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2011年2月 7日 (月)

日本人・アジア人・地球人 サウジへの政府ミッション~(2)サウジでビックリしたことランキングTOP10

リヤド空港に夜中の2時に着き、ホテルにたどり着いたのは、夜中の3時近くだ。すぐに就寝し、朝7時前に起床した。軽くメールチェックをして、朝7時半からのミッションの結団式に参加する。

結団式で、JETROの専務理事、駐サウジの遠藤大使等が挨拶された。遠藤大使の言葉が印象的だった。「サウジほど、日本と違う国はない。一方、こんなに興味深い国もない」、だ。

サウジには、殆ど下調べをしないで来た。昨日の友人との会合で、「何か、気を付けることはあるか」と聞いたら、「女性にだけは、気をつけよ」と言っていた。僕がその意味を理解するには、多少の時間を必要とした。

政府ミッションを乗せたバスが、投資家と会う場所に向けて出発した。車内には、日本を代表するプライベート・エクイティやベンチャー・キャピタルの経営トップが乗っていた。当然、業界の情報交換が花盛りとなる。この交流も、今回の目的の一つである。普段東京では、なかなか会えない人が多いからだ。

リヤドにある、インキュベーション・センターに着いた。そして、トープに身を包んだサウジの方々が登場された。彼らは、前方のふかふかのソファ―に陣取り、僕らは、後方の堅い椅子に座った。朝9時半から、一通りの挨拶、基調講演、日本の技術の紹介やベンチャー企業の紹介があり、休憩に入った。午前11時から、3つのチームに分かれ、分科会セッションが開催された。僕が分科会
Cで、トップバッターとして登場した。喋り始めてすぐに、僕はスピーチのスピードとトーンを変えた。可能な限り、ゆっくりと分かりやすく、心をこめて、話すこととした。最後の質疑応答も、丁寧に対応した。

ランチタイムは、サウジ料理だ。基本は、マトン等の脂っこい肉類だ。意外にデザートが美味しかった。同じテーブルのサウジの方々と話がはずむ。商談というよりも、ライフスタイルへの関心が高いので、どうしてもそっちに質問が行ってしまう。「子供は何人?」、「どうやって結婚を決めたのか?」、「妻は、何人欲しいの?」、「スポーツは何が盛ん?」等だ。

その会合の合間に、僕のツイッターにサウジからレスが入っていた。「ようこそリヤドへ! 以前お会いした、リヤドのグロービス生(休学中)です」。更に、メールも入っていた。「たまたまツイッターを拝見したところ、リヤドにお越しになられているとのことで、大変驚いてメール致す次第です」。

彼と連絡を取り合い、急遽会うことにした。分科会後のランチ、そして、全ての会合が終了した15時にインキュベーション・センターで待ち合わせした。聞くところによると、3か月ぶりに何気なくツイッターを開いたら、僕のツイートがあり、驚いてコンタクトしたのだと言う。僕も、グロービスのGMBA生にリヤドでまさか再会できるとは、思ってもみなかった。

一旦ホテルに戻ってから着替えて、外出した。目的地は3つだ。(1)国立博物館に向かい歴史を学ぶこと、(2)モールに行ってライフスタイルを学ぶこと、(3)繁華街に行きナイトライフを観ること。その間、GMBA生に色々と質問した。

多くの人からヒアリングした内容から、「サウジでビックリしたことランキングTOP10」を以下の通りにまとめてみることにした。ちなみに僕は、ヨルダン、UAE、エジプト、モロッコ等の中東のイスラム国に行ったことはある。だが、これほど違う国は初めてだ。

1. サウジでは、女性は、車を運転してはいけない。従い、一人で移動するときには、外国人労働者に車を運転させ、女性は後部座席に乗るのだと言う。

2. サウジでは、結婚は母親が決め、結婚前に男女が会う事が無いのだと言う。さすがに、「結婚前には、相手の顔を見たいよな~」と呟いている同僚に、在サウジのGMBA生が共感したと言う。

