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2011年2月17日 (木)

日本人・アジア人・地球人 G1サミット2011(4)~日本のリーダーとしての自覚

G1サミットからの帰宅後、寝不足でちょっとダルイ体、お酒を飲み過ぎて違和感を訴えるお腹、極度の緊張感から解放され心地よい虚脱感を楽しむ心。その宴の後の朦朧とした状態で、ツイッターのハッシュタグ「#G1summit」の無数のツイートを眺めている。一つ一つの情景、登壇者の顔、そしてみんなの思いが伝わってくる。

本業に邁進しながら、G1の準備するのは、予想をはるかに超える労力を要した。全てのセッションを、ダボスを超える内容にしたいという、強い思いでやってきた。数多くの参加者、登壇者、ボードメンバー、協賛者、星野リゾート等のお陰で、第3回G1は、大成功裏に終えた。多くの方に感謝するととともに、この成功を高らかに宣言したい。

その高揚感を楽しみながらも、頭脳の冷静さを必死になり保ち、印象に残っていることを振り返り、順不同で書いてみることにした。

1)今回のG1サミットで、財政、外交・防衛、社会福祉、地域のセッションで聞いた日本の現況は、僕の認識をコテンパンに打ちのめすほど厳しい、と言う事を実感した。「1億2千万人総無責任」、という言葉が櫻井よしこさんからあったが、今後は、断固たる行動が必要だと強く思った。

経営共創基盤・冨山和彦さんからも、「我慢比べだ」、という言葉があった。言い続け、行動し続ければ、51%を超えた段階で、流れが変わるのだ。リーダーがしっかりと主張し、行動しさせすれば、必ず変わるのだ。ただ、我慢が必要なのだ。

2)一方、これまで僕は、恥ずかしながらも、「次代」のリーダーという意識でしかなかった。だが、「G1参加者は、既に日本を改革するリーダーなのだ」、という自覚を持たなければならないと強く思った。

その意を強くしたのは、20代、30代の参加者との対話からだ。彼らの切実な思いを聞いていると、「僕らがもうやらなければならないのだ」、と強く認識させられたからだ。事実、政治家の仲間は、政府の中枢にいるし、知事の立場にもいる。もう僕らが、日本の未来に責任を負う時代になったのだ。

3)今回から、ツイッター・ブログを解禁にした。そのことにより、今も読者の皆さんとメールやブログで繋がっているように、180名の参加者だけではなく、数万人以上の方に参画頂き、対話ができている、という感覚を持てた。クロージングでも数人のツイートを紹介させてもらった。多くの人と共感できたのは、率直に嬉しいことだ。

当初2回のG1サミットは、コアなG1コミュニティ創りに専念するために、徹底的な秘密主義だった。今年からは、原則解禁にして、180名でなく、もっと広いコミュニティ創りに乗り出しているのだ。来年からは、ニコニコ動画やUSTREAMを一部セッションに入れていこうと思っている。もっとオープンにしていく方針だ。

会期を通じて、サミットの運営、来賓の送迎、全ての登壇者への表敬訪問している間に、僕は、ツイッターで呟き続けた。そのことにより、多くの方と繋がった。「共感の場」がサイバースペース上にでき上がったことを実感した。

4)さらに、日本には、素晴らしい知識層とリーダーがいる、という事実を再度痛烈に認識できた。野中郁次郎氏、松岡正剛氏、田坂広志氏の3人の「知の巨人」の知恵と思い。櫻井よしこさんの魂を揺さぶる言葉。そして、政治家・財界リーダーの意識と見識の高さ。このクオリティの高さは、ダボスを超えている。

では、なぜうまく行っていないのか。それは、今まで各界のリーダー同士がインフォーマルに意見交換する場が無く、フォロワーシップを生み出す意思の疎通もできていなかったからだ。野中さんの言う、共感の場の設定ができてなかったからだ。でも、これからは、大丈夫だ。G1があり、ツイッターやブログ等の直接メディアが、その「共感の場」の役割を果たすからだ。

