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2004年6月22日 (火)

個人 楽しい囲碁サークル

先週末、甲斐の温泉旅館へ、囲碁合宿に行ってきた。

家族には、三ヶ月以上も前から囲碁合宿参加の了解を得ているのだが、実は、かなり不評である。しかし、この囲碁の趣味だけはやめられないでいる。毎週水曜の夜開催している囲碁サークル。発足以来、東京にいれば必ず参加している。それだけこの囲碁サークルが楽しいのである。

僕は、40歳になる直前に囲碁を始めた(経緯は、コラム「囲碁と経営」その1を参照いただきたい)。
囲碁の魅力にハマりつつも、ひとつだけ違和感を感じていたことがあった。それは、囲碁大会など、様々な会合に参加してきたが、参加者は60代以上の方が主流であり、大多数を占めているという点である。合宿の案内も来るが、聞いたところによると、やはり年配の方の参加が大多数を占めているという。

囲碁を打っている時や、囲碁の会話をしている時は、年齢に関係なく楽しいし、実際に参加した会合でも、僕は楽しめている。しかし、日本は、年功序列社会である。どうしても気を遣ってしまうのだ。『気を遣わないでも囲碁を楽しめる方法はないだろうか・・』、と考えはじめた。

そこで思いついたのが、「全く新しいコンセプトの囲碁サークルを作ろう」、ということであった。

約1年前、発起人となり、コンセプトを練りはじめた。先ずは、ネーミングである。通っているサロンは、半蔵門のダイヤモンドホテル内にあったので、ズバリそのまま「ダイヤモンド囲碁サロン」と名づけられていた。

しかし、困ったことに、僕のスケジュール表には、「ダイヤモンド囲碁サロン」とは、書けないのだ。なぜならば、文字数が多い上に、囲碁を打っているということが、一目瞭然。(ちなみに、グロービスのスケジュール表は全員オープンになっている。誰でも僕のスケジュールを見ることができるのである)。

そこで、「ダイヤモンド囲碁サロン」を略して、「DIS」とした。「DIS」であればスケジュール表に書いても、囲碁を打っているとは思われない。もしかしたら、投資先との会合かもしれない、と勘違いしてくれるかもしれない(コラムに書いてしまっているので、今後はバレバレではあるが・・・)。

ネーミングの次は、コンセプトだ。以下のとおり、考えてみた。
・ 20-50才までを原則とする(精神年齢が若ければ、それ以上でも可)。つまり、同世代で気を遣わない人たちと打ちたい。
・ 水曜日の夕方6時ごろから始まり、時には夜中まで続けられることとする。つまり、残業後や会食後でも参加できるようにしよう。
・ 夜10時以降には、ビール、ワイン、シャンパンが飲めることとする。まさに、サークル的な楽しいノリができるのである。
・ そして、女性比率を30%以上とする。どうせならば女性がいたほうが、サロンが明るくなる。男性ばかりだと「景色」が綺麗じゃない。

こうすれば、皆水曜の夜に集まるであろう、と思った。
そして、このコンセプトに従い、仲間を集めることにした。ところが、早速壁にぶつかった。20-40代という年齢層は、もっとも囲碁人口が少ない端境期にあたるので、囲碁の愛好家は、決して多くない。20才未満の若い世代は、漫画「ヒカルの碁」(集英社)の影響で、近年囲碁人口が増加している。そして、60代以上の世代は、子供の頃から囲碁に親しんでいる。一方、20-40代の世代は、どちらかというと麻雀か将棋である。そこで、仲間集めの活動を大々的にすることにした。

最初の企画は、『経営と囲碁を語る会』と称した無料セミナーである。日本棋院の藤沢一就(かずなり)理事に毎回参加いただき、司会進行は、囲碁界のマドンナである稲葉禄子女史だ。これは、囲碁ファンにとって見逃せないスーパースターの共演である。しかしながら、囲碁ファン以外では、ほとんど知られていない。そこで、僕が‘経営’と‘囲碁’の関係性を語ることとした。つまり、ビジネススクール経営者のはしくれである僕が、全くの初心者から囲碁を始め、そして現在に至るまでの苦労話をする事によって、多くのビジネスパーソンに囲碁に関心を持ってもらおう、という構想で進めることにした。

グロービスの教室を無料開放し、参加費も無料にした。藤沢理事と僕のスピーチの後、稲葉女史を含む女流囲碁インストラクターの無料講習つきという嬉しいおまけもつけた。そして最後は、DISでの懇親会である。主に20-40代をターゲットにして3回実施した。パブリシティやウェブを使った宣伝活動も積極的に実施した。

そして、徐々に仲間が集い始めた。しかし、3回実施したが、どうしても女性会員が目標の30%に達しない。そこで、主に女性を対象とした『経営と囲碁を語る会』を開催する事にした。

妻からは、「なんで囲碁を打つのに女性比率が関係あるの?」という鋭い突込みを受けたことがある。僕は、即座にこう答えた。

「DISは、囲碁を打つだけでなく、人間的な交流をはかる楽しいサークルと位置付けている。囲碁を打つだけであれば、インターネットや、碁会所で年配の方々と打っていても良いわけだが、それだけでは物足りない。だからこそ同世代の女性を含めた若手のメンバーが打つ楽しい会にしようというコンセプトでつくったのだ。男性ばかりであれば、普通の碁会所の延長線だ。新しいコンセプトのサークルをつくるためには、女性メンバーが必要なのだ。決してやましいことは無い」
という具合に、発起人代表として、もっともらしく(苦し紛れに・・)力説したことがあった。

