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2011年3月 9日 (水)

政治・社会 「御破算選挙」を! ~もう不毛な抗争はヤメてくれ

前原外相が辞任した。焼肉屋のおばさんから、たったの25万円の献金を受け取ったことによる辞任だ。その前に、仙石官房長官と馬淵国土交通大臣が、問責決議案を可決されて、辞任した。小沢一郎氏は強制起訴により党から離脱を余儀なくされつつある。

恐らく次のターゲットになるのは、細川厚生労働大臣であろう。そして、最後には、菅首相が任命責任をとらされるのであろうか。

そもそも、この「粗さがし」による「仁義なき戦い」は、自民党政権の時に、野党であった民主党が仕掛けたものであった。柳沢厚生労働大臣や太田農林水産大臣を言葉狩りし、事務所費用問題で松岡農林水産大臣を退任させ(結果的に自殺)、赤城農水相を辞任させるところまで追いやったのと同じ手法だ。

基本的な手法は、簡単だ。些細な法律の瑕疵を突くか、問題発言を指摘する。国会で質問をすることにより大きな問題に仕立て上げ、マスコミを扇動し、辞任するまで執拗に攻撃を続けるのだ。必要に応じて審議拒否をすることにより、辞任するまでその問題を引きずり続けるのだ。与党が参議院の過半数を失うと、問責決議案という武器が手に入るので、最大限に活用する。このテロ攻撃に耐えられないので、ターゲットとなった政治家は、一人一人と去っていくのだ。

民主党がとったこの手法をそのままそっくり、今度は自民党がお返ししているのだ。敢えてセンセーショナルに訴えるために、「テロ攻撃」と呼ぼう。そりゃ、自民党からすると仕返ししたくなる。仁義なき戦いの中、テロ攻撃により同志がバタバタと去っていったのだから。まともな政策論争をしての採決・否決よりも、最も効果的な手法が、このテロ攻撃なのだから、使わない手はない。自民党からするとこのテロ攻撃で、政権を取られたようなものだから、同じ効果的な手法をやり返しているだけなのだ。

やくざの抗争に例えるのが妥当かどうかは、わからないが、結果的に損をするのは、双方の組(党)であり、最終的には、巻き添えを食う住民(国民)である。もうこういうテロ攻撃をやめさせなければならない。

そもそも、シマを仕切ることになった衆議院選挙の民主党のマニフェストには、問題が多い。財源の根拠が無く、実現性が低い政策が多いのが実態だ。これは、現民主党の幹部も認めている。それにも拘わらず、マニフェストを変更せずに、バラマキを続行し、財政の破綻を早めているのだ。

政権が変わってから導入された(或いは導入しようとしている)施策は、良いものはあるが、総和としてはマイナスなものが多い。郵政民営化逆行法案、中小企業へのモラトリアム法案、派遣法の強化、農家戸別所得補償・公立高校無償化等バラマキによる財政の悪化等だ。外交もガタガタしているし、年金の主婦への救済策など正当な手続きを経ていない施策も出て来ている。

今、国会がねじれていて、予算関連法案が通る見込みがないどころか、審議に入るめども立っていないようだ。外交も滞るし、諸外国からの信頼も低下している。であれば、この「仁義なき戦い」をやめて、話し合いをして、「御破算に願いましては」とゼロベースに戻しては、どうか。つまり、選挙をやってはどうであろうか。テロ攻撃ではなく、正当な方法で雌雄を決するのである。名付けて、「御破算選挙」だ。

その選挙を行う際には、以下手続きが重要となる。

(1) 予算関連法案を参議院で否決し、支出を徹底的に切り詰める。
(2) その間に与野党が協議して、インターネット選挙解禁法案と一票の格差を縮小する選挙区割り変更法案のみ可決して、衆議院を解散する。
(3) 財源の根拠があるマニフェストを再提示し、国民を巻き込み徹底的に論戦する。
(4) 勝った方のマニフェストに、野党優位の参院も従うことに同意し、速やかに改革が実行できるようにする。
(5) 更に、どちらが負けようが、野党としての振る舞いにも、選挙前に合意する。
具体的には、
・国益を考えて、揚げ足をとる、審議拒否する、くだらない問題を責め合う等のテロ攻撃をやめる。
・大臣クラスを国会に足止めしないで、行政に専念できる体制をつくる。
・どちらが勝っても、記者クラブ制度をやめ、ぶら下がり取材も中止することに双方が力を合わせる。
・ねじれ国会で、参議院で問責決議案が可決されても辞める必要が無い、と申し合わせをする。

