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2005年8月 9日 (火)

家族人 ルールとマナー〜子供の躾(しつけ)を考える

今、社員旅行兼家族旅行で、沖縄に来ている。今年の社員旅行の場所は、3回目の沖縄である。羽田空港から飛べる国内旅行と限定をして、社員が行き先を投票すると、沖縄と北海道が隔年で選ばれることになる。
※参照コラム:「社員旅行が楽しい!?」「グロービス豆知識(その2)〜社員旅行はどうして始まったのか?」

今年のパーティーは、ハイサおじさん、エイサーの太鼓、そしてマツケンサンバで盛り上がった。パーティの後 、僕ら家族は、社員旅行から家族旅行にモードを切り替えていた(グロービスの社員旅行は家族同伴OKなのである)。 旅行参加者もほとんど帰ったあとの3泊目の夜、沖縄のホテルの大浴場で、ある親子連れと遭遇した。

大浴場には、子連れの親子がいた。子連れとは言っても、子供は中学校一年生ぐらいの背丈はある。その子供が、湯船でタオルと白い布を投げて遊んでいた。子供は立ったままタオルと白い布が何度も湯船に投げ入れているのだが、父親は注意する気配がない。

僕の次男が、タオルを湯船に入れそうになっので、「タオルを湯船に入れてはいけない」と、僕はあわてて大きな声で注意した。すると、その注意を聞いていたその子供はタオルを湯船に入れて遊ぶのをやめた。だが、今度は白い布を入れて遊んでいる。父親は、近くにいても注意をしない。

僕は、気になったので、注意をすることにした。

僕「その白いのは何?」
子供「シップです」
僕「シップを湯船に入れては駄目でしょう」
子供「すみません」
・・・父親だんまり。

僕は、「親なんだからしっかりと注意してよ」という言葉を発しようと思ったが、思いとどまりその言葉を飲み込んだ。ちょっと気まずい雰囲気が流れていた。僕は、サウナに入って、自分がやったことが正しいかを自問してみた。考えてみても、「やっぱり注意してよかった」、という結論にしか達しなかった。

そのとき僕は、ソウルのお風呂場での出来事を思い出していた。8年ほど前に、僕がソウルのホテルの湯船に、体を流さずに入ろうとしたときに、韓国人のおじさんに韓国語で叱り付けられた。僕は、すかさず体を湯船の外に出して、湯で体を流して入りなおすことにした。僕は体を洗っていたので、本当は再度流す必要は無かったのだが、このときに日本の古き良き風習でもある、「マナー を社会全体で守る」という事が韓国にも残っていることが、わかった。僕は、注意されたことにいやな気がするどころか、感心をしていた。

そして、今回のできごとである。「僕は、 ひとに注意できるほど偉い人か」と自らに問うと、「そうではない」、という答えしか自分には返ってこなかった。まだまだ人格もできていないし、徳も足りない。でも、やはり自分が気がついた時には、しっかりと注意すべきだという結論には達していた。自分勝手だと思われるが、誰かが社会全体の公衆マナーを高める努力を始めなければならないのだ。

僕は、以前からルールというのはあまり好きではなかった。ルールは場所や国によって変わってくる。決める為政者や権力者によって定められている。

ルールと言うのは堅苦しいので、グロービスでは、ルールを最低限にして自主性を尊重した、「自由と自己責任原則」としている。ルールや社会常識というのを打ち破るのが、ベンチャーだと思っているので、この自由奔放さが重要なのである。だが、ベンチャーだと言っても、マナーを無視してはいけないのである。

マナーとは、為政者が決めたわけではなくて、社会全体で作り上げてきた規範のようなものである。しかも、万国共通なのだ。遠い昔、明治維新後に日本の武士が米国訪問した際に、日本人のマナーの良さが語り草になったという。良いマナーは、国や文化、言語を超えて、人に好感を与えるのである。

子供達には、ルールよりもマナーを重視した教育をしたいと思っている。マナーとは、礼儀である。これがしっかりとできないと、いくら能力が高く、スポーツができたとしても、人間としては失格である。

この躾(しつけ)をキチンとする、という事は、どの親も感じると思うが、骨が折れるし、気持ちが良い作業ではないのである。食事中の姿勢、挨拶、言葉使いなど、常に注意をし続けなければならないからだ。この注意をする作業が、小言を言っているようで嫌になることがあるが、これは彼らのためになると思い、やり続けることとしたい。

