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2011年9月 5日 (月)

政治・社会 日本のビジョン「100の行動」: 9.経済拠点としての日本の魅力度を上げよ!【経産3】

日本のビジョン「100の行動」の1.基本理念の二つ目の項目に「創造と変革による経済成長」を掲げた。国力の源泉である「強い経済」がないところに、持続性のある国家運営は実現出来ない。経済が弱体化すると、産業が衰退し、雇用が減り、税収が減り、財政が破綻し、技術開発や人材への投資も細る悪循環に陥る。今日本が抱えている諸問題を解決し、好循環に導くには、経済成長を起爆剤として、財政、社会保障の問題などを解決する以外に方法は無い。経済の成長無くして、日本の諸問題の解決が無いと断言しても良い程だ。

だが、「どうやって成長させるのか?」。この問いに対して、今までの政権は、完全に間違った答え、つまり間違った理念に基づく経済運営をしてきた。今までの政権は財政出動による景気刺激策を中心として、経済を成長させようと腐心してきた。これでは、例えて言うと、病気に苛まされている体にカンフル剤を打ち、瞬間的に刺激を与えて元気にさせているようなものである。その結果、心身ともに疲弊し病気が更に悪化するとともに、カンフル剤を打つ資金も底を尽く結果となってきた。

経済、つまり体が弱体化しているときは、短期的な刺激策を打つよりも、抜本的な体質改善を図る必要がある。その「体質改善」のためには、短期的な刺激策は、逆効果になることはあっても、プラスになることはない。「体質改善」が行われ、健康な体に戻ると、何ら刺激策を取らなくても、活性化され自律的に成長していくのである。

その「体質改善」のために必要なものは、次に述べる3つの施策である。

1. 経済連携と自由貿易を通して、国を開き、世界からヒト、モノ、カネ、チエ、技術、情報等が自由に出入りする国とすること。

2. その拡大した市場・経済の中で、日本の経済拠点としての魅力度を高め、日本での経済活動を活性化し、

3. 規制緩和を徹底的に進め新規参入を促し、ベンチャーやイノベーションによる民間活力を最大限に発揮させ、弱い企業を倒産させながらも新しい企業を生み出す、新陳代謝が行われるバイタリティ溢れる国とする。

「体質改善」の為には、古く腐っている細胞を守るのではなく、積極的に死なせ、新たな細胞を生み出す必要がある。人間の体の中には、数億個という細胞が一日に死に、新たに数億個という細胞が生まれる。この新陳代謝を生み出すためには、非効率な会社(細胞)をバタバタと破綻させ、新たな会社(細胞)を生み出し、雇用や資金(血液)を新たな産業(細胞)に移行させることが重要である。これが、健全な経済(体)を生み出し、成長させる源泉となる。もしも不健全な細胞を維持するとガンなどの変異体が生まれ、体全体をむしばむ可能性がある。ソンビの様な細胞(会社)には、さっさと退出してもらい、新たな細胞(会社)を生み出す必要があるのだ。

その体質改善のために、必要な上記3つのポイントについては、1.経済連携・自由貿易は、行動8.自由貿易で述べ、2.経済拠点の魅力度は、この行動9.で述べ、3.規制緩和とベンチャーは、次の行動10.で述べる予定だ。

この3つを断行し、中小企業やゾンビ会社を守るために今まで投下してきた助成金や救済措置を止め、徹底的に国を開き、規制緩和をすることにより、新規参入を促し、新陳代謝による「体質改善」が、可能になる。時間がかかるようだが、長期的な日本の成長のためには、この体質改善に使う時間は、不可欠なのである。

この施策の大部分は、小泉内閣の竹中経済大臣の指揮下で進められ、成功を納めてきたが、途中で改革の痛みに耐えきれない既得権者が、小泉首相の退任とともに、政府に圧力をかけ、政策変更してしまったのが悔やまれる。あのまま断行していれば、日本の体質改善は更に進んだことであろう。

日本は現在、人口減少社会という困難な社会・経済問題を抱えている。その問題に加え、「政策の不作為による6重苦」、すなわち、高い法人税問題、京都議定書の履行義務(CO2排出)、労働慣行問題、円高問題、FTA・EPAの遅滞、電力不足問題、などの6つの足枷により、さらに経済活力が削がれているのが現状である。

その一つ一つの足枷を解決し、日本の経済拠点としての魅力度を上げることが、「体質改善」のために、先ずは最優先課題となる。

1.「6重苦」の抜本的問題解決を!