当然、国民はマスコミに対して、「粗さがしよりも重要問題を」と、「政局よりも政策を論じよ」、と訴え続ける必要がある。

国民の為にも、双方の政党のためにも、自民・民主他政党が手打ちをして、是非「御破算選挙」を実施して欲しい。「もうこういうのを、ヤメようよ」つまり、「もう不毛な抗争を、ヤメてくれ」と言うのが、国民からのメッセージだ。だからこそ、「御破算に願いましては」とゼロからやり直しては、どうだろうか。

多くの国民は、それを望んでいると思う。少なくとも僕は、それを切に望んでいる。

2011年3月9日
堀義人

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コメント(9)

  • 前原さんの裏社会からの献金がもうじき表にでます。
    政治家の肩を持ち過ぎると、恥ずかしい思いをするかも知れませんよ。

    投稿者: 深澤

  • いつもブログでのご意見を学ばせていただいています。
    以前、グロービスの公開授業を受けさせていただいたことがあるものです。

    私もいろいろな政治家の方を存じ上げておりますが、
    マスコミが報道する人物像と、実際のご本人の人柄とのあまりの落差に愕然とすることが多々ありました。
    やはり、健全な民主主義を担保するためには、健全なマスコミの存在が不可欠であり、そのためにも記者クラブ制度の改革をはじめとするマスコミ改革は絶対に必要だと感じております。

    あと、もう一点懸念しているのは、結局、選挙をして一番喜ぶのはマスコミだという事実です。ご存知の通り、ネットの台頭によって、既存のマスコミ媒体は軒並み経営が苦しい状況にあり、広告費はじめ多額のお金が飛び交う国政選挙は、誰よりもマスコミが望んでいるところだということです。2年前、この民主党を選んだのはいったい誰でしょうか?もちろん投票した国民に責任はありますが、それを衆院選予測で民主党が3分の2以上を占めると煽りに煽ったマスコミにも責任があると私は思います。マスコミ自身が選んだ政党を、1年もせずに手のひらをかえすようにたたきにたたき、早く次の国政選挙にもちこもうとしているのはマスコミ自身に他なりません。マスコミとしての公益性に配慮することなく、ただ自分の売上部数を確保しようという極端な売上至上主義に私は反対します。
    私はこの、国民の幸福というものを食い物にして、自社の保身をはかろうとしているマスコミに大変憂慮しております。

    良識あるマスコミが生まれるためには、マスコミの自浄作用が働くような環境が必要であり、固定化された既得権益は極力自由化していくべきだと感じます。記者クラブ制度しかり、電波権の競争入札による更新しかり、メディア会社の資本規制しかり、透明性と自由競争の環境をつくっていくべきだと思います。

    今後とも堀さんが日本の言論をリードされるお一人となっていかれることを、心から願っております。

    自称、創造と変革の志士の一人


    投稿者: Mak

  • はじめてコメントを書かせていただきます、なかしまと申します。
    blogはもとより書籍やtwitterしかり、いつもグロービスのお取り組みについて興味深く拝見いたしております。

    この度のコラムも関心を持って読ませて頂いきました。
    ご主張はもっともですし、御破算への手続きについても賛同致すところです。
    但し、2009マニフェストが目指すところをもう少し掘り下げてご理解頂きたいと感じました。
    現在の省庁積み上げ式の予算ですと無理なことはある意味承知の上。
    これを(国民の生活が第一の視点で)政治主導によって組み替えることで実現させたいと、
    あるべき姿を掲げたのが09マニであると私は捉えています。

    現在の混迷は09マニを推進することで民主主義に一歩でも近づきたい民主党Aと
    この本質をわきまえていない民主党Bとの対立、VS野党の構図になっているわけです。
    民主党Aとしては既得権益者との確執はあってしかるべき壁、このスレッショルドを越えない限り大儀は成しえない、有権者にこの点を理解して欲しい。
    また公選法の改正や記者クラブの解体は更に時間のかかる問題です。
    これを御破算選挙後のあるべき姿に求めることは09マニ以上に無理のある話ではないでしょうか。

    願わくば有権者が09マニの本質をわきまえた上でのこの御破算選挙が行われることが望まれると切に思う次第です。
    また、少し楽観的に書きますと、今の混迷というのは中長期においてはいいことだと、
    今後の日本のあるべき姿とのGAPを埋める作業としては必要な儀式なのかなとも感じています。

    つたない文面で恐縮です、今後もグロービスのご活躍を応援しております。

    PS.いつか九州にオフィス/キャンパスが出来ることを願っています

    投稿者: なかしまやすお

  • 堀さんの「御破算選挙」案を全面的に支持します。管さんに直言して下さい。

    投稿者: Hayama

  • 鳩山さんは魔女狩りにあって良い人だと思う。
    前原さんは企業舎弟の問題があるから、仕方が無い部分もあるが、辞任まではと思う。

    こうした判断を主権者が出来れば良いのだが、選挙の時だけしか「主権」がないから、傍観するしかない。
    問題はこうした魔女狩りをするのが、同じレベルの「能力程度」の人がするから、おかしくなる。さらに言えば、新陳代謝なのだから、さらに良い人が変われば良いが、「更にレベルが低い人」が順当になるので、より悪くなる。