家族旅行で、24時間子供と接することができるので、 良い機会だと思いつつ、なかなか目が行き届かない現状に多少の苛立ちを感じる。こういうのは、粘り強くやっていくことが重要なのだと、自分に言い聞かせる。

明日の夕方から台風が近づいているというので、予定を一日早めて帰国することとした。沖縄の白い砂と青い海とは明日でお別れである。近くで寝ている子供達が風邪を引かないように、布団掛け直してあげた。こうして、ゆっくりと沖縄の夜が過ぎていった。


2005年8月2日
沖縄のホテルにて
堀義人

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コメント(8)

  • 不登校社長の日々思うこと  http://lazy86.blog12.fc2.com/
    のLazyです。
    当ブログの記事、「正義って何だろう?」
    http://lazy86.blog12.fc2.com/blog-entry-61.html
    にTBして頂きありがとうございました。
    子育ては本当に難しいですね。

    投稿者: Lazy(不登校社長の日々思うこと)

  • いつも楽しく読ませて頂いてます。
    最後の文章の帰国と言うのは、帰京の間違えでしょうか?
    つねに海外に出かけていらっしゃるので、
    どこかに飛行機を使って移動するときに、
    思わず帰国と言ってしまうお気持ちは、よくわかります。
    僕も同じ事が何度もありました。

    投稿者: 山田 健太郎

  • 日本人のマナーの悪さ、つくづく実感します(涙)言える社長がうらやましいです!
    考えてみたら、私は子供は好きですが、しつけができるかと言うと自身がありません(ドキドキ)。子供が子供を生むとはよく言ったもので・・・まさにですよね。
    ただ、「子供と成長する」っていうのもいいかなと思ったりする今日この頃です。

    投稿者: とまと

  • TBありがとうございます。グロービスの社長さんからのTBとは驚きました。 「躾」と「子供の自主性をどう育てるか」に父として難しさを感じます。

    ウチは共稼ぎですので、母親が子供と接する時間が少ない。カミさんは「子供の目線で」を強調するのでどちらかというと甘くなり勝ち。カミさんと私の力関係が5分5分、いや、カミさんの方が強いか。。したがって母親と父親の「文化」の違いが、子育ての不統一をもたらしているようなのですが、まあ、とりあえず、「子供が自分で気づく」ようには躾いていきたいところです。

    また、ブログを拝見に来ます。

    明日から夏休み家族旅行です。

    投稿者: スーパーTS

  • TBありがとうございました。
    新米パパなのですが、最近のマナーの悪い人の多さに憤りを感じております。
    大人でダメな人が多いので、その子供はいいはずがないですよね?!
    うちの息子は、そうなってほしくないので、きちんと親として接していきたいと思っています。
    今後、ブログを拝見させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします^^

    投稿者: しんくん。

  • 愛読者の一人です。。
    私は外国に住んでいます。こちらに短期で来ている
    日本人家族が多いのですが、まず(私も人に事は言えませんが)
    子供のマナー悪さが凄く目に付きます。面白い事に、
    日本人妻と外国人夫の子供でもマナーの悪い子供も多い。。。
    親は口癖のように止めなさい!の連発、でも子供は
    まったく分からない。。私は自分の娘にも止めなさい
    と言いますが、プラス止めさせる理由も言います。
    他人様に迷惑をかけない様、簡単な理由を言ってあげれば
    子供も分かってもらえると思うのですが。。。

    投稿者: カンガルー

  • TBありがとうございます。はじめまして。
    私の記事の反論の意味のTBなのか、ちょっとつかみかねてしまいましたが
    記事をよんでいたただきありがとうございます。
    子育ては社会全体で考えるといった意味では
    注意してわかる子どもにはどんどん他の大人の注意は
    するべきだと思いますし、それだ本来の大人の姿であるべきだと思います。

    投稿者: デイジー

  • はじめてコメントいたします。

    マナー、ルールに関しては、
    私自身が秘書関連やビジネス実務関連の仕事を
    しているということ、また母親として、
    さまざまに考えることがあります。

    最近は、親だけでなく、
    社会全体として、
    「有害な優しさ」が
    あふれているような気がします。

    投稿者: mi-jyo

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