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2016年8月 3日 (水)

日本人・アジア人・地球人 自然は最高の遊び場 山小屋計画のススメ

※この記事は日経産業新聞で2016年7月29日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

宮城県気仙沼市の離島、大島で開催された「海の日に美しい海岸で楽しむBBQ大会」に小学生の五男と一緒に参加した。「大震災から復興を遂げようとしている東北の海を盛り上げよう」という目的のイベントだ。安倍晋三首相の奥さんで、僕と同い年の安倍昭恵さんが企画した。僕が参加するのは、今年で2回目だ。

昨年はバーベキューをした翌日以降、岩手県の安比高原で子どもと一緒にカブトムシを捕ったり、牧場で牛や馬に触れたり、山登りをしたりした。今年も雄大な自然の中で思う存分夏を楽しむことができた。

自然と戯れていると、自分が過ごした幼少時代がよみがえってくる。僕は、田舎の村育ちだ。田んぼの中の雑木林を切り開いて造られた団地に住んでいた。山を切り開いて造設された小学校の校庭からは緑豊かな森と田んぼが見えた。僕の原風景だ。通学路は雑木林の中を通る。よく寄り道してクワガタやカブトムシを捕まえたり、蛇のしっぽをつかんだりして遊んだものだ。

学校から帰るとすぐに長靴に履き替えて、バケツと小さなシャベルと網を持って近くの田んぼに遊びに行った。ザリガニやドジョウを網で捕らえ、オタマジャクシを手ですくった。オタマジャクシがカエルになると、今度はカエルを夢中で追いかけた。夕方に家に帰るときはいつも泥まみれだった。

現在、僕は子ども5人と一緒に東京のど真ん中で暮らしている。都心とあって窓の外を眺めてもどこにも田んぼや雑木林はない。当然ザリガニやカブトムシもいない。車が危ないので自転車には乗れないし、公園も狭いので缶蹴りやサッカー、野球などを満足にできない。

どうやったら子どもたちに僕がかつて過ごしたような自然の環境を与えることができるだろうか。そう思案して思いついたのが、自然豊かな山の中に住み始める「山小屋計画」だ。今から15年ほど前、子どもが3人いて、長男が5歳で4人目が妻のおなかの中にいた時のことだ。

東京で家を買おうと思っても高くてなかなか買えない。だが、山の中だと土地の値段は都会の100分の1ぐらいで済む。こんな理由も後押しし、東京に家を買う前にまずは山に家を建てることに決めた。

そして浅間山の麓に建てた山小屋に子どもたちと暮らす生活が始まった。山に住み、平日に都会に出稼ぎに行き、東京の手狭な賃貸アパートの一室で家族全員が雑魚寝する。

待ちに待った週末が来ると、山小屋に戻って、子どもたちと自然の中で大いに遊んだ。夏休みに入るとほとんどの期間を山の中で過ごした。冬には山小屋がスキー・スノーボードの中継基地になり、子どもたちと一緒に雪山を滑走した。

やがて、中学・高校・大学へと子どもたちが進学すると、山小屋生活の頻度が下がっていった。子どもたちは「おやじは、うざい」と思うようになったのか、なかなか一緒に遊んでくれない。父親とよりも同年代の友達と遊ぶ方が、当然のことながら楽しいのだろう。

先週末の夏休み旅行に五男が付いてきてくれたのは、彼がまだ小学生だからだろう。一緒に気仙沼の大島の海で泳ぎ、地引き網をひっぱり、捕れた魚をバーベキューで味わい、夜に花火をしたのが良い思い出だ。自然に囲まれながら僕も童心に戻り、目いっぱい夏の思い出をつくることができた。

小学生のうちにどれだけ一緒に過ごすかが、中学に入り子供たちが反抗期に入った時に影響を及ぼすのだと思う。反抗していても心がつながっている気がするからだ。末っ子の五男もあと2年すると中学生になり、一緒に遊ぶ機会が減ってくるだろう。するとしばらくは、寂しくなる。その次は、孫たちだ。孫のときも僕や子どもたちが過ごしたように、自然の中にどっぷりとつかって遊びたいと思っている。

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