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2011年12月 2日 (金)

政治・社会 日本のビジョン「100の行動」: 20.アライアンス・パワー(同盟とパートナーシップ)【外務6】

中国の透明性を欠いた国防力の強化と尖閣諸島・ガス田等をめぐる海洋権益をめぐる対立。北朝鮮による核・ミサイル開発。ロシアの積極的な極東地域への進出など、日本を取り巻く国際情勢は課題が山積しており、依然として緊張度の高い状態が外交・安全保障分野で続いている。
  
特に、中国の積極的な海洋活動による脅威は深刻化している。その影響は、日本のみならず、南シナ海の南沙諸島問題で、ベトナムやフィリピン等の東南アジア諸国との緊張をもたらしている。

このような、東アジア地域における中国の台頭に対抗し、同地域での平和と繁栄を図るには、日本のみの力では無く、米国との連携、更にはASEAN等との連携を図ることが重要である。

その意味では、2011年11月18日の日本・ASEAN首脳会議での「バリ共同宣言」において、南シナ海での領有権対立に関する海洋安全保障分野での協力を強化したことは評価できる。さらに、「アジア回帰」の外交政策を打ち出したオバマ米大統領が、初めて参加した2011年11月19日の東アジア首脳会議(EAS)で、南シナ海問題について、海洋での国際法の重要性、主権と領土保全の尊重、紛争の平和的解決などを謳った宣言が採択されたことは評価できよう。

このような日本・米国・ASEANでの協力連携は、今後の対中国外交政策のあり方について、大きな示唆があった。外交において重要なことは、アライアンス(同盟とパートナーシップ)である。一国の力で対抗できない問題も、多くの国々と連携を図り、自国の主張を通しやすくすることで解決することが可能となる。
  
そのアライアンスの面でも、中国は積極的な外交攻勢を展開している。特に、上海協力機構(SCO)、BRICS、中国・ASEAN首脳会議、中国・太平洋島嶼国経済協力フォーラム(CPIC)、中国・アフリカ会議、中朝関係、パキスタン・ミャンマーへの経済・軍事支援など、多国間・二国間で主導的な立場を確保しつつある。

その状況の中、外交の要であるアライアンスの面で、日本が考え得る施策を20番目の「行動」として提案していきたい。
  
1. 日米同盟関係のさらなる深化を!

日本にとって唯一の同盟国である米国との関係を基軸に捉え、外交戦略を練って行くことが肝要である。東アジア地域の平和と繁栄において、日米同盟(日米安保条約)は重要な国際公共財でもあるので、今後さらなる強化を図ることが不可欠である。具体的には、普天間基地移設問題の早期解決、日米両国の外交・防衛担当による日米安全保障協議委員会(「2+2」閣僚会合)の定例開催、集団的自衛権の見直しによる日米同盟の共同運用の実効性向上、武器輸出三原則の見直しによる技術協力の推進、などが求められる。

2. 親日国との二国間パートナーシップの強化を!

日米同盟を基軸として、親米国(同盟国)・親日国であり、共通の価値観と国益を有する豪州、韓国、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム、インド、トルコなどとの二国間関係の更なる深化・発展が、日本外交にとっての試金石となる。日本が技術的に優位にある原子炉や新幹線等の輸出を通しての関係強化や、日本企業の積極的な現地投資、更にはタイの洪水等の災害時での連携等も考えられよう。特に、G20参加国でもある韓国、インドネシア、インド、豪州との連携が今後重要になろう。

3. 既存の多国間の枠組みを活用し連携強化を!

(1) G7・G8での欧米先進国との連携の強化を!
G20が鳴り物入りでスタートしたものの、BRICSを中心とする新興国と先進国との鬩ぎ合いが発生し、世界的課題の解決には適さないことが段々明らかになってきている。その状況では、G7やG8に戻り、価値観を共有する欧米先進国との連携を強化していくことが肝要となろう。相次ぐ欧州経済危機により、国際経済は不透明で不安定な状況が続いている。こういう時期にこそ、日本の経験をシェアし連携していくことが重要である。

(2)アジア・太平洋地域との関係強化を!
日本の多国間外交において重要なのは、日本のお膝元であるアジア・太平洋地域である。世界の政治・経済の比重は、東へ、アジアへと向かっている。そのアジア・太平洋地域の多国間の枠組みであるASEAN+3、APEC、東アジア首脳会議への積極的な参画・主導権の確保は、日本にとっては死活問題である。その外交の主導権という意味でもTPP交渉への参加表明は、再度日本が米国とともに、この地域を引っ張って行くのだ、という気運をもたらしている。また、海洋の平和を打ちだし、中国を牽制する等の施策も効果大である。主導的な役割を今後とも日本としては果たしていきたい。

4. 日本主導の多国間協議の強化を!

