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2001年12月13日 (木)

組織人 ワークスアプリケーションズの IPO

本日、ワークスアプリケーションズがJASDAQ店頭市場に株式を公開した。公募価格100万円に対して、初値が251万円であった。僕はこの公開をとても嬉しく思っている。

ワークスアプリケーションズ(以下ワークス)との出会いは、1997年3月に遡る。僕はその当時、ニフティ上のビジネス創造に特化したフォーラム(FBINC)によく書き込みを行っていた。そのフォーラムのシスオペから改めて「サイバースペース上でインタビューを受けて欲しい」との要望を受けた。僕は、期間限定ですべての質問に答える「サイバースペースインタビュー」という試みを始めることとなった。24時間、各地域より、時間と空間を超えて質問がフォーラムにアップされた。質問には、ベンチャー・キャピタルが投資をするクライテリア、成功するベンチャーの戦略、起業家の目利きの方法論など、多種多様なものがあり、僕は夜を徹してすべての質問に答えた。

そのサイバースペースでの書き込みを読んでいたのが、牧野正幸氏(現在ワークスの最高経営責任者)である。牧野氏は1996年7月24日に、阿部孝司氏(同最高執行責任者)、石川芳郎氏(同最高技術責任者)とともにワークスを立ち上げた。創業の理念は、「業務用のソフトウェア製品を、その先達たる一般的ハードウェア製品と同様に、高機能化、高品質化、低価格化、多様化することにより、日本企業の情報武装化を促進する」であった。当初はおもに人事系の統合パッケージソフト(ERP)に事業をフォーカスしていた。商品名は「COMPANY」で、石川氏がソフトウェアの開発、阿部氏が販売・マーケティング、牧野氏が製品企画・経営管理など全般を担当していた。創業の3人を軸に、彼らの信頼を得た優秀なエンジニアが集まった、少人数でのスタートだった。

当時は、1999年以降のインターネットバブルの時代とは違い、ベンチャー・キャピタルは、創業したばかりの企業に投資をすることは基本的になかった。牧野氏は、あとで僕にボソッと言っていた。「サイバースペースインタビューで熱くベンチャーを語るグロービスの堀さんであれば、おそらく僕らがやろうとしていることを理解してくれるに違いない。もしもグロービスがダメだったら、他にあてがなくなってしまう」。牧野氏はそう思いつつ、サイバースペー
スで書き込みをしていた僕のメールアドレスに、飛び込みでメールしてきたのだ。僕は、そのメールを仮屋薗に転送して、調査を依頼した。1997年の3月ごろのことである。

その当時のワークスは社員8名で、まだ始まったばかりであった。牧野さん、阿部さん、石川さんとも30代前半で、希望に燃える若き起業家集団という感じであった。僕らの投資調査はスムーズに進み、同年8月には、他のベンチャー・キャピタルに先駆けて、いち早く新規増資枠の多くを引き受け、2900万円の投資を実施した。仮屋薗が非常勤取締役として就任して、経営アドバイスやリクルーティング支援などを行った。僕も定期的に3人の経営陣と会合を持ち、経営のフォーカス、営業・マーケティングの方法論、組織の構築手法、経営管理手法などを話し合い、取捨選択して経営に取り入れていった。

1998年には、6000万円の追加出資をし、結果的に1号ファンドの中から8900万円をワークス1社に投資することになった。1号ファンドは、総額たったの5億4000万円である。管理報酬などを差し引いて投資できる額は4
億円強である。そのうちの2割をワークス1社に投資したのだ。僕らにとっては、かなりの賭けであった。
 さらに、1999年9月末に新しく組成したグロービスの2号ファンド、エイパックス・グロービス・パートナーズファンドからは、3億5000万円強を出資した。1999年10月以降は、毎月取締役会を開催し、成長期における組織面
の整備、人材の紹介、戦略の構築などの面でアドバイスした。僕も何回か参加した。意見が分かれることもあったが、率直な意見を述べ合い、建設的に意思決定していった。

売上高および利益は、常に経営陣の予測どおりであった。初年度が1億円、次年度が2億5000万円、3年目が5億円弱、4年目が10億円、そして2001年6月末には20億円の売上高をあげ、経常利益も4億円を達成するに到った。社員も200名以上となり、人事系統合パッケージソフトの分野では、No.1の地位を固める存在となった。とても素晴らしい業績である。

今年の4月に弊社の投資家を連れてワークスを訪問したときに、牧野さんが言ってくれた。「グロービスさんがいなければ今のワークスは存在していない。グロービスさんにとても感謝している」。この言葉をもらえたことが、ベン
チャー・キャピタリストとして今まで一番嬉しかったことかもしれない。

僕らグロービスのベンチャー・キャピタル事業では、「ソニーやホンダに続く、日本発のグローバルカンパニーを数多く創る」ことを夢としている。ワークスが将来的には、SAPやオラクルを凌ぐ、グローバルに活躍する企業となることを祈念したい。

「ワークス上場おめでとう。これからが新たなスタートだ。これからもお互いに頑張ろう」

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