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2004年3月 4日 (木)

日本人・アジア人・地球人 ニューアジアンリーダー(NAL)のリトリート参加報告

雪が舞う真冬のダボスにいたかと思えば、1ヵ月後には青いビーチにヤシの木が茂る常夏のマレーシアのランカウイ島に来ていた。今回は、昨年来注力してきたWorld Economic Forum(WEF)主催のニュー・アジアン・リーダーの会(NAL)を発足させるため、ランウカイ島にアジアの若手リーダーとともに、一堂に会していたのである。

日本からは、自民党の林芳正氏、ユニクロを経営しているファーストリテイリングの玉塚元一社長、グロービスの元受講生でもあり若手女性起業家の代表である松崎 光紗氏、慶応大学田村次朗教授、そして、僕と一緒にアジアのブループリントプロジェクトを推し進める役割を担う東京大学の近藤正晃ジェームス客員助教授である。

アジア各地からもNALは来ている。日本以外からは、韓国、中国、香港、インドネシア、シンガポール、カンボジア、インド、パキスタンなどアジア各国より総勢50名強のアジアのリーダーが参加した。YEO(Young Entrepreneus’ Organization)で以前から知っている人々も何人かいた。政治家も何人かいた。シンガポールで一番若い女性政治家も来ていたし、カンボジアの新進気鋭の政治家も来ていた。みな若くて希望に燃えている。とても刺激になる。

今回は、ヨルダンのアブドラ国王がランカウイ島までわざわざこられるということもあり、スケジュールが二転三転した。結局、土・日と2日間クアラルンプールで過ごしたあと、月曜日の朝にチャーター便でランカウイ島に向かった(このチャーター便をアレンジしてくれたエア・アジアの創業社長もこのNALのメンバーである)。そして目的地のアンダマンホテルに到着した。今回僕は、家族同伴で参加した。ま、言ってみれば、家族旅行も兼ねられるので、一石二鳥である。ところが、4人の子供の面倒を見ながらも、この会議の運営を行い、アジアのリーダーとの交流をはかるのである。結果的に、かなりバタバタしてしまった。

到着当日に、早速僕の出番である。事前に配っておいた資料をもとに、アジアの将来のブループリントを描くディスカッションを進める役割である。僕は、日本代表の NAL 5人のボードメンバー(参照コラム:NAL会議始まる)の中でこのブループリント プロジェクトの担当になっているので、司会進行から取りまとめなどをすべて行わなければならない。シンガポールでのディスカッションを受けて(参照コラム:「東アジア経済サミットに出席して」 その1〜スケジュール〜)、今回の趣旨を説明した。その後、各10人程度の4つのグループに分かれてグループディスカッションが始まった。教育、貧困、技術、そして経済・政治統合という4つのグループに分かれた。僕は全てのグループに順番に何回か参加して、大体の話の流れをつかみ、どうやってまとめるかを思案していた。

しかし、各グループの話を聞けば聞くほど、興味深い内容ばかりで、まるでパネルディスカッションを聞いているかのようである。経済・政治統合のグループでは、韓国出身の香港在のモルガン・スタンレーのエクイティ・リサーチのヘッドと慶応大学の田村教授が議論をリードしていた。FTA(Free Trade Agreement)の議論から、WTO(Wolrd Treaty Organization)、報復措置まで網羅されたあとに、「どうやったらアジアのヒト、モノ、カネ、情報の流れを促進されるか」、など多岐にわたってアイディアが出ていた。教育グループでは、インターンシップとスカラーシップを進めるアイディアが出されていた。技術の部では、アジア全域のテクノロジーマップを作ろうという話があり、貧困の部では企業と村のアライアンスの提唱があった。

月曜日は午後から夕方までブループリントのディスカッションに追われた。夜は、ビーチサイドのデッキでBBQである。そのバンドに飛び入り参加したのが、日本で活躍している韓国出身の歌手BOAをプロデュースした韓国人である。彼は、ソウル大学出身の元歌手で奥様を連れて参加されていた。BOAのサイン入りCDを何枚かもらった。(^^) ゆっくりと時間が過ぎていった。

