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2013年4月16日 (火)

組織人 東北初のMBAの入学式~東北から創造と変革の志士を!

さあて、これから仙台だ。グロービス仙台校初の入学式。いや、東北初のMBAの入学式となる。大震災は大変不幸な出来事だった。だが、その大震災が契機になり、東北初の経営大学院が発足した。数多くの「創造と変革の志士」達と仙台の地で会えることを楽しみにしている。紋付き羽織袴に着替えて、東京駅へと向かう。

仙台へ向かう東京駅のホームにて、スーパーこまちとはやぶさの合体部分で、紋付羽織袴でポーズ。近代と伝統の融合。羽織袴もデザイン的には全く負けていない。

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仙台駅のホームを降りたらすぐに、GRAの岩佐大輝さんに声をかけられる。「羽織袴は、いいですね。新入生も喜ぶと思いますよ」と。岩佐さんは、宮城県山元町の出身でグロービスのMBA。グロービス仙台校の立ち上げにおいては、メンターの立場でご協力頂いた。僕は、「お疲れ様です」と声をかけて、岩佐さんと話しながら歩いてグロービス仙台校まで向かった。

仙台校があるAER(アエル)は、高層ビルだ。その26階まで上がると、もう既に入学生と御家族の皆さまが集い、熱気に満ちていた。入学式が午前11時から始まった。僕は、途中で、原稿にない以下の言葉を投げかけた。

----グロービス仙台校で41名もの入学生を受け入れられて、とても嬉しいです。思い起こせば、2011年3月14日。あの忌々しい大震災の三日後に、40名ほどの有志がグロービス東京校に集い、「大震災に対して、僕らにできること」というテーマでシンポジウムを開催しました。福島原発の母屋が爆発し、余震が続き、計画停電が行われている真最中に集い、議論しました。その後の会合で、「大震災や大自然の前では、人間はちっぽけな存在かもしれない。だが、皆が集えば何かができる筈だ。希望を持ち行動しよう!」と決めて、KIBOWプロジェクトが始まりました。

KIBOWの活動の一環で、被災地を全て周りました。KIBOWのイベントも各地で開催しました。その際に東北で多くの素晴らしい人々と出会い、「多くの友人と親族を失った。幸い、生かしてもらった。死んでいった彼らに笑われない生き方をしなければならない」という声に魂を揺さぶられた。

「東北では、志が高い人が数多く立ち上がっている。だが、リーダー教育を施す場所が無い。そうなると、やる気だけが空回りしてしまうのではないか?」と思いました。ですが、グロービス仙台校創設までは、踏み切れませんでした。元々のグロービスのビジョンが、東名阪の次は福岡に大学院を創る予定で、日本国内に4校で完結しようとしていたからです。そもそも仙台校は視野に入っていなかったのです。

だが、調べてみたら、東北にはMBAを提供している大学が一つも存在しない。何とかしなければならない、と言う気持ちが日に日に強くなっていきました。

そして、あることがきっかけとなり、2011年10月にグロービスの仙台校を立ち上げることを決心しました。経営会議、教授会、理事・評議会全ての会議体で賛同を得て、仙台校を創設することになりました。アイリスオーヤマの大山社長に御挨拶に伺った際には、「東北大学でもペイしないからやらないと言われた。よくぞ経営大学院を開設する決心をしてくれた」と激励されました。

「儲かるか儲からないかは関係無い。東北から創造と変革の志士を輩出しなければならない」、その強い使命感に動かされ、東北初の経営大学院は設立されたのです。

2012年4月に単科生の大学院として始まり、いよいよ2013年4月に本科性の入学式を迎えることができましたことを大変嬉しく思っています。--


このような趣旨の話をして、通常の式辞に戻った。グロービス仙台校の創設後は、予想を3倍程度上回る勢いで学生が集い、大成功のもとMBAプログラムをスタートすることができた。ダイムラー日本財団イノベーティブリーダー基金は、2億円もの大金を、グロービス仙台校に寄附して頂いた。5月末には、村井知事をお迎えして、トップセミナーを開催する予定だ。本当に多くの方々の御支援で、ここまで来ることができた。