    数年の議員でも、民主党の代表になる志と行動を持つ時代へきている。
    議員年数で選んでもらっては困る。

    投稿者: 魔女狩りは醜い

  • 至極同感です。
    毎日、報道に触れるたびに、これが国のトップの議論なのかと思っています。
    実態の全てを知らない私は、それとも、マスコミに踊らされているだけなのか、とも。
    (国のトップがこんなにレベル低いわけないよね、、、、と)
    時代・環境が変わったので、政治の仕組み、選挙の仕組み をそもそも変えないと、このレベルの低い陣取り合戦は終わらないのではと思っています。
    志のある政治家はいないのか~~~!!!!
    野党に志のある人がいないと、終わらないと思っています。

    少なくとも、企業家・起業家には、堀さんはじめ、志の高い方がたくさんいると思っています。
    新たな日本・新たな世の中を作る必要がありますよね。

    人の文句ばっかり言ってるのは好きではないので、私は私のできることを考えて、少しでも何か役に立てるよう日々精進しようと思います!

    投稿者: mken

  • 清廉潔癖よりは大局が大事なのは同感です。
    日本の「マスコミ」はエンターテイメントであって、ジャーナリズムではないと感じます。

    投稿者: Masatoshi

  • 堀さん

    ご無沙汰しております。
    ダボス会議のメールから、すごく楽しみにコラムを拝読しております。

    ダボス会議の時も、マスコミなどの情報しかない私は全く興味を持つことができなかった内容だったのに、堀さんのコラムですごく身近に感じただけでなく、有意義な気持ちになりました。

    その時から、「堀コラムファン」なのですが、なかなか私のレベルでのメールでのコメントはうまくできないと思うイチ読者でした。

    ただ、前原さんの件や今回のコラムを読み、いつも私が感じていることと、同意見! たぶん世間にほとんどの人がそう思っているのにマスコミや、もっと上の世代の人とのギャップがあり、「政治はどうしようもないけど、いってもしょうがない」という風潮になっているのを懸念しておりました。

    堀さんがこうやって立ち上がって、訴えたい気持ち、大賛成です。
    応援しますので、どんどん、書いてアップしてください。

    私は、政治や行政待っても何もできない。というあきらめモードでありましたが、応援したい気持ちでいっぱいなので、このメールでますます、堀さんが勢力的に動く気持ちが働くのならと思い、勇気を持ってメールしました。

    ちなみに、私は3年前に夜22時まで預かる、民間の学童保育をオープンしたのも行政を待てないからなのですが、この3年間で急激に民間の学童保育が増えました。さらには、他業種、塾、スポーツジム、保育園などが、遅くまで預かる学童保育を併設するという傾向になってきました。しかし、まだ行政はあいかわらず、18時までしか預かりをしていない現状があります。

    本当に社会を動かすのは堀さんみたいな人なんですよね。
    これからも、コラム及び、活動楽しみにしていますので、どうぞよろしくお願い致します。

    投稿者: 末木佐知

  • 全く同感です。
    しかし、ご破算選挙のあとには楽観はしていません。
    人間は、一人ひとりの能力に差はあるものの、誰にも限界はあると思います。
    ここまで混迷を深めている日本の政治状況のplayerである政治家達に必要なのは、人間性、人格だと思います。 
    一寸先は闇と言われる世界のことです。政治力や思惑や既得権益や、意味の無い大義名分やそれこそ仁義などに関わっていたら、いつになってもレベルの高い政治は望むべくも無いでしょう。
    民主党だって、自民党だって、誰もが足の引っ張り合いをしてこのような状況を長引かせることを良しとしているわけではないでしょう。
    今の日本の政治状況を見ていると、政治って何なんだろう?と疑問に思わざるを得ません。
    今のような状況の国を治め、国民の幸福を追求できるリーダーに必要なのは、その人が判断し、決断したことであれば、とりあえず聞いてみようと思わせることのできる、物の本質を理解していて、人から信頼される、ぶれない人格なのではないでしょうか?
    そういう人格を持った政治家を求めるのは無理なことなのでしょうか?
    完璧ではなくても、より良いリーダーを選ぶためには、仰るようにマスコミがきちんと国民に情報を流さなければなりません。
    私達国民ももっと自分のことだけではく、社会の他者のことを考えて政治家を選ばなければなりません。
    多数の民を治めるという事の難しさを感じます。
    その国の政治のレベルはその国の国民のレベルを表すと言われます。
    今こそ一人ひとりの行き方、人生観を問われているのかもしれません。

    投稿者: 坪井直子

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