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2012年1月31日 (火)

日本人・アジア人・地球人 ダボス会議2012~2)3日目:「世界と肩を並べるグロービスへ」

ダボス会議三日目。いつもの様に朝6時前に起きて、メール返信をし、本日のスケジュールを見る。朝7時半から「世界の成長企業(GGC)」のボードミーティング。そして、いくつかアポやセッションが続き、夜20時から22時の大学学長ディナーまで予定がビッシリだ。「体調管理をしっかりしながら、しっかりと貢献していかなければ」、と強く認識する。

今回のダボスでの僕の個人的目標は、1)心にゆとりを持ち、会う人々に誠意をもって接すること。(いつもはバタバタしているので心ここにあらずになってしまうので)。2)プレゼンの中身もさることながら、方法にこだわる(堂々と信念を持って伝える)。そして、3)体調管理に気を使う、だ。今年は、ちょっと風邪気味だ。だからこそ、無理をしないでしっかりと休むことが重要だ。

朝のボードを終え、「賢い成長」というセッションに参加した。東芝の西田会長とFaceBookのシェリル・サンドバーグ氏、ボーダフォンのCEO、OECDの事務総長等がパネリストで、モデレーターがアクセンチュアの会長だ。

「人口増、限られた資源のもと、環境に優しい、賢い成長をするためには、原子力、スマートグリッド、代替可能性エネルギー、節電技術等のグリーン技術が必要だ(西田会長)」(堀注:西田さんの英語は、はっきりしていて、論旨が明確で、わかり易い)。

今回のダボス会議で、日本人経営者の登壇者は、ざっと見た感じダボス会議共同議長の長谷川経済同友会代表幹事、帝人の大八木社長と、東芝の西田会長、昨年の共同議長の三菱商事の小島会長程度だ。もっと積極的に出て欲しいものだ。

質問時間になったので、いの一番に手を上げて質問した。「賢い成長をするために、賢いコミュニティが必要だと西田会長が指摘され、僕もとても共感する。だが、どうやって賢いコミュニティを作れるのか? Facebookは、コミュニティを作れるが、それを賢いコミュニティにできるのか?」と聞いてみた。

ボーダフォンの会長からの回答が一番分かりやすかった。1)徹底的にネットワークで繋げ、2)知性がある人たちがインタラクションし、3)安全さえ担保すれば、自然と賢いコミュニティができあがる、と。

アフリカに関するパネルにチラッと参加した。モデレーターが、前英国首相のゴードン・ブラウン氏で、パネリストにズマ南アフリカ大統領他3名のアフリカ国家主席だ。その後、長谷川同友会代表幹事が登壇する「One on One」の会場に向かった。長谷川さんは、この「One on One」シリーズで、日本人唯一の登壇となる。30分間、何を話されるのか、興味深い。

「1950年の世界人口は25億人だったが、今70億人。2050年には、90億人近くが予測されている。一方、先進国では老齢化と人口減が始まっている。人口が減っている中、経済成長を期待するのは難しい。人口減にどう対応するかは、概念的には簡単だが、実施は難しい。先ずは、移民を増やすことだ。その次に考えつくのが、定年年齢を引きあげることだ。そして、給付を下げる必要がある。このまま次世代に負担を引き継ぐことは、許されない。今から行動し、変革を促す必要がある」、と。最後は、力強い言葉で締めくくられた。周りの評判は、とてもよかった。

そして、即座にメイン会場に移動した。英国のキャメロン首相が登壇するからだ。昨日のメルケル首相との比較が面白い。キャメロン氏は、何を語るのか。英国が主語となるのか、メルケル首相のように欧州が主語となるのか。

キャメロン氏のスピーチが始まった。気合が入っている。「欧州の成長が止まっている。この時期に必要なのは、リーダーシップだ」と述べて、法人税を23%に下げた等の英国首相としての成果を示して、自らのリーダーシップ力を先ずは強調した。

「英国はやるべきことをやっている」と示したあとに、「欧州の問題」に関して話し始めた。「VCの投資額も1/5しかない。 規制や税制は成長につながるかどうかで考える必要がある」(堀注。昨年とはかなり違う強いトーンだ。英国の正統性を強く主張する姿勢が窺える)。

そして、ユーロに関して言及し始めた。単一通貨に必要な要素を列挙したあとで、「ユーロには、単一通貨に必要な要素が一つもない。そんなことをユーロに入っていない英国に言われたくない、と指摘するかもしれない。であるならば、なぜEUの中にユーロを位置付けるのかと反論したい」。

英国が欧州諸国と一緒に実施してきた外交政策を列挙したあとに、「英国は、欧州と共同歩調をとっている」と強調し、「一緒にやりましょう」、とスピーチを締めくくった。

そして、演台を離れて、前に歩き出し、会場から質問を受け始めた。昨年のほがらかさと打って変わって、厳しく強い表情での対応だ。だが、このオープンさが、徐々に会場の支持を受け始めている感じがする。

