2011年9月12日 (月)
| 政治・社会 | 日本のビジョン「100の行動」: 11.「政府のIT化を速やかに実現せよ!」【経産5】 |
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「森首相(当時)がITを“It”(イット)と呼んだ」という、冗談のような報道がされたのは、もう既に11年以上も前のことになる。
そして、その翌年2001年1月に施行された「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」の第20条では、「国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化、効率化および透明性の向上に資するため、国および地方自治体での行政の情報化に必要な措置を講じなければならない」と規定されている。
「国民の利便性の向上」という観点で、国民がオンライン化・ワンストップ化された各種行政サービスを享受し、時間とコストを軽減する筈だった。さらに、「行政運営の簡素化」という視点では、ペーパーレス化、行政文書の共通化、政府情報システムの統合・集約化などにより、行政スピードを向上させ、行政コストを大幅に削減している予定だった。
しかし、2010年版情報通信白書でも指摘されている通り、わが国の「公的部門でのIT利活用」が、未だ諸外国と比較して大きく遅れているのが現状である。「国連世界電子政府ランキング2010」では、日本は17位であった(1位は韓国、2位は米国、3位はカナダ、4位は英国、5位はオランダ、以下、ノルウェー、デンマーク、オーストラリア、スペイン、フランスの順位)。
IT元年といわれた2000年以降、政府が電子政府を十分に推進出来なかった理由として、1)電子政府の基盤となる国民IDの未導入、2)「利用者視点」が欠如したインフラ重視のIT化、3)政府の推進体制が抱える問題、などが大きな要因であった。
先ず、1)国民IDは、電子政府を支える基礎的要件であり、最優先政策として取り組むべき課題であったものの、国民からの反発を恐れた政治・行政関係者により、今日に至るまで先送りされてきた。その結果、各省庁が別々のシステムと様式により、行政データ(国民の属性など)を保有しているため、行政手続きのペーパーレス化・ワンストップ化は殆ど進展していない。逆に、「消えた年金問題」での重大な欠陥も露見している。
また、2)「利用者視点」が欠如したハード(インフラ)重視のIT化では、業務プロセスの再設計(BPR)は殆ど行われずに、従来の行政制度をIT化しただけであった。したがって、縦割りで硬直的な行政上の課題が解消されずに、未だに国民の様々な行政手続きでのペーパレス化・ワンストップ化は遅滞している。
さらに、3)政府の推進体制については、本来であれば司令塔となるべきIT戦略本部には、予算・権限の一元化が付与されていないことから、縦割り行政を超えた司令塔として、十分に機能していないのが実情である。
その結果、歴代内閣は2000年『IT基本戦略』、2001年『e-Japan戦略』、2003年『e-Japan戦略II』、2006年『IT新改革戦略』、2009年『i-Japan戦略2015』、2010年『新たな情報通信技術戦略』などを策定し、閣議決定を行ってきたものの、政策目標の先送りと新規政策の取り纏めが何回も繰り返されただけであった。何と言う無駄なことだ。
その結果、わが国の電子政府は諸外国に大きな差をつけられているのが実情だ。今後取り組むべき「行動」について、以下の通り、提案していきたい。
1. 民間から政府CIOを招聘せよ!
民間から政府CIO(最高情報責任者)を招聘して、地方自治体を含めた行政全体のIT化に係る予算や推進権限を付与することが先ず肝要だ。
インド国では政府関連機関である政府ITの総責任者(大臣相当ポスト)に、インフォシス社の共同会長ナンダン・ニレカニ氏を起用するなど、積極的に民間の知恵の導入を行っている。僕は、ナンダンとは何度も会っているが、直前までインフォシスのCEOとして、グローバルカンパニーの指揮をとっていた。
日本でも各府省庁や地方自治体のCIOのポストでは、専門性の高い民間人を積極的に任用すべきである。「100の行動」では、ワークス・アプリケーションズの牧野正幸氏の様に、ITソフトウェア・ベンチャーを立ち上げた経験者をその職に勧めたい。IT産業と言うと、基盤・製品ソフトウェア開発を主に指すが、日本ではその大半がシステムや人材派遣等のITサービス業である。今後、クラウド化が進展し、ソフトウェアのサービス化(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)が更に進むと、ソフトウェアのノウハウを持った人が必要になる。
政府CIOの下には、業務効率化などの民間専門家チームを設置するなど、民間人材の積極的な活用を強く求めたい。その強力な推進体制のもとに、有無を言わさずにガンガンに政府のIT化を勧めて欲しい。
2. 国民IDを速やかに導入し、国民の行政手続きをオンライン化せよ!
