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2005年9月12日 (月)

日本人・アジア人・地球人 衆議院選挙翌日の風景〜自民党圧勝とその後のYES

あの凄まじい結果を生み出した衆議院選挙が終わって一夜明けた。しかし、自民党の勝ち方は想像を絶するものであった。

昨晩、僕は、夜8時5分前からテレビの前に釘付けになっていた。カウントダウンが始まり、現れた出口調査の結果を見て、仰天した。これが何を意味するのかもわからず、空いた口がふさがらなくなっていた。僕は、今後のYES!プロジェクトをどうすうるかを考えることもできず、虚脱感すら感じていた。自民党圧勝である。民主党は、幹部が軒並み接線か負ける、という予想すら出ていた。凄まじいの一言だ。

その後の各局の報道をチャンネルを変えながら見ていた。一つのドラマを見ているようであった。抵抗勢力に対して送られた刺客の面々。戦い終えて疲労感を漂わせながら苛立っている造反者と、すがすがしい顔の女性刺客の笑顔。抵抗勢力が結集して作られた新党のドンと、若者代表のホリエモンの登場である。注目選挙区の結果が刻一刻と出てくる。そして、万歳の嵐と敗戦の弁。対照的である。

ある程度大勢が固まった段階で、今回の劇場の主役と引立て役が登場だ。

主役にスポットライトが当てられ落ち着いた表情で穏やかな表情で勝利を確信した弁が出て、引立て役が緊張した面持ちで潔く負けを認めていく。その間、僕は友達の名前を探し続けた。幸い、ほとんどの友達が当選していた。民主党は、比例代表で当選する人も多かった。小選挙区当選であっても、比例代表であっても、代議士は代議士である。滑り込んだもの勝ちだ。

ある程度のドラマが終わると、恒例のパネルディスカッションが始まった。僕は、ある程度の結果を確認した後で、ベッドに潜り込んだ。ベッドの中で、今回の自民党の勝利を自分なりに振り返ってみた。

選挙当日の朝、ソウルから帰国する便の中で、日経新聞で政党の広告を見比べたときに、自民党の勝利を確信した。自民党はメッセージがシンプルで、わかりやすかった。

「国民に問いたい。郵政民営化に賛成か反対か。改革を進めるか、否か。改革を止めるな。自民党」。

この文言の細部は間違っているかもしれないが、僕はそらで言えるほど覚えていた。民主党の広告は、残念ながら何がメッセーjだかわからなかった。このメッセージの違いとともに、民営化に向けての改革の姿勢の違いも大きかった。改革の姿勢を見せられたかどうかの違いだ。自民党は、抵抗勢力や有力な支持団体を切り捨てて、刺客を送ってまで改革を成し遂げようとした。民主党はその間、何をしていたんだろうか。自民分裂の漁夫の利を得ようとしていたのでは、と国民は感じ取ったのではないないだろうか。そして、党首のリーダーシップの違いであろう

※リーダーシップの重要性に関しては、「郵政法案否決・衆議院解散ー小泉純一郎というリーダーシップ」をご参照ください

僕は、この選挙を通して、メッセージの簡潔さ、姿勢を見せることの大切さ、そしてリーダーシップの重要性を学ばせてもらった。

そして、一夜明けた。睡眠不足であるが、まだその劇場を見ていた興奮から覚めやらない。僕は、朝一番の会議から、夕方のスピーチまで、姿勢を明確に出して、メッセージを簡潔にして、リーダーとしての自覚を持ちながら行動することに専念した。

そしてメールチェックが終わり、一人会社に残り、あの地すべり的勝利は何を意味するのかを考えてみることにした。僕は、何人かの友達の政治家に電話し始めた。忙しそうなので、「おめでとう」、と簡潔に祝辞を述べて、電話を切っていった。

YES!ナイトに参加してくれた自民党の政治家は、「この勝利をきっかけに、改革を進める。公職選挙法の改正は、次回の通常国会に出すべく頑張ります。YESプロジェクトもバックアップします」と言ってくれた。民主党の方からも連絡があったが、「YESプロジェクトのおかげで、公職選挙法の改正が前に進みそうです」とのことだ。この公職選挙法の改正の動きは、YES!プロジェクトとしては、注視し続けたい。

ある民主党の政治家は、「今がボトムだから後は上がるしかない」と言っていた。民主党には、これからの踏ん張りを期待したいところだ。ポジティブに考えれば、党の前向きな改革には、願っても無いチャンスだと思う。