キャメロン首相の明確なポジションは、「EU内のユーロ圏外の欧州主要国」だ。そして、「ユーロの問題は、ユーロ圏の問題で、欧州の問題ではない。ユーロ圏でしっかりと問題解決して欲しい」である。

その後、ロンドンオリンピックということで、ロンドン市長とオリンピック組織委員会会長のセバスチャン・コーを壇上に上げた。ロンドン市長のキャラは、強烈だ。ジミー大西の様な風貌で、タケシの様に面白い。

昼食は、ホテル会場での開催だ。ダボスには、20以上のホテルがあり、そこが朝食、昼食、ディナーの会場となる。その食事のたびごとに、民族移動の様に全員が移動する。クロークルームに立ち寄り、コングレスセンターの本会議場を出て、徒歩かシャトルバスで移動することになる。戻りは、その逆を行い、その上に空港並みのセキュリティ・チェックを受ける必要があるのだ。

僕が、昼食時に参加したのは、「e- Philanthropy」という会合だ。ウクライナの大富豪が行っている事業だ。登壇者が凄く、引きつけられた。本来は、トニー・ブレアが登壇する筈が、中東の外交があるから急きょキャンセルとなった。だが、それ以外の陣容が十分に凄いのだ。

先ずは、ショーン・パーカー氏だ。映画「ソーシャル・ネットワーク」に出て来たハチャメチャなキャラと比べて、実物はお洒落だが、割と地味な感じがした。次が、ロシア人のユリ・ミルナー氏だ。Facebook、Zynga、Grouponへの投資をした著名企業DSTGLOBALのトップだ。そして、エリック・シュミット氏だ。そのモデレーターが、クリントン夫妻の一人娘のチェルシーだ。

このチェルシー嬢のモデレーションが下手くそ(失礼!)なのが、妙に新鮮だ。一通り議論をした後に、質疑応答となった。会場からの質問者が、「ティム・バーナーズ=リー氏、WWWの発明者」と紹介された。この参加者の質の高さが、ダボスの魅力だ。

来た道を逆戻りして、会議場に戻り"Risk in a Hyper connected World"と言うセッションに座った。ダボス会議で毎年参加者している情報セキュリティのセッションだ。インターネット・セキュリティの最新情勢が学べて、とても興味深いのだ。

このセッションが面白いのは、欧州警察のディレクターがモデレーターになっていて、ICANNのCEO、TCS(タタ)のCEO、欧州委員会のデジタル・アジェンダのコミッショナー、そしてニューメキシコ大学の教授という顔ぶれである点だ。暫くして、違うセッションを梯子して、会場内でネットワーキングをした。

17時から18時半まで、僕が参加している“Global Agenda Council"の会合に参加した。あのEQの創案者のダニエル・ゴールマン氏が一緒なので、とても面白いのだ。18時半に中座して、Japan Nightの会場に向かった。

今年のJapan Nightは、官邸がスポンサーし、小山薫堂氏がプロデュースしている。毎年、食事がめちゃくちゃ美味しいので、ダボス会議の目玉にもなっている。今年も多くの参加者が来られていた。

僕は、30 分ほど滞在した後に、Japan Nightから大学学長のセッションに移動することにした。タクシーでの移動だが、道が混んでいるから大きく迂回して向かることになった。

学長ディナーの状況を紹介しよう。世界のトップスクールの学長が集うディナーである。米国からは、Wharton、欧州からは、INSEAD,LBS。そしてアジアからは、中国のCEIBS,インドのISB,そして日本からはグロービスだ。グロービスは、世界のトップに肩を並べたのだ。

大学の学長ディナーに出席後、オックスフォード大学レセプション&マッキンゼー・ナイトに参加した。マッキンゼーのトップのドミニク・バートン氏とJPモルガンのジミー・ダイモン氏と会話をした。帰る時にはクロークには長蛇の列ができていた。ふと見るとカルロス・ゴーン氏が並んでいた。早速挨拶をしてきた。

ホテルに歩いて帰る途中で、松田公太氏、高島宏平氏、船橋力氏等のYoung Global Leaderのメンバーと合流した。ふと振り返ると、後ろにラリー・サマーズ氏がいた。すかさず声をかけて、一緒にホテルまで向かった。図々しくも、登りのエレベーターまで一緒させてもらった。ダボスでは開放的になるのだろうか。声をかけても誰も嫌な顔をしない。

本日見かけて、声を掛けそびれたのが、マイケル・ポーター氏、ジョージ・ソロス氏等だ。もう少し積極的になっても良かったのかもしれない。夜ゆっくりとお風呂に入って寝て、また明日に備えることにしよう。明日も朝からぎっしりの予定だ。

2012年1月30日
機内にて執筆
堀義人

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