韓国では、自宅のプリンターで交付可能な証明書は6種類(住民票など)もあるし、ライフイベント(引っ越し・結婚・入学・退職など)を含めた、殆どの行政手続きがワンストップ化されているのが実情だ。日本と韓国は、戸籍制度・印鑑登録制度・国民年金制度などの諸制度が似通っている。なのに、なぜ韓国でできて、日本でできないのか。
政府のIT化の大きなボトルネックは、本人認証の共通基盤である、国民IDが無いことである。日本でも国民IDを、可及的速やかに導入すべきである。実際に、国連の世界電子政府ランキング(2010年)で上位にランキングされている国では、殆ど「国民ID」もしくは「社会保障番号」が導入されている。その際には、個人情報保護の観点から第三者機関の創設や、行政機関が保有する個人情報について、本人が内容を確認できる仕組みの整備などが不可欠である。
国民の利便性を向上させるためにも、『個人情報二重請求禁止法(仮称)』を施行させて、国民が各種行政手続の申請などに際し、既に他の行政機関が保有している本人情報については、原則として申請用紙の記載・添付を不要とすべきである。これらができると、窓口申請時のストレスが減り、何と便利なことか。
尚、将来的には、国政選挙・地方選挙などにおける、「電子投票」も可能にすべきであろう。その前段階として、「インターネット選挙活動」を次期国政選挙までに早急に解禁することを強く求めたい。何をトロトロとやっているのだ。インターネットによる選挙活動を解禁しない理由など存在しないのだから、さっさとインターネット選挙活動の解禁を実施せよ。
3. 官民全てを繋げよ!
官民全てを繋げることで行政情報の公共財化(社会情報資源化)を期待したい。政府は、可及的速やかに、1)各省庁間での行政手続きの電子化・ペーパーレス化、2)地方公共団体と政府との行政文書、予算書、公会計資料の統一化などを実現し、3)更には、全ての企業・法人とのやりとりもオンライン化で実施可能とすべきである。
尚、政府には、従来の閣議や国会審議を「電子閣議」・「電子国会」に移行させて、立法府(国会議員)が率先垂範して審議のスピードアップや、ペーパーレス化によるコスト削減に取り組む強い決意を国民に示すことを期待したい。
行政は保有する統計・調査などの情報を、「公共財(社会情報資源)」として位置付け、個人情報の保護を担保した上で、原則として全てをインターネットで容易に入手可能にすべきである。
このように1. 民間から政府CIOを招聘し、2. 国民IDを導入し行政手続きをオンライン化し、3. 官民全てを繋げることにより、2000年に制定されたIT基本法の精神に則る「国民の利便性の向上」と「行政運営の簡素化」が実現する。当然、IT熟練度が低い方の為にも、今まで同様の窓口サービスを提供し続けることは、重要な措置となろう。
日本全体の生産性を上げるためにも、積極的に政府のIT化を推進させ、通信とともにITの分野でも日本の優位性を世界に示せるようにしたいものだ。当然、その際に使う税金の2割以上は、ベンチャー企業へと発注されるのが妥当だと考える。政府のIT化を通して、国民の利便性が上がり、行政運営が簡素化され、日本人・日本企業のIT熟練度が上がり、更にベンチャー企業も育成されるのだ。
トロトロやらずに、思いきった「行動」を速やかに実施することを大いに期待したい。
「行動」の迅速実施に大いに賛成です。住基ネットにしても人権擁護団体からの小さな発言に弱腰になり自治体単位で反対され住基カードを持つことさえ出来ないという異常な国民が世界の基準から益々遠ざかってガラパゴス化していることに腹立てている民がどれくらいいるだろうか?余りにも実施行動時に配慮と称する責任回避を官僚がやりすぎた結果だろうか?それとも国益とはと何かを真剣に考え、皆を説得し、方向性を示し、リードしていく政治家がいなかったからだろうか?今からでも遅くなく堀先生と行動を共にして、身近なレベルからでも活動する所存です。志あるものが一人ひとり行動することで、大きなムーブメントにしていきたいと存じます。
投稿者: 加藤満宏
特に、
「2. 国民IDを速やかに導入し、国民の行政手続きをオンライン化せよ!」
につきましては、“国民に望むこと”に該当する部分かと思っております。
本来、住基ネットがあったはずなのですが・・・
何故、住基ネットは失敗に終わったのか?
この問題を解決しない限り、国民IDも失敗に終わってしまう感じがします。
この点は、政府だけでなく、我々国民も住基ネット失敗の原因を考える必要があると考えます。
投稿者: 星野毅
国民ID、国民背番号ができていれば、今回の震災での義援金も、迅速に、被災者の方々に配ることができたはず。事故が心配だから車に乗るな、毒があるからフグを食べるな、という論理では何も始まらない!
投稿者: S小M中
「国民IDを速やかに導入」「官民全てを繋げよ!」大賛成です。
特に財政破綻を目前にしている今、小さな政府の実現と新たな国際競争力の獲得は避けざる得ない課題となってくるはずです。
SF的にみられるかもしれませんが貨幣経済から電子経済への移行、これに伴う省庁、自治体の再編成等々、政府や経済のリストラクチャリングを前提とした危機感のあるT戦略を再度練り直す時期に来ているのではないでしょうか。
投稿者: 遠近浩二
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