5)最後に、日本には素晴らしい知識層・リーダーとともに、大切にすべき価値観が多くあると言う事を認識した。今回セッションを聞きながら、「何を引き継ぎ、変革し、新たに創るのか」を考え続けてきた。「引き継ぎ」、「変革する」ものは、容易に想像ついた。だが、「新たに創るもの」だけが、自分の中では見いだせなかった。恐らく未来に必要な要素が、実は全て既にここにあるからだと思う。

ふと気がついたのは、「新たに創るのではなく」、「新たに呼びもどすべきもの」ではないかと言う点だ。これは、知の巨人3名と櫻井よしこさんとの4人が共通して、一貫して主張されてきたことだ。つまり、呼び戻すべきことは、「日本人としての価値観」だ。

野中さんの言葉では、「暗黙知」であり、「場創り」で、「徒弟制度」であり、「賢慮」である。松岡さんの言葉では、「和」であり「荒」である。「公家のあわれ」であり「武家のあっぱれ」である。そして、神仏習合の様に、それらを包摂する力である。そして、田坂さんの言葉では、「働く=端を楽にする」という意識であり、「自然との共生」である。

それらは、「引き継ぐもの」には、必ずしも入らない。なぜならば、それらの重要な価値観を、日本人は既に失っている可能性があるからだ。

僕は、それらの価値観は、内村鑑三著の『代表的日本人』や陽明学の思想の中に全て書かれていると思っている。歴史を遡れば、ここにあったのだ。その価値観を「呼び戻せ」ば、良いだけなのだ。新たに創る必要も無い。だが、一度捨てたものを呼び戻すのは、容易ではない。だからこそ、努力をして、その良き価値観に触れ続ける必要があるのだ。

これからの乱世を迎えるリーダーには、哲学や信念が必要になる。その基盤となるのは、実は自らの故郷の偉人や日本の歴史に埋もれている気がする。これが、櫻井よし子さんを含む、知の巨人からのメッセージであった。

筆者注記:ちなみに、今回の議論は、可能な限り全て、GLOBIS.JP でオープンにします。問題意識を共有し、一緒に考え、行動していきましょう。

さて、第3回G1サミットが終わった。これから、新たに覚醒した「日本のリーダー」としてやるべきことは、山積している。G1のオープニング・スピーチで、僕は、実は次の様に述べていたのだ。

「日本が下降曲線になり、海外での存在感が低下している中で、僕は民間の立場で何ができるかを考え続けて来た。必死になって考えた。できることは、限られている。でも、やるべきことをしっかりとやろう、と決めて、自分の中で次の3つをすることに決めた。

1番目が、海外に突き抜けて活躍し、日本の存在感を自らが高めることだ。努力に努力を重ね、失敗をしながらも、やっとのことで、ダボス会議でも登壇する機会を持てるようになった。今や、世界最高峰の会合で、スピーチする存在になったのだ。

グロービス経営大学院も日本No.1でなくアジアNo.1を目指すのだ。フィナンシャル・タイムズ紙やエコノミスト誌には、グロービスのロゴとともに、僕の顔写真入りの広告が誇らしげに掲載されている。僕の著書も英語で発売しようと思っている。ハーバードのケースにも取り上げられた。

このように活躍すれば、松井選手、イチロー選手、更には香川選手、長友選手の活躍のように、『日本人は凄い』ということになるであろう。

2番目には、数多くの人に、夢と勇気と知恵を与えるコミュニケーションをしよう、と決めたのだ。だからこそ、ツイッター、ブログ、本を書いているし、スピーチも頻繁に行い、取材も受けている。『日本がダメだ』と思っている多くの人に、夢と勇気と知恵を与えるのだ。これをやり続けて来た。