1)法人税の引き下げを!
経済拠点としての日本の魅力度を上げるために、日本の法人税の実効税率(約40%)を、国際的水準(25%-30%)を目指して引き下げることが不可欠である。2010年6月の「新成長戦略」に基づき、2010年12月に、約5%の法人税引き下げが閣議決定されたものの、大震災後に事実上見送られてしまった。先ずはこの迅速な実施が求められる。

「法人税を下げると、税収が下がる。一方、その財源が無い」、という意見を良く聞く。僕は逆だと思っている。法人税を下げると寧ろ中長期的には、法人税収が上がると予測している。そもそも法人税が40%から10%下がると、税引き後利益が10%強上がり、株価は理論的にその分値上がりする。更に、日本の経済拠点としての魅力度が上がると投資を呼び込めるのである。短絡的に、法人税下げ=税収減にはならないと思う。

最も重要なことは、日本の経済拠点としての魅力度を上げ、工場、投資、人材を呼び込み、経済活動の密度やスピードを上げることである。隣の韓国は、その手法で、日本企業の工場誘致に成功している。日本がその施策を行わないと、隣国に優位性を更に奪われていくことになろう。

2)京都議定書の履行義務の延長拒否を!
なぜ、アジアの中で日本だけが、二酸化炭素(CO2)排出削減の履行義務があるのか。今の日本の競争相手は、韓国と中国だ。韓国には、削減履行義務が無い。中国は、日本が排出権を獲得するために年間数千億円もの資金の流入という形で恩恵を受けている。前回のカンクーン会議で、日本は京都議定書の単純延長を拒んだ。この単純延長は、断固として受けてはいけない。地球環境の為に、二酸化炭素の削減が必要なことは、自明だ。但し、この削減は、韓国・中国と同じイコール・フッティングでなければ、日本の産業の弱体化を招くだけである。

3)労働慣行
日本の労働慣行は、先進国の中でも最も硬直化している。解雇はできないし、非定期雇用さらには、派遣労働者の雇用も今後さらに規制の網がかかることが予想される。本件に関する詳細は、厚生労働省における行動の際に述べることにするが、労働慣行の硬直性を打開しない限りは、日本の経済活動の更なる停滞を招き、雇用を減らすことになろう。

4)円高
行きすぎた円高への対応を怠ると、空洞化を更に進展させることになろう。円高の一番の元凶はデフレである。このデフレ退治は一朝一夕ではできない。この「行動」で述べている抜本的な「体質改善」を行い、経済活動を活性化しないと解決しない。だが、デフレと同等に大きな問題は、政府の為替政策の有無であろう。韓国・中国は明らかに、ウォン安、元安政策をとっている。日本の政府は、為替に関しては完全に無策である。その無策を嘲け笑うかのように、円高が進展している。何が日本にとり重要なのかの政府内の議論をしっかり行い、方針を持つことが先ずは必要だと思う。「市場の動向を注視している」では、何のメッセージにもなっていない。

5)FTA・EPAの遅滞無き実行を!
この方針に関しては、行動8.自由貿易で述べたので割愛する。


6)電力不足問題の解決を!
これも行動7.エネルギー問題で言及したので割愛する。

経済の発展や雇用の促進のためには、企業の成長が不可欠である。企業が日本を拠点として選び、工場等の設備投資を行い、研究開発に従事し、人材を採用し・育成する。そのような経済活動の拠点として日本が選ばれる為には、財界の声や要望に耳を傾け、財界が叫ぶ「6重苦」の解消に対して、「断固とした姿勢で臨むのだ」、という意思を示すことが、世界へのコミュニケーション上重要になる。その強い意志を示し、施策を一歩一歩実行することによってのみ、経済活動の拠点としての日本の魅力度が上がって行く。民主党政権になってからの鳩山氏、菅氏と続いた二年間は、あまりにもひど過ぎた。ビジネスや財界を敵視した結果、雇用が更に失われていく悪循環のスピードを早めただけの結果となってしまった。

2. 魅力度を高めるための他の施策の実施を!

1)人材育成を強化せよ!
日本の経済拠点としての魅力度を高めるためには、人材供給源としての日本の教育を強化する必要がある。英語教育の強化、高等教育の拡充、プロフェッショナルスキルの向上、企業家精神の醸成と発揮などによる労働力の質を高めることが、喫緊の課題である。本件に関する詳細は、文部科学省における行動で詳述することにする。

2)経済成長戦略の着実な実行を
近年、歴代内閣毎に経済政策(含む経済成長戦略など)を取り纏めるものの、その実行と政策効果が出る前に、内閣交代を繰り返しているのが実情である。したがって、政策の継続性と実効性を高めるためにも、自公を含めた経済財政諮問会議、もしくは、米国の国家経済会議(NEC:National Economic  Council)などのように権能を付与した司令塔の下に、中長期を見据えた総合政策の立案・実行・レビューを行うことが求められる。

3)独占禁止法の見直しを
企業の新陳代謝を促進するとともに、過当競争の長期継続による消耗戦から脱却して、業界再編のための企業結合(M&A)を行い、世界次元で戦える規模にまで引き上げることが喫緊の課題である。そのためにも、独占禁止法の見直し(審査基準の透明化、適用基準の緩和、審査の合理化など)が求められる。

上述の通り、日本の経済拠点としての魅力度を高め、日本企業が世界でイコール・フッティングで戦える環境を整備する必要がある。それが出来なければ、日本の経済は衰退し、雇用が失われていくのみの結果となる。何度も繰り返すが、国力の源泉である「強い経済」がないところに、持続性のある国家運営は決して実現出来ない。したがって、経済拠点としての日本の魅力度を向上するためにも、強い政治の意思とリーダーシップが求められている。

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コメント(4)