3. サウジでは、男女が一緒の空間にいてはいけないのだ。博物館も、(1)男性シングルの時間と、(2)ファミリー(ここに独身女性が含まれる)とに時間を分けて開放される。ビルも男女の出入り口が別になっている。僕らが行ったインキュベーション・センターでは、全く同じ形をした入口が正面と裏とに二つあるのだ。全ての学校は、男子校と女子高に分かれている(但し、最近初めて共学の大学KAUSTができたと言う)。レストランも当然、男女が別のセクションにいなければならない。

4.サウジでは、外出の時は女性はアバーヤが基本となり、肌や髪の毛を見せてはいけない。外国人女性であっても免除されないので、アバーヤを身につける必要がある。それが守られないならば、宗教警察が強制的に帰国を促すのだと言う。

5.サウジでは、アルコールが一滴も飲めない。外国人ホテルでも駐在員も一切所持できないし、飲めないのだ。誰であろうが、見つかれば厳重の処罰を受ける。日本で言う麻薬と同じ扱いを受けるのだ。

6. サウジでは、映画館が一つも無い。レストランでも音楽は流れないし、当然コンサートなど全く開かれない。

7. サウジでは、女性は22-24才で結婚することもあり、基本子沢山だ。20歳以下が人口の50%以上を占めると言う。僕がランチで同席した人は、子供が4人と6人だ。YPOの友人は3人で少ない方だという。そのために、街中には子供向けの遊技場が多い。

8. サウジでは、一日5回のお祈りの時間には、全ての活動が停止する。また、日中が熱いので(夏は50度を超えると言う)、夜の生活が基本となる。従い、夜7時の最後のお祈りの後からが、活動が盛んになる。一番の交通渋滞は、夜の10時ごろに発生するのだと言う。

9. サウジでは、個人所得税も消費税も無く、法人税も無い。法人には、5%の喜捨を税的に行っているだけだ。80%以上の国庫は、原油の収入で賄うのだという。失業手当も充実しているので、国民に不満が溜まることも余り無いのだと言う。エジプトで動乱があっても、サウジでは静かなものであった。

10. サウジでは、お金を使うのは、車、買い物、そして海外旅行になる。特に旅行の際には、国内で厳しい戒律の下にいるので、かなりハチャメチャになるのだと言う(僕は、その気持ちが良く理解できる)。

いや~~、サウジでは、「ビックリ」することが多い。まだまだ書ききれないほどだ。サウジでは、独身女性と交際をすると、(1)犯罪者として刑務所に入るか、(2)結婚するかの二者択一になるとか、だからこそ女性には気をつけなければならないのだ。他にも、サウジでは、サウジでは……とビックリし通しだ。

そのGMBA生と僕とは、博物館・モールを訪問した後に、繁華街のレバノン料理店に入った。ノンアルコール・ビールで乾杯した後に、ノンアルコール・シャンパン(炭酸入りのリンゴジュース)を飲み、音楽が無い男だけの空間で、静かに夜を楽しんだ。

そして、案の定、夜10時台の交通渋滞にはまり、ヒヤヒヤしながらホテルに戻り、空港に向かった。離陸後、シャンパンをリクエストしたが、「離陸後30分はサーブできません」と言われてしまった。サウジ領内を飛んでいるうちは、アルコールはダメなのであろう。

一方、領内であっても、客室乗務員も乗客の女性も、アバーヤを脱ぎ、スカート姿で、顔も肌も露出していた。ごく普通のストッキング姿や手の肌が、妙に色っぽく感じられた。僕は、疲労からか、シャンパンを飲むことも無く、そのまま8時間爆睡した。

そして、香港着陸寸前に起こされて、香港経由で羽田便に乗り換えて帰国した。こうして、パリ、チューリッヒ、ダボス、ジェッダ、そしてリヤドの6泊10日(機内3泊)の長旅は、エンディングを迎えた。

