2009年12月21日 (月)
| 政治・社会 | 菅副総理への進言〜成長とは何か? |
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経済界の重鎮の1人から声がかかり、菅直人副総理を囲み成長戦略を議論する「日本の成長戦略を考える会」へ参加する光栄なる機会を頂いた。他の参加者は、総合商社のトップ、医薬品企業のトップなどの著名経営者ばかりである。年齢的にも、財界の立場でも僕は一番下。つまり「ペーペー」の僕が参加できるのは、とても名誉なことである。
せっかくの機会なので、数日前より「成長」に関して、何を申しあげようかと真剣に考え続けた。時間も限られているので、発言の機会は一回しかないであろう。従い、短く簡潔に伝えなければならない。しかもありきたりの提言ではなくて、インパクトが必要である。
そこで、週末に子供たちと遊びながら、頭の中で発言の論旨を考え続けた。
「成長とは、そもそも何だろうか?」「需要とか供給とかの議論があったけれど、成長には何が本当は重要なのだろうか?」「今、日本に欠けているものは何であろうか?」
週末は、長男は中学受験に向けての塾通いで、次男から五男までは囲碁スクール通いである。僕は、次男から五男までの送り迎えおよび付き添い担当である。4歳になったばかりの五男は、囲碁に長いこと集中できないから、スクールを早めに切り上げて、僕と一緒にプールに行ったり、公園に行ったりして、お兄ちゃん達が終わるまで、パパと一緒に遊ぶことになる。その間に、僕は、「成長」に関して考え続けるのである。
週明けの月曜日の朝、早めに会場であるホテルの一室に入ることにした。新聞社の主筆の方や主催の経済界の重鎮を含めてもたった7人の参加者である。参加者は偉い方ばかりなので、僕は、いち早く会場入りするよう心がけた。現職の副総理が一時間半も時間を割いてくれるのである。とても光栄である。
その日の新聞社の各紙の紙面では、「鳩山内閣への支持率が急落している」という見出しがトップページに躍っていた。8時ちょっと前に、管副総理が足早に入室された。思ったよりも朗らかな印象であった。
僕は、テーブルの一番端の末席に腰掛けた。主催者より趣旨の説明がされ、菅副総理より、今行っていることに関して15分程度お話を頂いた。
そして、参加者より意見が出され始めた。僕は、暫くしてから頃合いを見計らって手を上げて発言をする機会を得た。そして、以下話し始めた。
「大学院を経営し、ベンチャーキャピタルを運営する立場から、成長のことを良く考えます。先ずは、成長を定義しなければならないでしょう。エコノミストによると、成長とは、市場の成長であり、経済の成長ということになろう。しかし、そうなると僕にとってはわかりにくくなってしまう。僕にとっての成長は、企業の成長であり、家族の成長であり、個人の成長であると思います。そもそも市場も経済の成長も、企業、家族、個人の成長を無くしては、成り立ち得ないからです。
その成長のためには、何が一番重要なのか。需要なのか、供給なのか。僕は、成長に一番重要なのは、「成長したいという願望」だと思います。税金を投じるよりも何よりも、先ずは個人、家族、企業に成長したいという願望を喚起することが、成長にとっては最も重要なのだと思うからです」。
そして、続けた。
「そのためには、3つの方法があります。全て財源を必要としない施策です。
一つ目が、成長に寄与している人を称えることです。政府の最も大きな役割は、国民にメッセージを送ることです。成長に寄与している、起業家、財界人などを称えることにより、頑張っている人間に報い、多くの人にも成長したい願望を喚起することです。
二つ目が、成長の方法を教える、つまり人材育成することです。やる気が喚起されたら次は、成長する方法を教えればよいのです。
そして三つ目が、成長の足かせを取り払うことです。悪い規制をやめ、不必要な税的負担などを取り払えばよいのです。そうすることによって、願望が喚起され、方法論が共有化され、そして足かせが取り払うことになり、その結果、自然と企業、家族、個人は、成長することになりましょう」。
と早口で伝えた後に、次のとおり、要望した。
「最近、気になっているのが、弱者救済ばかりを論じているところです。弱者救済することはいいことなのですが、頑張った人間に報いないと、社会から活力が奪われていきます。その中でも子供手当ての所得制限は、特に気になります。
個人が成長をすると、必然的に所得も上がります。所得が上がると言う事は、税金を多く支払っていることになります。数十万、数百万から所得によっては数千万円払っている人もいると思います。そのうち、子供手当てで返って来るのはせいぜい数十万円です。経済的に大したことはないのですが、どうもこの成長に寄与した人を罰則的に差別的に対応する。つまり、努力に報いようとしない施策と言うのには、疑問を感じます。
