起業家の風景(エッセイ) 起業家の風景 一覧へ

2012年2月 2日 (木)

日本人・アジア人・地球人 ダボス会議2012~5) 6日目:ダボス帰路の風景

ダボス会議最終日の朝。天気は、晴れ。前日は、ヘリが飛ばずに、枝野・古川両大臣が、陸路で移動した。今日は、大丈夫そうだ。朝のセッションに登壇して、午後1時のチューリッヒ発のフライトに乗るには、ヘリでの移動しかないのだ。パッキングして、チェックアウトし、荷物を預け、会議場に向かうことにした。

ダボス会議の最終日は、全て“Debrief”と名がつく、まとめのセッションだ。僕は、「リーダーシップ」のまとめを語る役割となった。世界が劇的に変動する中、今ほどリーダーシップが必要となる時代は無い。今までの古いモデルが、なぜ機能しないのか。今どのような変化が、起こっているのか。新しいリーダーのモデルは、どうあるべきか。これらを、グローバル・アジェンダ・カウンシル(GAC)のメンバーでリサーチしていることを中心に、熱く語ってきた。参加者の人数は少ないが、評判は上々だったと思う。

セッションを終え、参加者に挨拶をして、本会議場を出て、ホテルに戻った。空を見上げると、青空が広がっていた。全てをやりきった感覚で、すがすがしかった。ホテルからヘリポートまで車で移動した。前日までは、雪の予報があり、「飛ばないかもしれないから、陸路の交通手段を用意するように」とヘリ会社から連絡があってとても心配したが、見上げると太陽が顔を出していた。

窓の外を見る。アルプス山脈に囲まれたスイスの美しい街並みが、一面銀世界の中、広がっていた。初めてゆっくりと見ることができている気がする。スキー客が歩いていた。ダボスは、これからは普通のスキーリゾートに戻るのであろう。

(以下は、ツイッターの実況中継だ)
今、ヘリポートに到着。一面銀世界だ。これから山を超えて、チューリッヒへと向かう。

今、現地時間10時30分。13時発の飛行機に間に合わせるには、ヘリしか無いのだ。これから搭乗する。

搭乗した。即離陸だ。今、浮いた。180度回転して、いざチューリッヒへ。

操縦士とヘッドフォンマイクを使って交信する。「綺麗だね」、と先ずは交信。前方から軍事ヘリが二機すれ違った。低い小さな雲の上を進む。

谷間を囲む山々の頂上と同じ高さまで、到達。操縦士が、「寒く無いか?」と気を遣ってくれる。

スキー場が見えた。右手に3000m級の山がある。オーストリアとの国境だと言う。『サウンド・オブ・ミュージック』を想い出す。

霧がかっているので、低空飛行になった。小さな川が見えた。操縦士によるとライン川だと言う。ボンを経由して北海までたどり着くあの大河だ。

平地は、農地か、住宅などの建物が立っていた。山の合間にも家が見える。その上には、スキー場だ。スイス人は、スペースを使うのが上手だ。

今、湖の上を飛行中。湖が平地を全て飲み込み、湖畔を道路が走る。両脇は、絶壁だ。

湖の色は、濃い緑で、山の緑と呼応する。平地に入った。この辺になると、雪が積もっていない。一面農場だ。操縦士によると、チーズや牛乳などをつくっているのだという。

チューリッヒ湖が見えてきた。空港は、その向こうだ。あと15分ほどで到着予定だ。

霧が濃くなってきた。少し遅ければ、ヘリは飛ばなかったかもしれない。

細長いチューリッヒ湖を超えた。あと少しだ。へりの揺れがすごく、緊張感が走る。操縦士との会話も減ってきた。チューリッヒの中央駅の真上を飛び、空港へ。

空港の手前で旋回を始めた。空港に近づく許可が出ないようである。

操縦士が何やらドイツ語で話をして、まっすぐスピードを上げて飛び始めた。空港が見えた!!!

そして着陸だ。今、無事到着!!

