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2011年8月 8日 (月)

政治・社会 日本のビジョン「100の行動」: 5.司法に望むこと

小・中学生の社会で、「三権分立」を学ぶ。「三権分立とは、立法、行政、司法、つまり、法の制定、執行、適用を分け、相互監視することにより、法に基づき国家を運営する手法だ」と学んだ。

司法(裁判所)には三権分立における相互監視機能として、立法府に対しては、国会で制定した法律などが憲法に違反していないかを審査する違憲立法審査権の行使、行政府に対しては、行政事件裁判権の行使が認められている。

今までこの日本のビジョン「100の行動」では、3)政治家や4)官僚に望むことを書いてきたが、司法の働きに関しては、国民にとってはなじみが薄いものではないだろうか。

僕の友人にも数多くの優秀な弁護士、裁判官や検察の方がいる。皆、難関の司法試験を突破して、様々な志を持ちながら多様な分野で社会正義を貫こうと努力されている。その方々に、いくつか「司法に望むこと」ということで提案してみることにした。

1. 「目立ったもの」狙い撃ちを控えよ!

ホリエモン事件、村上ファンド事件を見て疑問に感じた点は、「目立ったもの」を狙い撃ちし、目立っていない人・企業は、重罪を犯そうが、見逃すケースが多いという点だ。

逮捕した後に捜査情報を記者クラブにリークして、逮捕された人々は反論できない拘束状態のまま、一方的に悪者にされていくケースが見られた。その時点で、社会的制裁が済まされており、企業活動がほぼ壊滅的打撃を受ける。その後裁判がどの様に進展しようが、既に社会の世論は形成されているのである。

僕が、一番疑問に思ったのが、姉歯事件だ。検察は、姉歯元建築士、イーホームズ社長、木村建設社長、ヒューザー社長等をそれぞれ起訴したが、いずれも耐震偽装とは無関係の別件容疑だ。そもそも、この問題を最初に告発したイーホームズの社長は、一部の書類をバックデートさせたことによる文書偽造の軽罪で逮捕され、その結
果、会社は清算を余儀なくされた。

社会的な悪を裁くことは、望ましい。だが、新たな価値を創造しよう、社会を良くしようと思っている人々を、狙い撃ちし、時には別件で逮捕して、制裁を加えることが社会にとって正しいことかどうかは、疑わしいところだ。

ホリエモン、村上ファンド事件以降、起業家志望の学生は激減し、新興市場の株価も低迷したままだ。今や、誰も目立とうとしなくなった。これでは、社会の活性化は、望めない。全てが検察の責務とは言わないが、同様の罪を犯した企業・人よりも格段に重い判決だったと思われた。「目立ったもの」よりも、「本当に悪いもの」に公平・公正な捜査をして欲しい。

2. 裁判の透明性とスピードアップを!

多くの国民は、時間・労力・コストを要する現行の裁判手続きを忌避しがちである。その結果、不透明な解決方法や泣き寝入り(不利益)を生じさせている。一例ではあるが、通常の裁判は原則1回の期日で判決を出すような迅速化・簡易化されたものにしてはどうであろうか。

さらに、全ての裁判所における判決(判例)をデータベース化して、国民に公開してはどうだろうか。その結果、国民の法律や裁判への理解が進むのではないだろうか。徹底的な透明化、スピードアップ化を望みたい。

3. 法曹界の人材流動の促進を!

裁判官には「民主主義、市場経済を守る」使命を、検事には「人権を守る」使命を十分に認識してもらうためにも、全ての裁判官と検事を、弁護士として数年の実務経験のある者から任用してはどうであろうか。

さらに、法曹人材が、米国の様に政治、行政、企業、国際機関など様々なセクターで活躍することが求められる。最近増えてきてはいるが、司法試験合格者が法曹界のみならず、国家・地方公務員、国会議員政策秘書、企業内弁護士などの諸分野で、活躍して欲しい。

4. 検察捜査の透明性の担保を!