そうこうするうちに女性会員も集まり始めた。しかし女性は、初心者が多く、すぐにやめてしまう可能性があった。そこで、「初心者デー」を設け、男性会員が、手取り足取り一から囲碁を教えるという企画を実施した結果、なんとか継続的に参加してもらえるようになってきた。

そして、サークルの体裁も整ってきたので、リーグ戦を始めることにした。初段以上が参加する「有段者リーグ」と、初心者から一級までが参加する「級位者リーグ」に分かれ、3ヶ月単位で「DISカップ」争奪戦を始めた。ある一定の勝率を上げると昇格し、逆にある一定以上負けると降格することにした。相撲の番付みたいなものだ。僕は、リーグ戦発足以来、残念ながら、優勝も昇降格もしていない。

今年の目標は、昇段だ。6月から始まっている今季リーグでは、早くも3勝4敗の負け越し中。これでは、昇段できないので、9月から始まるリーグに昇段をかけることにした。頑張らねば。

このサークルでは、定期的に囲碁合宿を行っている。目標は、年2回の合宿開催だ。そのうちの1回は、家族も同伴して軽井沢で行う。我が家の山小屋が、その日だけは、碁会所に変身する。バルコニーにも囲碁盤を並べる。リビングルームを使った特設会場では、子供向けの囲碁スクールも開催される。奥様方は、軽井沢ショッピングセンターへ買物に行ったりしている。僕は、ホスト役なので、その日は駆けずり回り、庭では、子供の遊び相手をしたりもする。サークル会員のご家族の方々に囲碁を認知してもらうための必死のサービスだ。そして、夜はBBQパーティをする。

そして、もう1回実施する囲碁合宿には、会員のみが参加する。昨年は箱根で実施した。今年は、冒頭でも述べたとおり、甲斐の温泉旅館で行われ、先週末参加してきた香港・上海の二泊三日の出張を終えたばかりだし、ソウルへの出張も控えた貴重な週末だ。家族が不満を言うのも納得ができる。
しかし、こういった事情があるサークルの合宿なので、どうしても参加したかったのだ。

先にも書いた通り、僕が囲碁を始めたのは、2年ほど前の事である。経緯を綴ったコラム「囲碁と経営 その1」では最後、以下の通り結んでいる。

「では、囲碁がなぜそんなに面白いのか。なぜ僕がはまってしまったのか、また囲碁と経営の関係性は何か。これらに関しては、次のコラムで書いてみたいと思う。囲碁にご興味が無い方も是非次のコラムもお付き合いくださいm(__)m」。

このコラムを書いてから、1年半以上も囲碁に関してのコラムを書かないでいる。ご年配の囲碁ファンの方からは、「囲碁と経営 その2は、まだ書かないのですか?」とわざわざお電話を頂いたことがあった。皆さん(囲碁ファンだけかも?)の期待に応えるべく、近いうちに「囲碁と経営その2」を書きたいと思う。

自宅にて

【ご案内】
次回の『経営と囲碁を語る会』は、2004年9月3日(金)19:00より
グロービス東京オフィスにて開催予定です。

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コメント(1)

  • 自分も堀さんと同じ「違和感」を感じて以前色々画策したことを思い出し、これからも頑張らねばと思いを強くしました。

    10年前、日本棋院の企画で中国囲碁ツアーに参加した時は20数名の参加者のうち、私の次に若い人が60代の方で、私は当初添乗員と間違われていました。

    ただ囲碁が年配の男性だけしか興味がもてないものかというとそうではなさそうです。

    会社の囲碁部の活動とは別に社内で囲碁教室を開くことを、広報経由で宣伝した結果、20代〜30代の女性が10名ほどすぐに集まったのには驚きました。
    (女性限定にしたわけではないのですが・・)

    この囲碁教室は、週二回の昼休みの部と週一回の夜の部の2つに分かれて、約4年間、ほぼ毎週開催しました。ほぼ全員初心者で、メンバーは合計20名近くまで増えましたが女性比率は8割を越えていました。

    彼女達によれば
    ・ 華道、茶道、英会話、料理教室、とひと通り習い事を経験して気軽に新しいことにチャレンジしたかった。
    ・ 退屈な昼休みに刺激がほしかった。
    ・ 教えてくれる人が身近にいた。
    ・ 周囲の仲間と一緒にはじめたので、上達具合が競争できて楽しくなった。
    ・ 正月におじいさんを喜ばせたかった。(小遣いがほしかった?)
    などでした。
    囲碁はひとたび軌道に乗れれば、一生楽しめる素晴らしいものだと思うのですが、やはりスタートがハードルが高いようです。囲碁の素晴らしさは、後から実感してもらうとして最初は別の目的でもいいから、優しくだまして(言葉悪いですが)あげるぐらいでいいのかもしれません。「囲碁の裏口入門」は何かないかな、と2005年に女性の間でおこる(はずの)「静かなブーム」にむけて色々考える毎日です。

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