しかも、所得制限をすることにより、頑張った人間は、子供は生まなくてもいいという間違ったメッセージを送ることになると思います。社会の成長のためには、『大いに成長し、大いに子供を生め』というメッセージが必要になります。頑張って働き、税金を多く納め、多くの子供を育てている人に報いる社会であって欲しいと思います」。
と言って、進言を締めくくった。菅副総理が、途中でメモを取っているのが目にとまった。「最後は、生々しい話が出てきましたね」とニコリと笑顔で答えられた。菅副総理も、所得制限を設けることには反対なのである。是非とも、個人にやる気を喚起するメッセージを発して欲しいと重ねてお願いした。
そうなのだ。僕は、日本に欠けているのは、成長が必要だという社会的なコンセンサスなのではないかと思う。「個人、家族、企業が大いに成長するためには、成長への願望を喚起させることである。そのためには、(1)成長に寄与している人を称え、(2)人材育成を促し、(3)足かせを外すことが肝要だ」と思っている。
その後、さまざまな議論が行われた。僕が印象に残ったのは、「政治は、もっとわかりやすい言葉を使うべきだ」であったり、「多くの人々を政治に参加させることが重要である」とかいう意見であった。
でも、やはり、日本の成長を願うならば、個人が成長する願望が重要であり、家族も成長し、企業も成長する必要がある。そのためには、成長することが楽しい、というように思わせることが重要なのであろうと思う。
今年も早12月の後半で、年の瀬を迎えている。子供たちは、皆今頑張っている。長男は受験である。次男、三男は、来年も囲碁の団体戦で優勝するとともに、個人戦でも結果を出したい、という願望を持って努力をしている。四男は、来年は小学校に入学である。五男も囲碁を始めた。
オフィスでは、ベンチャーキャピタリスト達が、産業の創出に関する議論をしていた。僕は、来年は個人として、もっと発信することを心がけていきたい。
来年も個人が成長し、家族も、企業が成長する年にしたいものである。その結果、社会全体の成長に寄与できるからである。
皆さん、良いお年をお迎えください。m(__)m
2009年12月21日
二番町のオフィスにて
堀義人
堀様
いつもメールを拝見させていただいております。
今回ご発言されたという内容、
まさにごもっともだと思います。
先日、大前研一氏の「心理経済学」を読みましたが、
同様に、個人がライフプランを十分に考え、
経済に参加するという意識をもつことが、
経済を活性化させるとのことでした。
ご提案されている内容の3点目は、
いろいろ従来からの利害が絡んでくる箇所ですので
時間がかかるのかもしれませんが、
1、2に関しましては早急に実現していただきたく考えます。
まさに、以前メールに書かれていました
秋山真之と同じ危機感をもって行動しないと、
日本はどんどん世界から置いてかれてしまうと思います。
投稿者: 宮崎 康弘
堀義人様
植山です。
毎回、『起業家の風景』を楽しみにしております。
今回の「成長」のお話も興味深く読ませていただきました。
堀さん自身が、ますます、ビッグに「成長」しておられるので
頼もしい限りです。
21世紀の日本のリーダーとなるべく生まれた堀さんですか
ら、今後も大いに頑張ってください。
陰ながら、応援させていただきます。
ハロー通訳アカデミー
学院長 植山源一郎
投稿者: ハロー通訳アカデミー学院長 植山源一郎
堀様、同じく教育業を志す者として、非常に共感をしました。所得の再分配でなく、所得の成長を本気で考えないと、アジアから、世界から置いていかれる、そして置いていかれた先には再分配する「富」がない国になってしまう、、、。自身の仕事柄、アジアの国々の人々と仕事をする事が多く、彼らの活気を見る・感じるたびに国を憂いてしまう、そんな現状を打開できたら、、、そんな提言を是非続けていってください。
投稿者: 有田
堀 義人 様
こんにちは。
気がつけば今年もあと10日。
本当にいろいろ大変な年でした。
田舎にいて、足元の経営に必死になっているとき、
堀様のメルマガから元気と勇気を得ることが度々ありました。
一年分まとめて御礼申し上げます。
「成長」についてのご意見にも同感です。
今日も経済産業省の方々と話をしていました。
官から民への流れが加速する中、社会サービスの
インフラ構築のところまで民が踏み込むのは自明のこと。
その部分を担う企業を、どう国が基盤を作り、経済活動が
可能な市場へと誘導するのか、その視点も議論も欠けて
いると申し上げたところです。
僭越ながらと思いつつ、何かが変わらなければ日本の
成長はないとの危機感をもってのことでした。
来年も会社を存続させることだけでなく、一冊でも子ども達が
本を読んでくれるように事業を展開していきます。
どうぞ良いお年を。
来年もメルマガ楽しみにしております。
投稿者: 谷口とよ美
堀義人様
久しぶりの起業家の風景拝読させて頂きました。
管副総理への進言をされたことも素晴らしい事ですが、
まったく、この「成長」という言葉に現代人は金融も含めて
惑わされて来てしまったのではないでしょうか?
