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2010年4月 5日 (月)

組織人 グロービスの入学式の風景〜教育のパワーを信じる

桜が満開の春の日に、スーツ、ドレス、和装、さらには民族衣装のビジネス・パーソンが東京・麹町にあるグロービス経営大学院に集まってきた。そう、本日はグロービス東京校の入学式なのである。

午前中10時からは、英語のMBAプログラムの入学式。午後2時からは、日本語のMBAプログラムの入学式が執り行われる。午前中の学長の挨拶は英語で、午後の挨拶は日本語だ。桜が咲き誇るこの時期に新しい「創造と変革の志士」達を迎え入れられるのは、この上ない喜びだ。

現在、世界最大規模の経営大学院は、ハーバード・ビジネス・スクールであるが、日本で最大規模なのは、実はグロービスになった。本年度初めて300人超のMBA生が入学する予定だ。英語のプログラムの過半数は、既に外国籍の学生となっていた。

一方、日経キャリアマガジン誌が選ぶMBAランキングでも、グロービスは二年連続日本一の評価を受けている。今までは、ハーバードのMBA生が世界的に活躍してきたが、これからは、グロービスのMBA生が世界に羽ばたく番だ。創造と変革の志士の皆さんには、大いに期待するところだ。

午前10時ちょうどに、英語のMBAプログラムの入学式が始まった。教室を見渡すと、欧米、アジア、中近東、アフリカ、南米から10カ国の学生が集い、とても国際的だ。学長としての、僕の挨拶が英語で始まった。

「グロービスは、アパートの一室でたった一人でスタートした。お金も無い。信用も無い。ブランドも無い。何も無い中からのスタートだった。唯一有ったのは、健康な体と、MBAで鍛えた頭脳と、そして信念だけである。それだけであった。

だが、17年後の現在、規模でNo.1となり、ランキングでも二年連続でNo.1になるに到った。これが、教育のなせるパワーだ。良い教育を受け、可能性を信じて驀進すると、多くの事が可能になる。グロービスでは皆、その教育の持てるパワーを信じている。だからこそ教育に力を入れてきた。そして、その教育への思いが、グロービスを日本のトップ・スクールへと引き上げたのである」。

学長の挨拶の次は、学生代表の挨拶である。先ずは、ドイツ出身の学生からだ。原稿を持たずに、立派な挨拶をされた。僕よりも上手いのでは、と思えてきた。次は、フィリピン出身の学生だ。彼は、フィリピンの銀行マンで、グロービスの評判を聞き、グロービスのMBAに出願することを決めたのだという。家族をフィリピンに残し、仕事を退職して、単身で来日された。東京に来てまだ5日しか経っていないという。「彼のためにも、良い教育を施さなければ」、と意を強くした。

そして、教授陣の挨拶だ。教員も国際的だ。米国、カナダ、ドイツ、フランス、インド、ポーランド他、国際性がとても高い。皆、教育に強い思いを持つ人ばかりである。

式典後、写真撮影を屋内と桜の木の下で2度行い、2階の懇親会場に向かった。会場では、一人一人に声をかけてまわった。なるべく多くの学生・教員と話したいと思い、会話を適度に切り上げては、参加者の間を縫うように挨拶をしていない方を見つけ、握手して回った。12時30分となり、懇親会はお開きとなった。素晴らしい入学式だと思った。学生と教員の方々に挨拶をして、5階にある僕のデスクに戻った。

靴を脱ぎ、立食パーティで疲れた足をほぐしながら、新聞や雑誌に目を通した。1時30分過ぎから、次の日本語のスピーチの原稿に目を通し、直前の変更を加えたりした。

そして、2時前に日本語のMBAプログラムの入学式に参加するために、1階のホールに向かった。式典が始まった。学長の挨拶があり、学生代表のスピーチがあり、教員からの一人一人のメッセージが寄せられた。英語の入学式に負けず劣らず熱い言葉がハートに響いてくる。

写真撮影をして、懇親会会場へ向かう。日本語のMBAプログラムは、英語の10倍以上の規模である。5つのセクション(クラス)に分かれて写真撮影を行い、懇親会の会場も5つに分けて開催された。僕は、5つの会場を出たり入ったりしながら、15分刻みでまわった。僕は、可能な限り家族の方にご挨拶をするように心がけた。学生の皆さんが、学びに集中できるようにするためには、ご家族の理解を得る事がとても重要だからだ。5時となり、各会場で一本締めが行われ、懇親会はお開きとなった。

僕は、一通り挨拶をした後に、自分のデスクに戻り、足をほぐしながら感慨にふけっていた。

素晴らしい学生や教員・スタッフに恵まれて本当に幸せだと思えた。グロービスの良い点は、学生・卒業生や教員・スタッフが一体となり、アジアNo.1に向かって邁進している点だと思う。大学院の評価を決めるのは、卒業生の活躍である。だからこそ、グロービスは、学生・卒業生が活躍してもらうために、最善の努力をする。教育の場は、真剣勝負だし、卒業後も関係性は続く。

一方、学生・卒業生も皆、同じ目標に向かって頑張っているのがとても嬉しい。何せ、学生もグロービスも双方が成長しないとアジアNo.1になれないのだから。いわゆる運命共同体だ。そして、その成長するプロセスを、その人生をみんなで楽しんでいきたいと思っている。

そういう点では、グロービスの良さは、教育の可能性を信じ、多くの学生の可能性を信じ、僕らもアジアNo.1になれることを信じている点だとも言えよう。その強い思いや成長願望が伝播し、固有の学風を生み出し、多くの「創造と変革の志士」を引き寄せているのだ。