(1)アフリカ開発会議(TICAD)の積極的活用を!
アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development)は、1993年以降、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)および世界銀行と共同で開催する、アフリカ開発をテーマにした国際会議で、5年に1回の首脳級会合に加えて、閣僚級会合を開催する。前回2008年5月の横浜でのTICAD IV(第4回アフリカ開発会議)では、経済成長の加速化、人間の安全保障、環境・気候変動問題などをテーマに、41名の国家元首・首脳(ジャン・ピンAU委員長を含む)など、アフリカ51カ国、34カ国の開発パートナー諸国・アジア諸国、74の国際機関・地域機関の代表、民間セクターやNGOの代表など3000名以上が参加する外交史上類を見ない大規模な国際会議であった。

しかしながら、日本は在外公館数や駐在外交官数などにおいて、中国に大きく後れを取っている。TICADは対アフリカ諸国外交の展開において、最重要ツールであることから、さらなる戦略的な活用が求められる。

(2)太平洋島嶼国とのパートナーシップの強化を
日本は南太平洋フォーラム(オーストラリア、クック諸島、ミクロネシア連邦、フィジー、キリバス、ナウル、ニュージーランド、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、マーシャル諸島、サモア、ソロモン諸島、トンガ、トゥヴァル、ヴァヌアツ)との太平洋・島サミット(Pacific Island s Leaders Meeting:PALM)を、1997年以来、3年毎に5回開催している。同フォーラム加盟国は、アジア太平洋地域の安定かつ持続可能な開発において重要であることから、引き続き同サミットを通じて、政府開発援助、環境問題、漁業、青少年交流分野などでの協力実施が求められる。

以上必要な「行動」を提案してきたが、他にも課題はある。中近東やアラブ諸国を対象としたアライアンスやパートナーシップをどう考えるのか。中央アジア諸国との関係性をどう高めるのか。APEC以外で中南米諸国との関係をどう強化していくのかなど同盟・パートナーシップを考える上での課題は多い。

課題は多いが一方では、日本が持てるヒト、カネ等の外交的資源は、限られている。戦略的に優先順位を付けて考えることが必要となろう。

要は、如何に多くの「仲間」=同盟・パートナーを世界に持つかが鍵となろう。その仲間との貸し借り関係、義理人情での助け合い、そして協調関係がいざと言う時の鍵になる。仲間創りで重要な事は、優先順位である。「等距離」と言うのは聞こえがいいが、ハッキリとどこが重要かを認識しなければ、戦略的関係を構築できない。

日本にとり先ず第一に重要なのは、攻められたときに守ってくれる同盟国である。その次に重要なのは、日本と近い二国間関係である。同盟国の同盟国である場合が多い。そして、既存の多国間における枠組みを通しての関係を構築するとともに、日本が主導する多国間の枠組みを如何に創るかが鍵となろう。

その関係構築のためにも、相手国が日本と組みたいと思わせる強さを日本が持つ必要がある。日本の武器は、経済と技術力だ。これが無ければ文化も維持できるかが疑問だ。経済外交が、日本が持つ力だ。だからこそ外交力を高めるためにも、日本の経済力を維持し、高める必要があるのだ。

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コメント(1)

  • >その仲間との貸し借り関係、義理人情での助け合い、そして協調関係がいざと言う時の鍵になる。

    この文章はとても重要なポイントですが、ご理解頂けていない方も少なくはないと思います。


    少し具体的に申し上げますと、仕事等の人間関係の中で、都合の良い時だけ自分の主張を通そうとし、都合が悪い時は相手の要求を全く受け入れない方がおります。
    そのような方が危機になりましても、貸し借り関係も無ければ、義理人情も無いわけですので、助けることはしません。


    外交も同じと思います。
    常に、トレード・オフを意識しながら協調関係を強固にしなければならない。日本の強さを生かす場合は、相手の強さも受け入れなければならない。

    我々は、より自己中心的意識から脱却する必要があると思います。

    投稿者: 星野毅

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