「行政・検察とマスコミが結託すれば、誰でも犯罪者にできる」とある著名なコンサルタントが発言された。村木厚生労働局長の冤罪は、記憶に新しいところだ。

検察による被疑者取り調べの可視化と記録化の導入や、「推定無罪の原則」の徹底など、検察捜査の透明性や原則を徹底することにより、可能な限り冤罪の再発を防止する努力を惜しまないで欲しい。

5. 不要・無意味な法律をどんどん改編させ、立法府を動かそう!
法律が実態から乖離(形骸化)している場合に、過度な法令遵守(コンプライアン
ス)により、経済活動に多大な影響を与えていることがある。その結果、違法リスクを恐れる「事なかれ主義」の蔓延を招き、社会全体のモチベーションの低下(いわゆる「コンプライアンス不況」)などの弊害も顕在化している。企業も政治家も官僚も、力を合わせて、不要・無意味な法律をどんどん改編すべく立法府に働きかけるべきであろう。

さらに、違憲状態にある「一票の格差」の可及的速やかなる是正を立法府に、強く促すべきである。升永弁護士が始めた「一人一票実現国民運動」は、国民の「法の下の平等」を保障するために、一票の格差に消極的な最高裁判事に対して、国民審査で「×」をつけるように新聞広告を使って国民に投げかけている。これは、画期的な取
り組みだ。こういう国民運動を行ったり、疑問に思う経営陣の判断には、株主代表訴訟を行ったりする等、国民一人一人が、何が正しいのかを考え、意見を表明し、自らが行動することが、法治国家としての日本のあり方を高めることにもなるのだと思う。

結局は、国民一人一人の法律に対する意識の高さが、司法を良くする行動に繋がって行くのであろう。

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コメント(7)

  • 1以外の項目については基本的にアグリーです。1については以前ツイッターでもコメントさせていただいたのですが、特捜部が動いている事件ということは、政治家が犯罪に関与している可能性が高いということです。単に「目立っているから」という理由だけではないことを考慮しなければならないと考えます。堀江氏、村上氏が、本当に市場のルールに従って、政治家を巻き込んだものでないものであれば、おそらく彼らは逮捕までは至らなかったと思われます。彼らは単に「利用されただけ」だけであるということは殆どの方はご存知なのでは無いかと思われます。彼らを起訴することで、そこを起点として利益を不当に誘導する輩を追ってゆくという手法を、私は「極めて不当な行為」とは思えません。

    投稿者: 奥田明男

  • 堀義人様
     このたび、ウェブサイト「ろんじんネット」(http://ronzine.net) を公開致しました。
    弊サイトは、政治、経済、社会に関する読み応えのあるブログを紹介し
    その更新情報や注目されている記事をお伝えするサイトです。
    貴ブログを勝手ながらご紹介させていただいておりますのでご挨拶に参りました。
    昨今、ブログはその潜在力をまだ充分に発揮していないと考えておりますが、
    ろんじんネットは読者と著者双方へのメリットをご提供させていただくことで
    ブログの発展を微力ながら後押しできるのではないかと考えております。
    突然の、記事内容に無関係のコメント失礼致しました。
    堀義人様の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

    投稿者: ろんじんネット

  • 司法に望むことに一言、私見ですがご容赦ください。
    司法の世界を代弁する言葉として「上命下服」、「一罰百戎」と言う言葉があります。いずれも市民社会を構成する立場からみると「反」する言葉です。しかし、これを司法と言う官僚機構の立場から見ると、彼等にとつては便利な守るべき言葉なのでしょう。権力を守る立場からすると彼等組織を守る規範と言う事なのでしょう。しかし、何が一番大事か、尊重されなければならないかという立場から見ると、それは人間性の尊重、それぞれの個性を認め、個性を十分に發揮させるための生活環境環境作りだと思うのです。
    上記の二つの言葉の「上命下服」は組織優先主義であり権力保持のためには最優先事項です。さらに、「一罰百戎」は彼らの組織擁護を強化する便利な独善的な術語でしかありません。問題はどうしてこのような身勝手な言葉が社会に定着(?)したのでしょうか。形、形式を真似ても、その真髄までは吸収できなかつたことにある様な気がします。極論するとその推進母体は官制の教育体制にあったと思われます。
    日本社会が明治維新以降、「脱亜入欧」、「和魂洋才」の掛け声のもとに、西欧文明を