次週日曜日は大阪・名古屋校の入学式だ。本日同様に朝10時から大阪校で入学式・懇親会があり、その後名古屋に移動して、名古屋校で入学式・懇親会が執り行われる。次週もダブルヘッダーだ。東京での日本語・英語のMBAプログラムばかりでなく、大阪・名古屋でもリーダーを育てるのである。

東京、大阪、名古屋から、「創造と変革の志士」たちが輩出され続けるかと思うと、とてもワクワクするとともに、心強く思える。その学生たちが、羽ばたき日本で創造と変革の嵐を巻き起こしてくれるならば、日本の未来は明るいと確信できるからだ。

東京校を出て、自宅で着替えた後に、家族とともに、靖国通り沿いの中華料理店に向かった。夕食後に、軽く桜の下を散歩して、家路に着いた。小雨混じりの花曇りの日曜日だが、気分は晴れ晴れとしていた。

2010年4月4日
自宅にて執筆
堀義人

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コメント(5)

  • 大変恥ずかしながら、このブログを拝見するまでグロービスは、「米国にMBAを取りに行くまではできないけれど、日本で同等のスキルを手早く身につけたい日本人のための夜学校」、くらいの認識しか持っておりませんでした。

    新しい価値観を持った日本発のグローバル人材が続々と輩出される姿にはわくわくします。彼ら、彼女らは、英語での教育であろうと出身国が様々であろうと、きっとそれぞれのやり方で「日本」をその精神のどこかに宿してることでしょう。

    海外の有為な人材がどんどん日本を目指してやってきたくなるような環境を作っていくことは、我々現役世代の為すべきことの一つだと感じています。

    是非、世界に誇れるMBAプログラムを築かれますよう祈念しております。

    投稿者: 鈴木英介

  • 堀さん

    コラムありがとうございます。
    私も1月より単科生で通わせて頂いてます。

    クリシン1が終わり、定量分析、リーダーシップ基礎を
    今週から受講してます。

    行かせて頂いてとても良かった点が
    1、クラス講師レベルが高くリーディングが素晴らしい
    2、練り込まれた講義と実例での演習が実践に活かせる
    3、受講されている方々の意識が高い(知名度の高い企業からが多い)

    学びの場に様々な工夫と、気付きを与える進め方などが満載で
    楽しく学ばせて頂いております。

    本日もクラスがあり楽しみにしてます。
    仕事が忙しく大学院など想像出来なかった自分が、堀塾をきっかけに
    受講させて頂き、とっても良かったです。

    投稿者: 寺澤

  • 堀学長

    お疲れ様です。入学式に参加させて頂きました。
    このような場を作って頂き、ありがとうございます。

    この入学式に臨む同期は、各自思いを新たにしていたようです。例えば、

    ・ある同期は、入学式の前日墓参りにいって決意を新たにしたらしい。

    ・ある同期は、入学式に両親・彼女を連れてきた。仕事一筋でやってきた親父なら、
    グロービスのすごさを肌で感じてもらえるだろう、と。
    両親・彼女の疑念は払拭され、一番の協力者になった。

    ・ある同期は、入学式当日朝、いても立ってもいられずランニングと水泳をしてきたらしい。
    体を動かしながら、自分の決意を新たにしたらしい。


    和やかな雰囲気の中にも、それぞれの決意が伝わる場でした。
    これも、事前に入学オリエンテーションをしていたからだと思います。

    スタッフの皆様にも感謝を申し上げます。

    投稿者: 2010期入学者

  • 堀学長

    力強いメッセージ、誠にありがとうございます。
    こちらに返信してよいのかわかりませんが送信させていただきます。
    電車内からでスマートフォーンを使ってのタイピングで誤字等がありましたらご容赦ください。

    学長がご挨拶で「このような激動の時代だからこそ、これから私たちグロービス
    のGMBAが活躍する時代が必ずやって来る。」と入学式で言われた言葉が
    大変印象に残っております。

    本科生として一度は入学試験で不合格となり、大変辛い思いを経験した自分に
    とってはとても感慨深い励みになりました。
      
    今思えば、「あなたは、創造と変革の志士を目指すには志が足りないのです。」
    と不適格人間のレッテルを張られたような強烈なメッセージであったのですが、
    もしあの不合格がなかったら、自分はこれほどまでにこの入学式での感動を味わうことは
    できなかっただろうと今は思えます。

    あの不合格があったからこそ、私は自分に対して、「本当に自分はグロービスの
    MBAを必要とするのか?どんなに辛くとも最後までやり抜く覚悟はあるのか?」を
    考え抜き、そして答えを与えてくれました。

    MBAは目的ではなく手段である。私の使命は変革を引き起こすための志士になって
    世の中を正しい方向に導き、企業と言う人の集まりを動かしてそれを実行して行く
    ことなのだと。

    会社に勤めるのではなく、私自身が会社に影響を与え、動かして価値を産み出す
    源泉になるのだと。それを可能にさせるための覚悟を持つ勇気を与えてくれるのが、
    MBAであり、そこで学びを共にする人々なのだと。

    今家についたところです。本当にこの志を持たせてくださったグロービスの設立
    と学長の志に感謝いたします。ありがとうございます。

    投稿者: 林徳広

  • 人材の国際的スキルUPは必修ですね、日本の企業でもミーティングはすべて英語になるでしょうね(三木谷さんの楽天はすでにミーティングは英語、社員の6人に1人は外国人です)。海外でも友人にYOSHI(私の名前がYOSHIHIROですので)英語とビジネスは不可分、車、事務所は所有するのでなく必要な時だけ使用、何度も言われました(藤田田さんも言っておられますね)。それほど国際化は高速で進んでますね。素晴らしい人物の育成期待しています。

    投稿者: 上羽

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