランスとプライオリティ

--僕の場合には、欲張りだから全ての座標軸で、思いっきり人生を楽しみたいと思っている。世の中は楽しいことばかりである。おいしいものを食べたいし、いい音楽を聴き、美しい絵に触れたいと思う。家族人としては、休みになると子供達と一緒に外で、思いきってサッカーしたり、一緒にテニスをしたい。

組織人としては、強い使命感を持ち、社会の創造と変革を促すために、良い仲間とともに、明るく楽しく前向きに生きていきたいと思う。世界レベルでは日本人・アジア人として発言し、世界共通の議題に関しては、地球人として世界全体にとって良いことを志向したいと思っている。

せっかく生まれてきた一度しかない人生、なるべく多くのことを実現したいと思うのが、自然な考え方だと思う。ただし、時間が限られているし、能力的にも立場的にもできることにも限度があるので、できることは自ずと絞られてくる。--

そして、座標軸1の個人、家族人、組織人、日本人、アジア人から、座標軸6の地球人まで、言葉を選び終わった。最後に後書きから以下を抽出した。

■おわりに

--「一隅を照らす」この言葉が好きである。その個々人が成し遂げることの大小よりも、自らが与えられた環境の中で、精一杯に生きているかどうかの方が、重要なのだと思う。精一杯に一隅を照らしつつ、その集合体が地球全体を明るくしていく。その中で自らの使命を認識しながら行動をしていく。そして、そのプロセスの中で多くの方々と出会い、高め合いたいと思う。そのエクサイティングなプロセスを、良い仲間とともに、明るく、楽しく、前向きに進めていきたいと思う。一日一日、見えてくる新たに風景に、感動しながら。--


ここまで、一挙にパワーポイントを作成し終えた。翌日の日曜日に山を降り、月曜日の講演会兼パーティに臨むことにした。

12月13日月曜日19:00からはじまる東京での出版記念パーティには続々と来場者が集いはじめてきた。受講生や講師の方々、お世話になったクライアント、そしてグロービスを一緒に作ってきてくれたグロービスのOBの方も来てくれていた。何と、僕の両親もコラムの案内を読み、勝手に申し込み、来てくれたのだ。華やかな祝賀会の雰囲気が醸し出されつつあった。

そしてスピーチが始まった。簡単なジョークから始めることにした。

「『「帯だったら写真を出してもいいよ』と講談社の編集担当に妥協して言ったものの、こんなに帯が大きくなり(本の半分の大きさ)、しかも写真がこれだけ大きくでるとは予想もしていなかったです。(^^;;(^^;; 帯だったら、写真も小さいだろうし、すぐに破れて取れてしまうだろうと考えたのが甘かったです。これでは、当面本屋さんに近寄れないかもしれない(笑)」。

「サブタイトルの『起業家の成功方程式』は、出版者の方が付けたのです。正直言って、起業家の成功方程式のことは一切書いていません。書かれているのは、あくまでも人生の楽しみ方だけです(笑)」。

なごやかな雰囲気の中でスピーチを終え、懇親会に移った。なるべく多くの来場者と一人一人と話をしようと、所狭しと歩き回り、挨拶をした。これだけ多くの方に出席してきてもらえて、とても嬉しかった。そして最後の一人を見送り、東京での出版記念パーティを終えた。2日後に開催された大阪のパーティも和やかな雰囲気の中、無事終了した。

一方、本の売れ行きは好調なスタートを切っていた。グロービスで僕が講師を務めるコースの受講生であり、且つYEO(Young Entrepreneurial Organization)のメンバーでもある増永寛之氏が自身の会社で発行している経営者向けのメルマガ&WEBサイトの『プレジデントビジョン』で紹介してくれた効果も大きかったのであろう。


発売開始1週間でいきなり、アマゾンの和書ベストセラーランキングで38位に入っていた。アマゾンの場合には、瞬間風速で上がり下がりするので、なんとも言えないが、まずまずの出だしであった。

どのようなご批判を頂けるのかも楽しみだ。スピーチの最後に話したことを紹介して、このコラムのエンディングに代えさせてもらおうと思う。

--『本を書いている』と言うと、『本は、そもそも成功者が引退してから書くものだろう』とのご意見をもらうことが多い。僕は、自分のことを成功者だと思っていない。そして引退する前の若造が書いてしまっているのである。ご批判ももっともである。僕は、いつもこうお答えしている。『もしも60〜70歳まで本の執筆を待つことにしたら、同世代の方々も60か70になってしまう。そうなると同世代は、同世代からは刺激を受けずに、先輩方からのみ学びを得て、人生が終わってしまう可能性がある。僕の本が刺激を与えるほどの良い本であるかどうかはわからないが、ただ一つ確実に言える事がある。それは、著者が信じてきて、そして行動してきた考え方や理念が現在進行形で書かれている事である』。

評論家が書いていることに僕は満足しないことが多い。なぜならば、その方々がそのような行動を取っていればいいのか、が往々にして違う場合が多い。それよりも、実際に全力でぶつかって生きてきた人間が、感じたこと、思ったこと、学んだことを知りたいと思う。この本では、その考え方に基づいて、僕が見てきた風景や考え方を、そのまままっすぐに書くように努力をしてきた。全てが僕が考えたことである。

その学びや経験が必ずしも読者の皆さん全員に評価頂けないかもしれないが、本を書いて残すことは、読者にオプションを与えることになる。読者には、読まないというオプションがあるし、つまらなかったら、捨てるなり焼くなりしてもらえばいいと思う(笑)願わくば、少数の方で良いので、読んでいただき、何らかの示唆を与えることができたら、幸いである。ご静聴ありがとうございました。」


2004年12月19日
自宅にて
堀義人

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    受信 : 2004年12月29日 (水) 10時36分

コメント(1)

  • 初めましてミキチと申します
    LRの増永さんのメルマガで堀社長の本を知り早速購入して読んでおります
    本を通してですが、堀社長のお人柄がすごく好きになりました
    素直で、正直で、楽しむことが大好きで、お優しい方なのだなあと思いました
    あははっと声に出して笑いながら読んでおります^-^
    今後もブログ楽しみにしております

    投稿者: ミキチ

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