    模倣・吸収してきたプロセスに多大の問題があったように思います。特に官僚養成機関としての東京大学法学部を中心とする教育機関体系が健全であつたかどうかです。官僚養成機関として専ら国家公務員試験合格を意図した教育体系・仕組みが優先し、教育の最重要課題である、教養を高める、研究・討議・深耕等を疎かにしてきた結果、官僚機構のみが肥大化、形骸化して自らの思考力・批判力を失ってきたのではないでしょうか。ドラッカーが日本社会を見て次のように発言した「日本の官僚機構の弊害を除く
    ためには、まず、東京大学をリセットしなさい!」
    一個人として東京大学の建学の精神を問うてみたい。

    投稿者: YS

  • 素晴らしい主張です。よくぞ書いて下さいました。心から感謝です。おっしゃる通り、ホリエモン、村上ファンド逮捕以後、若い人達は目立つのを恐れる様になりました。日本の将来にとっても大切な意見を堂々と言える義人さんはやっぱり凄い。これからも頑張って下さい。

    投稿者: 藤原ヒロミ

  • 司法については門外漢なので、
    深くはなにもいいませんが、
    気付いた点。

    裁判の簡素化の記述で感じた点。
    ・裁判員制度
    ・検察審査会制度改正。
    の二つをどう考えるか記述なしには
    司法のあり方は語りきれていないのでは
    ないでしょうか。

    簡単ですが、以上です。

    投稿者: 宮本朋和

  • 司法につきましては私は経験が少ないですが、友人がおりまして、いくつか実際の裁判の現場を拝見致しました。

    その経験から、
    >2. 裁判の透明性とスピードアップを!
    につきましての、私の意見を述べさせて頂きます。

    >多くの国民は、時間・労力・コストを要する現行の裁判手続きを忌避しがちである。
    確かに、おっしゃる通りではあります。
    しかしながら、中には、自分の主張を通したいという方もおられました。

    その際に問題となりますのは、
    >全ての裁判所における判決(判例)をデータベース化
    この判例のデータベース化でございます。私は、既にデータベース化は済んでいるのではないか?と思っております。

    裁判の現場を拝見し、私が一番驚いた点は、”妥協案”や、“今までの判例の中間”をとる結果がほとんどという点でした。

    これでは、裁判を行う前から、結果が分かってしまい、スピードアップどころか、裁判が行われなくなると思います。
    弁護士の先生も、儲からなければ意味がありませんから、結果が見えている裁判には積極的にならない傾向にあります。

    私は、
    ”裁判のスピードアップは重要ですが、これまでの判例にとらわれず、個別の事件の状況をよく精査し、正しい判決を望む”
    ことを提案したく思います。

    投稿者: 星野毅

  • 1. 「目立ったもの」狙い撃ちを控えよ!
    >検察側の偏った正義や、その手段には問題ですので賛成ですが、『本当に悪いもの』とはなんなのかの議論は重要だと考えます。

    2. 裁判の透明性とスピードアップを!
    >人が人を裁くにエコシステムは必要ないと考えます。
    刑事事件の場合は、被害者がいるためため、出来る限りの迅速化は望ましいと思いますが、
    一方、民事事件の場合、迅速化で判断出来るのか疑問です。
    被害者と加害者を区別し難いような複雑な問題が多くなっている状況では、凡例ベースでは判断できず、また調査時間も必要だからです。『正義』全て自分にあるというのであれば、迅速化は可能なのでしょうけど、立場状況に応じての多角的な判断は今後ますます必要になってくるのでは無いでしょうか?
    透明化に関しては凡例をデータベース化する事で何が透明になるのでしょうか?過去の凡例は過去の判断が透明化なるだけだと判断します。それ以上に、現在の家裁、地裁、高裁の裁判官がどのような判断を実施しているのか?どのような進め方をしているのか?その裁判に公正、公平性があるのかを確認できる仕組みの方が必要と考えます。裁判官の忌避が現行の裁判制度では、難しいため、裁判官の傲慢性を産み、閉ざされた空間での闇の部分が見えないのが実態です。透明化としては、都度行われる司法の仕組みが健全に営まれているかをチェックするような第三者機関を用意し、昨今の変わっている社会的変化に対応するような仕組みの構築が必要かと考えます。

    投稿者: KK

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