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2006年9月11日 (月)

日本人・アジア人・地球人 フォーブスのCEOコンファレンス〜その1:世界最大の資本家の祭典

「今回のフォーブスCEOコンファレンスには、ビリオネア(資産が1000億円を超える人)が10名参加し、資産が100億円から1000億円の起業家が20人参加している。彼らの個人資産の合計だけでも、8兆円を超える金額となる」。

ラウンジのソファーで慶応大学の島田晴雄先生と話をしているときに、フォーブス・アジアの編集長が、二人の会話に割って入ってきて、大きな体を揺らしながら早口に説明してくれた。

「どうして、そんなにすごい起業家が集まるんですか?」と僕が聞くと、「スティーブ・フォーブス氏自らがその方々に会いに行き、参加するよう勧誘するからだよ」と返答が返ってきた。

このコンファレンスは、確かに凄い。香港の李嘉誠(リー・カー・シン)、ゴードン・ウーなどの起業家以外にも、国家主席がスピーカーとして名を連ねている。インドネシアのユドヨノ大統領が 初日昼食時のスピーカーで、夜はシンガポールのリー・シェンロン首相だ。2日目の最後には、リー・クワンユー上級首相である。参加者も合計500人近くである。しかも、参加者は、原則全員CEOばかりだ。

バスが来るのをラウンジで待っていたときに、その編集長が声をかけてきてくれたのだ。スピーカーとVIPのみが招待される食事会が、その夜セントサ島で開催される予定になっていた。編集長は、さらに僕の顔を見ながら、説明してくれた。

「日本で多くの起業家を生み出している人がいて、フォーブスの表紙を飾ってくれたので、その人に会いたくて、今回招待状を出したんだよ」、とニコニコしながら、「良く来てくれたね」と言外に語りながら、僕のことを歓迎してくれた。

このコンファレンスの招待状が僕の手元に届いたのは、今年の7月中旬であった。僕は、招待状を読んでビックリした。参加費が数千ドルもするCEOコンファレンスを特別に無料にしてくれるのだという。「これは、行かないわけにはいかない」と思い、9月上旬の予定を全てキャンセルして、急遽シンガポールに行くことにした。

「どうせ参加するなら、スピーカーになりたい」、と思い、主催者側に掛け合い、キーノート・パネラーに加えてもらったのだ。ちょうど同じ時期に、米国のレッドヘリング誌から、香港で開催される予定の「レッドヘリング・アジア」へのスピーカーとしての招待が来ていた。スケジュール的にも無駄が無いので、8月末から9月上旬にかけて、香港とシンガポールのスピーチ行脚が決まった。

海外のコンファレンスには、可能な限りスピーカーとして出ることにしている。当然、その方が面白いし、グロービスの知名度が上がるし、多くの方々と友達になりやすいからだ。そうは言っても、スピーカーとしての価値が無いと、呼んでくれない。だからこそ、日々英語のコミュニケーション能力と頭を鍛えることにしているのである。ま、それでも大したものではないので、何とかハッタリで誤魔化すしかない。

ちなみに、10月末には北京で、ビジネスウィーク誌のCEOコンファレンスが、11月上旬には香港で、ベンチャーキャピタル・コンファレンスがそれぞれ開催される。11月下旬には、ニューデリーで、ダボス会議を運営する世界経済フォーラム(WEF)主催のコンファレンスがあり、12月上旬には、ムンバイでベンチャーキャピタルフォーラム。これら全てのコンファレンスにスピーカーとして参加する予定だ。

従い、9月に香港 - シンガポール、10月末に北京 - 香港、11月末にインドのデリー - ムンバイ(ボンベイ)と一連のアジア出張シリーズが行われることとなる。今年は、フォーブス・アジアの表紙を飾ったので、スピーチの誘いが多い。この機会にアジアでのプレゼンスを上げるべく、海外出張スケジュールを組んだのである。

バスが、夕食会が開催されるセントサ島に着いた。以前はロープウェイでしか行けない島だったが、今は橋で渡ることができるから便利だ。この食事会には、80名程度が参加していた。同じテーブルには、スティーブ・フォーブス氏や、森ビルの森稔社長が奥様同伴で着席されていた。

グラスにワインが注がれたので、早速テイスティングをしてみる。口当たりがまろやかで、僕の好みの味である。フランスの大手金融機関である、ソシエテ・ジェネラル社がスポンサーであるからか、ワインも豪華である。ほどなくして、英語が流暢なフランス人のワイン・コンサルタントの方がマイクを持って説明してくれた。

「結局悩んだ末、赤ワインは、二本ともボルドーを選ぶことにした。ちょっと若いけど、ビンテージがいいので、ムートン・ロートシルトの1996年ものを選んだ。3時間前にデカンタして、酸素をいっぱい吸わせた上で、再度ボトルに戻した」。

なんという用意周到ぶりであろう。全部で20本以上はあったと思う。「もう一つのワインが、シャトー・ペトリュスの1994年ものである」。一本10万円以上はする、という。美味しいからついついクイクイと飲み進んでしまう。ワインの味を堪能し、気分が良いまま初日のレセプション・ディナーを終えた。

翌朝、朝食ミーティングを一つこなしてから、コンファレンスの会場に向かった。シャングリ・ラの大会議室は、スーツを纏った500人のCEOで埋め尽くされていた。その中には、チラホラと赤、緑、白などのドレスやスーツを着た女性CEOも参加されていた。女性比率は5%ぐらいだろうか。

スティーブ・フォーブス氏の挨拶の後で、早速コンファレンスがスタートした。僕の出番は、二番目である。最初のパネルは、「成長とリスク」をテーマにしていて、日本からは島田晴雄先生らが参加されていた。島田先生は、英語が流暢でダイナミックである。会場をどっと沸かせるコミュニケーション能力を持っていた。

僕のパネルの出番が近づいてきた。テーマは、「投資」である。「アジアのどの地域の、どの商品に投資をすればいいのか」をディスカッションする場である。ビリオネアも多いから、今アジアで何が起こっているのかに興味があるのであろう。

錚々たる方々の参加に、僕は今までに無い緊張感に包まれていた。しかし「ま、なるようにしかならないさ」といつものように開き直り、パネル・ディスカッションに臨んだ。

2006年9月5日
成田に向かう飛行機にて執筆
堀義人


※ご参考
1.フォーブスの表紙の記事
http://www.forbes.com/home_asia/global/2006/0213/056A.html

2.レッドヘリング誌のスピーチの模様は以下サイトをご参照ください。

Japan Entrepreneurship Returns
Startups and small venture capital firms gain more respect,
and financial returns, in land of the rising sun.



小林雅のベンチャーキャピタルブログ

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