羽田便でも離陸後すぐに眠りに着いた。羽田直前になり、むっくと起き上がり、初めてシャンパンにありつくことができた。(^^)¥


2011年2月6日
三番町の自宅にて執筆
堀義人

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コメント(3)

  • イスラム文化が濃い地域出身ならまだしも、女性一人でもどこへでも行け、
    男女交際(恋人だけでなく、友人関係も含め)も自由にできる日本から行った者としては、
    サウジアラビアは確かに異質です。
    今回で2度目のサウジアラビア訪問になりますが、ある程度覚悟はできても、
    短期間でサウジアラビア生活に慣れるのは難しいようです。
    (何度アバヤの裾を踏んで転びそうになったことか・・・)

    堀様に挙げて頂いたランキングに私が驚いたことも殆どカバーされていますが、
    アバヤ関連で驚いたことがもう一つあります。
    女性は顔を隠したままで出入国審査を行うのです!
    人によっては目だけ見せるマスクを被っているのをご覧になったかも知れませんが、
    その姿のまま、イミグレーションのゲートを通っていくのを初めて見た時は驚きました。
    それだけ女性が信用されているのか、理由はよくわかりませんが、
    同じイスラム教国でも、バーレーンやUAEでは短いスカートを履いた地元の女性も多く見受けられるだけに、
    サウジアラビアの厳格さは異質に映ります。

    投稿者:

  • 堀さん、

    ご無沙汰しています。
    ダボス会議レポート、サウジ訪問記、一気に読みました。
    とても力作で、大変興味深く楽しく読ませて頂きました。ありがとうございます。
    ツイッターは見ていましたが、やはりこう言った伝えたい内容が多岐に亘り且つ一言
    では伝えきれない時にはレポート形式が良いですね。現場での状況や雰囲気がとても
    生々しく感じられ、現地で持たれた問題意識や思いが良く伝わってきました。

    菅総理のスピーチについては堀さんのツイッターで上々の出来であったことを先に
    知っていましたので、翌日の新聞の論調を見て違和感を感じました。同時に、日本の
    現状を作っている一つの要因にマスコミのあり方があることを改めて感じました。日
    本人記者クラブ限定の云々は正にその端的な一例かと思います。

    サウジには私も昨年10日ほど行って現地視察とビジネスミーティングをしてきました
    が、凡そ違った世界に驚嘆しました。同時にサウジの人達の人懐っこさや、この地に
    行かねば分らないイスラム教が溶け込んだ世界を経験すると、西側メディアがイスラ
    ム=テロといった偏った伝え方をしていることへの危機感を感じました。イスラム原
    理主義には危険な人も居るでしょうが、殆どは平和な良き友人だと思います。

    長々書きましたが、大変な力作、堀さんの伝えようとする思いに敬服と感謝いたしま
    す。ありがとうございました。 週末G1でまたお目にかかること楽しみにしています。

    投稿者: 川島昭彦

  • 初めてブログ拝見しました。
    サウジは憧れの場所なので、興味深い記事でした。

    NZに半年ほど滞在した際に、親友となったサウジ出身の友人たちに、
    様々なルールや、国の特徴など聞いた際、
    自由な日本の風潮からは想像に及ばず、何度も聞き返し疑問を紐解いたことを思い出しました。

    寒いある日に、私が黒いニット帽&黒のパーカーを着ていたら
    セクシーだと、サウジ出身の1人が言っていました(笑)
    きっと、母国のアバヤ姿を思い出したのでしょう。

    1度でも行ってみたいサウジ。
    お互いつたない英語で、イメージを広げたサウジの光景をこの目で見てみたいものです。
    女性でも一人でいけるならいいのですが…。

    記事を読んで、懐かしく、心がフンワリしました。
    ありがとうございました。

    投稿者: ruri☆

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