そして、3番目にやろうと決めたのが、このG1サミットだ。いわゆる、『日本版ダボス会議』。いやそれを超えるものだ。なぜならば、G1の真の目的は、日本や世界を良くする仲間づくりだからだ。その仲間が様々な分野から集い、様々な諸問題を語り合い、日本そしてゆくゆくは、世界のビジョンを描き、行動するのだ。その行動の仲間づくりなのだ。このG1を、やることを決めたのだ」。

こう話をした。そして、成功して終わってしまうと、更に次にやるべきことを思いつく。それは、「日本のビジョン創り」だ。僕が、以前から言っている、「100の行動」だ。それと同時に、G1の熱気と勇気を多くの人に「伝染」させ、行動させることだ。そのために、G1医療、G1観光、G1スポーツなど、各方面でのイニシアティブが必要になる。それを可能な限りオープンに実践することだ。

そのためには、僕の時間を確保しなければならない。何かを犠牲にしなければならない。ま、それも宿命なのかもしれない。日本の現況を考えると、ガンガンにやらないと話にならないからだ。ま、たった一度の人生、面白く生き抜きたい。

今後、僕は、世界に発信しながらも、G1の活動、更には、「100の行動」プロジェクトにまい進することになろう。「次代」ではなく、今の日本のリーダーとしての自覚を持つ必要があるからだ。そして、多くの人々に語りかけるのだ。

「変革の戦士」よ、皆で立ちあがろうではないか。そして、繋がり合おうではないか。僕は、ツイッターのハッシュタグ「#G1summit」を全て読む。意見、提案、感想など大歓迎だ。

いよいよ「行動」に移す時がきたのだ。
僕らの手で、日本の未来を変える時が来たのだ。

子供達が寝ているベッドに戻ろう。この子供達は、1億円近くの借金の負担をすることになるのだ。彼らに良い未来を残そうではないか。

2011年2月15日
3番町の自宅にてツイッターを基に作成
堀義人

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コメント(7)

  • 「思い」を持ち続けること、それを言葉にして行動に移すことの重要さを再認識しました。
    日本が世界に対してできること、やるべきことは本当にたくさんあると思います。
    ただ、致命的に足りないのは、戦略的な方向付けやリーダーシップだと思います。G1のような活動が、次への「突破口」となることを心から期待しております。

    投稿者: 義永 忠輝

  • 起業家の風景大変面白く読ませていただいています。日本の再生は若者が立ち上がるほかないとおもいます。頑張ってください。応援しています。

    投稿者: 田口 弘

  • 堀先生、日出国日本の変革の戦士達のリーダーとして決意して頂いた事に賛同して自らの出来る範囲の行動をさせて頂きたいと存じます。まず第一に、自ら世界に発信できる事(アクティブ・マーケティング)を実施する。第二に現状のマスコミが自虐的で非建設的な方向性ばかりを強調していることに対して辟易している人々の救いの場をネット環境で作り上げる乃至参加する。そして、第三により多くの人に参加を呼びかけ士気高揚する。これらを一人ひとりが実践すれば、きっとマダマダ捨てたものじゃありませんよね、日本は。いずれにしてもリーダーとして支持しますので国民を鼓舞して頂ければと祈念致します。

    投稿者: 加藤満宏

  • >いよいよ「行動」に移す時がきたのだ。
    >僕らの手で、日本の未来を変える時が来たのだ。
    待ってました!
    頼もしいお言葉です。
    微力ながらお手伝いできることばあれば何でもさせていただきます。
    ハロー通訳アカデミー
    学院長 植山源一郎

    投稿者: 植山源一郎

  • 堀さん:

    「G1サミット」(1)~(4)を今、まとめて読みました。「G1」が何の略かも知らないのですが、堀さんが自分で企画・実現させたものだけに、全編、いつも以上にパセティック(情熱的)に書かれて、堀さんの思いのたけがよく伝わってきました。