政治家の方々は、一様に「YES!プロジェクト」の動きを良く知っているようである。投票率も10%近く上がり、現行制度では最高の投票率を記録していた。若年層の投票率をまだ見ていないので、YES!プロジェクトの成果はわからないが、小さい波紋かもしれないが、確実に一石を投じることができたと思う。

「さて、YES!プロジェクトは、これからどこに向かうべきであろうか?」

僕は、もう一晩だけ、これからのYES!プロジェクトの方向性がどうあるべきかを考えてみることとした。
今から、YESプロジェクトのブログとYES@GREEの書き込みを丁寧に見ていくことにする。

2005年9月12日
二番町のオフィスにて
堀義人

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コメント(3)

  • 「くう ねる あそぶ」など日本を代表するコピーライターの方が、「素人の人は、否定形のコピーを作りたがる(真意としては、そのようなコピーはよろしくない)」ということをだいぶ昔にいってらっしゃったように記憶しています。
    今回の選挙において、民主党は本当にマーケティングが下手だなと実感しました。たとえば市民の調査結果には、郵政民営化を重要項目としてあげていた市民は全体の6%程度であり、順位も3番目から4番目程度。民主党として、郵政については完全無視、年金改革1本槍みたいな大胆な戦略があっても良かったのではないかとおもいました。「あきらめない」って前提として「あきらめ」の雰囲気がかもし出されてしまいます。
    さらに今回の結果の捕らえ方ですが、郵政改革にYESという理解は妥当だとおもいますが、自民党YESかといわれればそうではないと考えられるのではないかと思っています。(と信じたいのが本音です。)議会の2/3を与党で掌握してしまったことがどれほど国民にとって怖いことなのか、返す返すも民主党の惨敗が残念です。

    投稿者: gk

  • 【シンプル・メッセージの大切さとその背後にある決断】
     今回の総選挙が明らかにしたもののひとつに、シンプルなメッセージが如何に大切であるか、それをまざまざと見せ付けた気がします。

     自民党は、とにもかくにも「郵政民営化」一本に的を絞った。その他では、共産党の「確かな野党が必要です」がシンプルだった。
     私の選挙区では、自民・民主・共産の3党の候補者しかいませんでした。投票所の投票記載台で名前を記すとき、自民・共産のメッセージは想起できても、民主のマニフェストを想起することはできませんでした。
     人間の記憶は、そんなに確かなものではないから、シンプルなメッセージは大切だと思い知らされた結果です。

     更に大切なことは、シンプルなメッセージに収斂するためには、行動も含めて捨てるものを決めることが大切だということでしょう。
     小泉自民は、靖国参拝、年金・財政の問題は棄却した。さらに、郵政民営化に反対した議員には、既存議員数を捨ててまでも「刺客」を立てた。是非は別にしても、全てが郵政民営化を訴えるために調和していた。
     一方の民主党は明らかに違った。
     民主党が言うように、懸案は確かに郵政のみではないでしょう。しかし、如何に生真面目に沢山の論点を列挙してみても、人の記憶には残らない。また、郵政民営化に対する不安定な態度が、如何にも郵政公務員組合の支持への配慮を醸し出し、「しがらみのある自民党には改革はできない」との主張が、まさに自党に当てはまるものであることを感じさせてしまった。
     オウン・リスクで単純なメッセージに収斂させた自民、評価・判断を国民に委ね、自らの立場を鮮明にする責任を放棄した民主。この差が明確に結果に現れた。

     因みに、亀井静香氏は、利益誘導型政治を彷彿とさせながら、地元で勝利を治めた。「ファッショ」だと騒ぐ前に、ファッショを可能にする小選挙区制でしか勝てない自分を自戒して欲しい。

     メッセージをシンプルにするための捨てる覚悟を持つこと、それが結果として新たな支持を鮮明にさせることに繋がる。これを確信させた総選挙でした。
     

    投稿者: pag

  • 堀さん
    >この選挙を通して、メッセージの簡潔さ、姿勢を見せることの大切さ、そしてリーダーシップの重要性を学ばせてもらった。
    お勉強になりありがとうございます。

    正直に言う、郵政民営化の内容を具体的に説明してないのに、
    郵政改革を突破口にする自民党が圧勝できたのは、確かに
    複雑なことをシンプルな「YES」と「NO」の選択に変えるのですから。

    「問題の存在」ー「改革の必要」ー「前に進む願望」
    ー「改革を止めるな」ー「YESの選択」!
    妙に人間の心理を十分に把握しましたね。

    投稿者: yang

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