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2015年7月 3日 (金)

政治・社会 安倍総理の70年談話に望むこと ~ 3)日本の貢献を示し、未来志向であれ

戦後70年の首相談話に関する「21世紀構想懇談会」の第3回目は日本の戦後の貢献を、第6回目は今後のビジョンをそれぞれ討議した。僕の発言要旨を基に、まとめて直言する。

懇談会の委員には歴史学者がたくさんいるため、過去を振り返ることが多くなりがちである。「今週の直言」第310回で紹介したように、ゴー・チョクトン・シンガポール名誉上級相(前首相)は、今年の国際交流会議「アジアの未来」のスピーチで、車の運転を例にとり、「運転する際にはたまにバックミラーを見なければならないが、基本的には前を見ることが必要である」と述べていた。安倍晋三首相の戦後70年談話は、バックミラーで後ろ(過去)を見て反省しつつも、前(未来)を見て多くを語り、現在までの日本の貢献を含むものになればと希望している。

具体的には、以下の4つの貢献を談話でぜひ語ってほしい。
第1に、教育、科学、文化における日本の貢献である。この貢献をこれからも日本の強みとして続けていきたい。

第2に、自由、民主主義、法の統治、人権尊重といった価値観における貢献である。価値観を共有する国々と共に、法の支配に基づいた良き世界をつくっていくのだ。

第3に、経済と政府開発援助(ODA)における貢献である。先日亡くなったリー・クアンユー元シンガポール首相が、ある会議で、雁行型経済発展論に言及していた。東アジアでは、日本が経済的に他国を引っ張ってきたという事実が広く知られている。人的、技術的、経済的な面で、今後とも世界に貢献していきたい。

第4に、平和貢献である。懇談会の岡本利夫委員も言っていたが、日本が戦後70年間平和を保てたのは、憲法9条が存在したためではなく、日米安保体制のおかげである。また、米国にとって日本は多数の同盟国の一つであるが、日本にとって米国は唯一の同盟国である。そういう観点から、(中国の台頭がある中で)今後の日本と世界を考えていく必要がある。

日本は国連安保理において、非常任理事国を他のどの国よりも長く務めてきた国である。安倍政権は地球儀を俯瞰する外交、積極的平和主義の外交を進めている。不戦を誓い、過去を反省しつつ、未来へのコミットメントを示す戦後70年談話になることを期待したい。

今回の談話はあくまでも戦後100年を視野に入れたものである。日本の戦後の貢献を語るとともに、30年後、40年後を見据えて、日本の進むべき方向をビジョンとして描いてほしい。そうすることで日本の若者は勇気を得るし、海外の理解も得られるものと考える。

2015年6月29日
一番町の自宅にて執筆
堀義人

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コメント(2)

  • 堀様

    素晴らしいレポートありがとうございます。堀さんの提言内容に共感いたします。「反省」しつつも基本的には「未来志向」であるべきと思います。4つの貢献をしっかり発信すべきということ、その通りと思います。

    ただ一読後のfirst impressionは、中国、韓国等の側の思いという観点からすると、内容ではなくトーンに少し違和感を覚えました。

    ゴー・チョクトン前首相の考え方、姿勢は全くその通りと思いますが、侵略を受けた側が語るからこそ共感を得るのだと思います。日本の首相が同様の文脈を発信するとアジアの方々の印象は微妙かもしれません。悪くすると過去の反省を軽んじていると取られかねないリスクがあります。

    私は、日本人は第二次大戦でアジアの人々に多くの苦しみを与えたことに対する深い反省の念を抱いているし、世界中のどの国よりも強く平和を願っていると思います。しかし思っていても伝わらなければ意味がありません。
    私は、ゴーチョクトンの文脈で言うべきと思います。その上で誤解を生まないように伝えなければいけない。しかし政治的に使えない言葉もあるだろうし、表現で誤解を生まないように伝えるのは容易ではない。ひょっとしたら何を言っても伝わらないのかもしれない。どうしたらいいのでしょう。

    浅知恵ですが、天皇陛下のパラオご訪問(慰霊の旅)にヒントがあると思います。天皇陛下は、日本・対戦国の区別なく戦争犠牲者をしのび、またその遺族の苦しみをしのび、深く深く、長い長い祈りを捧げていました。
    私は、国粋主義者でも右翼でもありませんが、お言葉ではなくそのお姿を拝見して涙が出てきました。あの時の天皇陛下のお姿は日本以外の人々にも一定の共感と感動を伝えることができたのではないでしょうか。

    総理談話においても、大勢が一緒に行う黙祷とは別に、天皇陛下同様の鎮魂の祈りを、談話の中の「反省」部分の直後に、総理お一人だけが日本国民を代表して、真心を込めて深く、長く行うというのはいかがでしょうか。

    小手先のテクニックのように見えるかも知れませんが、そもそも総理のプレゼン方法に口を出すなど不遜ではありますが、言葉ではどうしても伝わらない日本人の本当の思いを、総理の深い深い鎮魂の祈りという「行動」を通じて、是非とも中国、韓国はじめとするアジアの人々に伝えて頂ければと思います。

    中野

    投稿者: 中野

  • 失礼致します。

    報告書を拝読しました。p.33の「ルールを作る際には、地域の関係国全てが納得する形で作ることが重要である」という一文が、報告書の価値を毀損しています。一般的に、関係国全てが納得する内容とは毒にも薬にもならない内容であり、自らが率先して創造と変革に挑むというグロービスのモットーに反します。

    またp.34の「上記の貢献策は日本が全く未経験の施策ではなく、戦後70年間に実績を上 げてきた日本の国際貢献を拡大するものにほかならない」というのは、有識者が過去の発想に囚われていることの証左であり、新展開の構想力の欠如を示しております。

    有識者はグロービスで学び直すか、報告書を修正するか等の対応が必要です。大学生のコピペレポートと大差のない文章を国内で拡散しないために。

    バランス・オブ・パワーという現実は、今後も存在します。しかしその現実は理想の手前にある状況ではありません。バランス・オブ・パワーを克服するためには、徹底した国際協調を実現する、そのために、多くの人々、組織がグローバルに交流し、意識の摺り合わせを徹底すべきです。日本の学生の大半が海外に留学し、日本の学校が多くの留学生を受け入れることが必要です。また、ご近所さんに話しかけるのと同様の雰囲気で、地球の反対側の人々と話をすることです。

    投稿者: 津田正顕

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