堀さんの言われる様に本来は人間の成長であり、子供の、学生の
そして、科学の、成長を経て、社会の、しいては国家の成長が
有るべきなのに、気が付けばずっとこの方、「成長」という言葉の
魔法にかかって、色々な事がゆがめられて来た様な気もするのです。
人間は何故、成長しなければならないのか?と言う事と
会社や社会が成長する事をきちんと仕分けして、考えて見直す
必要性を感じます。とても考えさせられるご意見有り難う御座いました。
投稿者: 藤原ヒロミ
あけましておめでとうございます、上羽です。
日本の成長に必要な要素は日本人が起業できる下地作りで定年退職者および学校を出ても就職のない人などが自分で事業をできる仕組み作りだ思います。アジアを中心とした成長圏の国々の所得倍増に対して日本高性能製品、技術アドバイス、OEM、人材の輸出がメインとなると思います。
この形ができるよう私も微力ながら頑張ってまいります。
本年もよろしくお願いいたします。
2010/1/2
投稿者: 上羽
堀義人様
おはようございます。
じっくりと「日本の成長戦略を考える会」の記事を読ませて
いただきました。竹中元大臣の成長戦略には現場で苦しんでいる
民衆の想い・気持ちが共有されていない気がしていました。
今回の会合では本音に近い真剣さが管さんの人柄から
窺えました。堀代表の<成長に寄与している人に報いる>
には共感です。ただ、努力しても這い上がれない人への
相互扶助の精神であれば余禄のある人が声をあげるべきかと
思います。たとえば、寄付金の控除を税制に取り入れるとか?
富裕層にとっての1万円は極貧にあえぐ民衆には何週間かの
生活維持に役立つと考えています。私の母親も一人で少ない
年金でつつましく暮らしています。でもディーケアセンターへの
利用料を負担できないので1万円私が負担しています。
このことで人間の尊厳が維持されています。
わたしは中級に生活レベルでひきとる住宅のスペースも
国家のサービス基準では不利になります。
成長を担う人材から介護の辛苦を開放することが
重要かと考えています。
投稿者: 山下政嗣
凄いです。菅さん財務大臣です。
堀さんそんな方から頼りにされているなんて。
期待しています。
投稿者: レッツ豪徳痔
先生の新聞記事→本を読んで以来ファンになり、いつもブログを拝見させて頂いております。
私は一児の母で日々、育児・家事・仕事に追われ、目の前のことしか見えなくなっておりますが、先生のブログを拝見しますと、もっと広い視野で、社会のこと、日本の成長を考えなくては・・・。と目が覚めるような思いでおります。今年も先生のご活躍、ブログ、楽しみにしております。
いつの日かグロービズに行く日を夢見て・・・。
投稿者: 三宅 典子
何冊か先生の書は拝見させていただきました。東京で学生時代を送った際に先生のことはよくお見かけしていましたが、(大学は京都でしたので東京に遊びに来られていたときですが)私もこちらにきて名古屋の地下鉄で先生の新しい事業の広告をみて懐かしく思っております。
まさに先生のあげられた3点は、今の日本に欠けている3要素とも言えると思います。(1)成長に寄与している人を称え、(2)人材育成を促し、(3)足かせを外すことが肝要だ」と思っている。(1)(2)は子供を教育する上でも医師たちの教育においても通ずるものがあると思います。資本主義国でありながら日本はいつの間にかみんなお手てつないで1等賞のような勘違いした国民が増えすぎ、やる気をなくし頑張る人間が損をする国になりつつある気がします。競争なくして成長などありえないと考える私には先生の言葉はとても的を射たものだと思いました。これからも御自愛の上ご活躍いただけますようお祈りしております。
投稿者: クレオ
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