黒いリムジンがヘリに横付けし、操縦士に導かれるようにして、ヘリを降り、車の後部座席へ滑り込んだ。飛行場に数多くのプライベートジェット機が停まっていた。ダボス会議の期間中に、数百機近くが離着陸していた、と言う。すごい世界だ。空港のトイレで、ネクタイを外し、ジーンズとカジュアルウェアに着替え、成田行きに搭乗する。機内でゆっくりとシャンパンでも飲もうかと思う。でも、コラム も書かないといけない。結局、しばしのんびりさせてもらうことにした。

機内で爆睡できた。コラムは、半分完成した。飛行機が着陸体勢に入った。外を見る。茨城の上空あたりであろうか。遠くに富士山の威容を仰げる。思わず機内で合掌をする。筑波山が見え、霞ヶ浦や利根川が見えた。僕の故郷、茨城の上空を飛んでいるのだ。

成田に到着。成田空港でダボス会議の「日本代表」の面々と別れを告げ、陸路東京へ。日本は快晴。雲一つ無い青空が広がる。気分は最高だ。これにて、僕のダボス会議5回目の参加報告を終えることになる。

夕食時は、久しぶりに家族7人で囲む食卓だ。黙とうの後の訓示は、「ダボス会議に参加して、世界に発信することの重要性を痛感した」、ということだ。合掌して、「いただきます」した後は、笑いが絶えない賑やかさだ。心が温まる瞬間だ。

食後に、子供達を連れて、久しぶりに近くの小学校プールに泳ぎに行った。リハビリするかのように、ゆっくりと1200m泳ぎきった。そして、翌日からの東京での仕事に備えることにした。東京もダボスに負けず劣らず、冷え込んでいた。

2012年2月1日
一番町の自宅にて執筆
堀義人

トラックバック(0)

この記事のトラックバックURL :
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/45572/53885333

コメント(2)

  • 六日間もダボス会議に出席をしてインサイダーの目で報告と感想をブログでシェアしていただきありがとうございます。すべてを読ませていただきました。毎日朝早くからセッションに出てネットワーキングもしてお疲れ様でした。子供さんがサッカーでハット・トリックをとったとはおめでとうございます。子供が生きがいというのはよく分かります。私も三歳半の娘と一歳の息子がいます。ダボスで世界の問題解決に少しずつ近づこうと努力するのは彼らの将来をよくする事も考えての行為でしょうね!

    投稿者: Nathan Newport

  • たまにブログやツイッターをのぞき見しています。コメントしたいけどしていいのかなぁなどと思いながら。
    私は堀さんの高校時代を知る者ですが、「有言実行」という言葉は、私は高校時代初めて堀さんから聞いた気がします(そのころ「不言実行」ってのが美徳だったのに)。また、堀さんは「志」という言葉もよく使っており、目先のことも考えていない私には、「志」の意味もよくわからずに、「なんか理想に燃えた熱い奴」と思っていました。私も50才を超えてやっとまわりのことを考えるようになり、少しは人のために地域のためになりたいと思うようになってから「志」ってほんとに大事な思いだなぁとわかってきました。堀さんが「100の行動」とか書いていますが、私もひとつでいいから、自分にできる行動をしていくぞ!!って思っています。
    最近高校時代の仲間と会う機会に恵まれ、堀さんもそうですが、みんながそれぞれの立場でなんか頑張っていることが、本当に嬉しく思います。そんな友人がいることが私にとって誇りです。
    堀さんは、昔からタフでしたが、家族人として社会人としてすげぇなぁと思うことばかりです。同じ24時間で生きてるんでしょうか?頑張ってくださいね!!!!!

    投稿者: おいちゃん

コメントを書く

お名前
メールアドレス 本サイト上には掲載しません。
URL
コメント本文(必須
コメントは管理者が公開するまで表示されません。
不適切な発言は、管理者の判断において削除することがあります。

はじめに

「起業家の風景/冒言」一覧

起業家の風景 最新コラム

起業家の冒言 最新コラム

メールマガジン配信

著書

グロービス 事業紹介