火曜日の朝は、ブループリントをまとめる全体ディスカッションである。各グループから10分程度で発表してもらい、質疑応答をリードした。そして、6月にソウルで開催される東アジア経済サミットに向けてやるべきことを確認し、僕の役割は終えた。ふ 〜、やはりまだまだ英語のディスカッションを引っ張るのは難しい、と痛感した。これから英語力をもっと鍛えよう。少なくとも毎日英字新聞に目を通して、なるべく原書で英語の本を読むように努めよう、と固く自らに誓った。NALにふさわしいコミュニケーション能力を身に付けるべく頑張らねば。

午後からは、アジアのリーダーとアラブのリーダーとのジョイントセッションが始まった。ヨルダンの国王が声をかけてくれて、ヨルダン、エジプト、モロッコ、UAE(ア ラブ首長国連邦)などアラブ各地より集まったリーダーとのディスカッションが始まった。ヨルダンからは、10名の参加で、まさしくリーダー中のリーダーが集まっている感じである。具体的には、ロイヤルヨルダン航空の社長、アラブで初めてNASDAQに公開させた起業家、アラビア語でNO.1のポータルを運営している若手起業家や、ヨルダンで唯 一のバイアウトファームの社長(20億円国王から出資してもらったらしい)などである。大臣も2名参加していた。みな英語が堪能でとてもしゃべりやすい。

ヨルダン国王を招いての夕食会では、正式なニューアジアンリーダーの認証式が行われた。ドレスコードはマレーシアの正装にあたる色華やかなバティークである。1人1人の名前が呼ばれ、壇上まで歩いていき、国王と握手をして認証状をもらう。音響や照明などでうまく演出されており、かなり感動的なセッティングであった。みな、ニューアジアンリーダーに選ばれたという誇りを胸に、堂々と壇上まで歩いていた。最後に壇上で記念撮影を行った。その夜は、みな遅くまで飲み、語り明かした。

水曜日の終日セッション後、今回の会合は、アラブとアジアのリーダー達が初めて一堂に会したのではないかとアラブ側の出席者も言っておられた。そして、最後にアラブとアジアのリーダーとの合同リトリートをまとめるランカウイ宣言が国王の前で発表された。そして、その日の夜にエア・アジアのチャーター便でクアラルンプールに戻った。その夜は、参加者の友達の家に家族で泊めてもらった。翌日、木曜はランチタイムに投資家候補者に会い、その日の夜行便で帰国した。

自宅に戻った後、今回ランカウイ島まで行って何を得られたのだろうかと冷静に考えてみた(常に自分が投資をした時間に見合ったリターンがあったかを検証したくなる。特に今回は、家族を連れてのランカウイである。遊びだけだったとは思いたくない)。今回の収穫は、以下3点ではないかと思えてきた。

1)WEF傘下のNALが正式に発足したこと。僕は、NAL発足に向けて相当時間を使ってきた。昨年は、ソウル、香港、シンガポール、北京に行き、今年に入ってからは、ダボス会議にも参加してきた。(参照コラム:ダボス会議参加報告 その1-4)僕は、5人のボードメンバーの1人で、日本のNALを代表することとアジアのブループリントを作るのが役割だ。任期は2年間、しっかり全うしようと思う。

2)NALを通して、多くの友人やネットワークをつくれたこと。彼らとのネットワークが必ずや将来グロービスのためにも日本のためにも役に立つと思われる。さらに、こうした会合を通してアジアというものをさらによく理解できる機会を得られるとともに、本当のアジアのリーダーになるための素養を育成するチャンスを与えられたような気がする(そんな大したものではないかもしれないが。)

3)そして今回、僕にとっては、初めてアラブの方々とじっくりと話をする機会を得られた。5月には、ヨルダンでWEFのヨルダンサミットが開催される。ヨルダンの国王 がわざわざ今回NALのリトリートに来てくれたのである。僕らがお返しに行かないと礼を欠くことになる。これを機に、中東の投資家にも会いアラブとのビジネスネットワークをつくりながらも、アラブの方々のことをよりよく知ることとしたい。

本日これから米国東海岸に向けて出張だ。次のコラムを書くのは、厳寒のニューヨークからかもしれない。


自宅にて

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