教室で入学式と記念撮影を行い、懇親会会場であるラウンジへと場を変えた。アエル26階からの景色は、本当に最高だ! 青空が広がり、陽射しがまぶしいぐらいだ。太平洋、奥羽山脈、そして仙台市街の光景が広がっている中での懇親会。卒業生からの挨拶の最中の風景だ。
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懇親会で数多くの入学生と談笑した。青葉区でお坊さんをしている方、亘理町で家も事務所も流されてしまった方、女川に単身飛び込み復興に尽力している方、遠野のまごころネットの女性、鶴岡の市役所の方、福島市の商工会議所の方など、宮城県、岩手県、山形県、福島県4県から参集した。

グロービス仙台校での懇親会での一風景。着物の美女(入学生)に囲まれて上機嫌。思わず「いいね!」ポーズ。
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グロービス仙台校初の入学式を終えて、仙台駅から戻るところ。仙台駅にあるグロービスの馬鹿でかい看板の前でパチリ。「東北から創造と変革の志士を!」
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紋付き羽織袴姿なので、そのままとんぼ返りだ。入学式の帰路、「やまびこ」で何気なく外を見ると、満開の桜が飛び込んでくる。美しい田園風景を見ながら、「大震災後、何十回と東北に来る様になったなぁ」と感慨に浸る。KIBOWの活動で沿岸部を全てまわった。リーダー教育の必要性を痛感し、グロービス仙台校を急きょ立ち上げることになった。その時の思いは、「このタイミングでグロービス仙台校を立ちあげないと、何が『創造と変革の志士』だ、と後世の人々にも笑われるであろう」だ。

自らが正しいと思う事をやって生きていきたい。その気持ちは、間違っていなかったのだと強く思えた。初の入学式。感無量だ。そして、羽織袴姿で東京駅を降り、雑踏を歩いて、自宅へと向かった。


2013年4月16日
二番町の事務所にて執筆
堀義人

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コメント(2)

  • 堀さん、仙台校、遅まきながらおめでとうございます。
    堀さんのペイするしないの是非論を越えた意志決定に喝采を贈ります。

    今回の仙台校のblogを拝読し、グロービスは平成の適塾と松下村塾の如き志を受け継いで堀学長の理念を社会で体顕する後継者・戦友を輩出する人材城が東北に堂々と築かれたと強く確信する思いがしました。

    利害と打算が渦巻く現代社会の中で信念に生きることの重要さ、そしてそれ以上に信念に生きる故、生じる嫉妬や妨害などに屈しない人こそ本当に師に足る人物だと思っています。

    堀さんにはいつも勇気をもらっています。
    その頂いた勇気は、僕一人のものにするのではなく、千人二千人の友人に伝え、今も伝播していることを嬉しく思い、その友人から活動報告を頂き僕もまた奮起するという勇気と善のスパイラルが回っていること、堀さんに感謝しています。
    努力と反復。そして誰よりも本番の場数を重ねる事で社会と職場、人の役に立ち得る事、そして努力は絶対に嘘をつかない事を教えて頂き重ね重ね感謝しています。

    これからも益々のご活躍とご健勝をお祈り申し上げます。

    東京都中野区 和賀 公威

    投稿者: 和賀 公威

  • 追伸
    堀さんが5月末に対談する村井知事。東北の「心の復興」は僕の所属している非営利団体にお任せすると、震災翌日の迅速な対応を評価下さり、とある政党のDVDの中で大きな期待を寄せて下さいました。村井知事は草の根の県民に思いをはせる立派な心と志のある素晴らしい知事です。

    堀さんと村井知事の実りある縦横無尽の対談、ワクワクしながら期待しています!

    東京都中野区 和賀 公威

    投稿者: 和賀 公威

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