  • 日本の体質改善が必要なことは言うまでもありませんが、日本が既に壮年期を過ぎている現実も直視すべきです。低成長時代に入った先進国はマネーの力で成長を維持しようとして自滅しました。「経済成長」の意味、中身を考えることが必要です。

    今後、人口が減少し、自動車・家電などの普及需要が飽和してしまった日本において、国内市場の「規模の拡大」を期待する「成長経済」は成り立たなくなっています。当然、海外から見ても日本市場の魅力は限定的となります。新興国向けの輸出だけで日本を支えられるほど国際競争は甘くありません。企業経営として市場に隣接した地域への拠点の移転は避けられません。GDPにおける製造業比率は所詮20%に過ぎず、60数%を占めるサービス業の生産性が鍵です。日本にとっての「経済成長」は「成熟経済」へのソフトランディングではないでしょうか。その文脈で、「日本の経済拠点としての魅力」を高めるための、具体的施策を議論すべきです。

    投稿者: 阿達雅志

  • 変革にあたっては,現状を移し替える先が不可欠です.しかし,この「移し替える先」は,2つを考えなくてはなりません.

    1.システムを移し替える先.決定権のある人間が受け持つ目的地です.
    2.淘汰される側を移し替える先.社会として,この受け皿システムを備えなければ,社会不安を招きます.

    この,2について,思うところを提案させていただきます.

    解雇をしやすくする.これは不可欠です.小遣いをもらうために,お利口に過ごすのと変わらない職業態度を,一掃しなければなりません.

    しかし,このメンタリティの問題は,表向き「赤字」で受注して,下請けに痛み分けを迫り,忠誠を確認するような商慣行(?)を潰すことにもつながるでしょう.労働者をビジネスに目覚めさせることになるからです.

    淘汰される側,おそらく凝縮されたタチの悪さを,「生産力として再生させる」ことから眼をそむけるべきではありません.

    法治主義の徹底はもちろんですが,罪を裁くには,先だって,自暴自棄に狂った復讐行為の「被害者」を必要とします.止むに止まれぬとはいえ,解雇は怨念を育み,刺し違えを覚悟で挑まれるのは,まったく御免ねがいたいものです.

    法システムとは別に,入れ物としての日本の社会システムを考えねばなりませんが,この点はすでに宝でもあります.世界の希望でもあり,日本の価値の源泉でもある.この磐石な安定感を壊さないためにも,相手や社会を信頼し,安心して,解雇や産業再構築ができる仕組み――移し替える先が必要です.

    日本に集積すべきは,このジャパン・バリューに見合う産業です.玉石混交のバザール産業ではない.高レベルの労働者,文化イメージなど,見合う付加価値が得られるのであれば,その対価としての高税率もアリではないでしょうか.

    なおリンクに,日本への愛に満ちたメッセージを付させていただきます.
    この方々にも応えられる日本にしましょう!

    投稿者: syukiti

  • 論点、施策が多いので、私の方でざっくり整理すると、
    日本の体質改善のために、1.経済連携・自由貿易2.経済拠点の魅力度向上3.規制緩和とベンチャーの3つを断行し、中小企業やゾンビ会社を守るために今まで投下してきた助成金や救済措置を止め、徹底的に国を開き、規制緩和をすることにより、新規参入を促し、新陳代謝による「体質改善」が、可能になる。時間がかかるようだが、長期的な日本の成長のためには、この体質改善に使う時間は、不可欠なのである。
    そのために、
    1.「6重苦」の抜本的問題解決を!(法人税引き下げ他)
    2. 魅力度を高めるための他の施策の実施を!(人材育成他)

    最後まで読んでみると、6重苦に関しては、3年後全部がまとまるときには、
    だいぶ内容が変わってきているように思います。

    外国人、外資企業の目線から考えて、日本の経済拠点としての魅力度の施策として単純に足りないように感じました。何かというとうーん。あえて日本に参入する根拠が薄弱。アジア他国と差別かできていないような。

    ニッポンらしさ、らしさのある業界・カテゴリーを強化(極論言えばアニメ)など
    を強化育成し、ニッポンの大きな魅力に育てることが大切なのではないか、という目線を付け加えておきます。


    投稿者: 宮本

  • 竹中大臣の政策が続いていれば、今の日本は変わっていたと私は思います。
    変わる方向性としては、良い方向か、悪い方向か、その結果は分かりません。恐らく、良い・悪いが共存して変わっていたのではないかと想像します。

    さて、変わらなかった日本ですが、
    最近では、「企業が海外に移転するのは電力不足」→「企業が海外に移転するのは円高」と理由が変り、「企業が海外に移転するのはレアアース問題」と、様々な課題を抱えております。

    しかし、個人的には、"海外移転”という選択が遅いと感じています。
    基幹技術と技術開発だけ国内に残しての海外移転は、今でなくてもできたはずです。

    どうやって成長させるのか?との問いかけに、
    「良い方向か、悪い方向か、その結果は分かりませんが、政府・企業・個人を問わず、素早い決断が必要」と思います。結果として悪い方向でも、より先を見れば、成長に必要な一つの過程と考えております。

    投稿者: 星野毅

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