    どんな分野であれ、リーダーの条件の第一は、自分のやりたいこと、やっていることへの情熱(Passion)だと思います。客観的な事実、あるいは実感を基にした冷静な判断力、他人(チームの構成メンバーたち)の個性、持ち味をうまく引き出し、まとめていく力、立場・思想を異にする人たちとの交渉力・説得力、などリーダーに必要な条件はいくつかありますが、なかでも最も重要なのが、自分の思いを実現させたいという燃えるような情熱だと私は思っています。
    その点、堀さん自身が大変ボルテージの高い情熱を持っている「熱血漢」であり、それがG1の参加者たちにも共振していることがよくうかがえました。

    最近、日本の若者が「内向き」になっていることが問題になっていますが、豊かな社会で生まれ育ち、ハングリー精神などなく、「○×」で「正解」を答えるのが勉強だと思い込んでいる成績優等生たちは、何よりも自分が「正解のない問題」に挑戦して傷つくのを恐れています。しかし、いつの時代にも、若者に(限らないのですが、特に若者に)何より必要なのは、今自分が生きている社会を少しでも良くするためにがんばろう、という「挑戦するエネルギー」、つまり情熱でしょう。挑戦すれば、必ず「抵抗勢力」に遭い、傷つきます。その傷を恐れていては、何も前進しません。その意味でまさに「情熱」=Passionは「受難」でもあります。

    私も今、秋田で学生たちに「正解のない問題」に取り組むことの重要性を説き、地域起こしに取り組むリーダーの育成に「情熱」を傾けています。

    投稿者: 勝又美智雄

  • 堀 義人 学長殿

    先週末のG1サミット、ありがとうございました。
    日本アグリマネジメントの松本です。

    各界でご活躍の方々との議論に、頭脳にこびり付いていた垢がこすり落とされた4日間でした。今は、頭の中を清涼な風が吹き抜けているような気がします。また、こうした議論を通じて、進んできた道、これから進むべき道が正しいのか、間違っているのか、自問自答する中で、多くの方々の知見に触れ、自分の進むべき道、自分の関わる農業、地域の進むべき道というか向かわせる道が確固たるものとして見えてきた感があります。

    私は農業に携わっていますが、農業の問題は農業そのものの問題だけでなく、日本人が誇りをもって暮らすための雇用問題、地域問題と切り離せません。

    私が、日本人の若者を外国人研修生よりも優先して雇うのは、法人税が高くTPPの問題もスピード感無く、だらだらしている中で、日本の製造業の拠点が今後ますます海外にシフトし、国内の若者の働く場所がなくなるとの思いが背景にあるからです。私にとって農業問題のイシューの一つは、雇用問題なのです。

    みんなが外資系証券マンやプロスポーツ選手になれない、またフィリピンなどの国の国民と違って生まれながらに英語を話せないので、海外に出稼ぎにでることもままならない。そうした環境の中で、一方で社会保障とりわけ失業手当の財源確保が問題視されています。

    当社で働く20代の若者は年収が200万円程度。生活保護を受けようと思えば、家族構成などの条件はあるものの180万円近くもらえる。朝早起きして、冬は寒く、夏は暑くて汚い。何故農業で働くのか。生活保護との差額20万円のプレミアムを得るために犠牲にすることの何と大きなことか。

    私は、この差額の20万円こそが、誇りなのだと思うのです。
    失業手当に頼らず、国民一人一人が自立して誇りを持って生きていける農業、雇用、地域を作り上げていくため、気持ちを新たに邁進しようと意を強く致しました。

    当社は、農業に関してベンチャーですが、この分野、問題のリーダーとして、行動を起こして行きたいと思います。

    本当に有益な4日間でした。
    改めて素晴らしい場を提供くださったことに深謝申し上げます。

    株式会社日本アグリマネジメント 代表取締役社長
    GLOBIS経営大学院 客員准教授 
    松本 泰幸

    投稿者: 松本 泰幸

  • 国際性が重要なKSFであることわかりました、自分も英語、スペイン語、イタリア語、貿易スキル、国際人脈を生かし思い切り行きます。

    投稿者: UEBA

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