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2016年7月20日 (水)

日本人・アジア人・地球人 次期都知事に望む3つのこと

※この記事は日経産業新聞で2016年7月15日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

東京都知事選が14日に告示され、31日に投開票となる。都知事は2020年の東京五輪・パラリンピック(東京オリパラ)に向けて、東京の都市整備の方向性を決める主導的役割を担う。とても重要な選挙だ。

前回の1964年の東京五輪では、国道246号線の青山通りが拡張され、新幹線ができ、さらに首都高速道路が通った。ビジネス的にも警備会社が立ち上がるなど、五輪は様々な変化を起こす原動力になった。

20年の東京オリパラの隠れたテーマはテクノロジーだと思う。無人のタクシーが観光客を乗せて動き、ロボットが接客をする。競技中はドローンを使った空撮がさかんになるであろう。出場選手・チームはビッグデータと人工知能(AI)を使って戦略を練り、理詰めで勝利や記録更新を狙うだろう。

パラリンピックの選手は改良された義手・義足などを装着し、オリンピック選手を超える記録を出す可能性が高い。インターネットによる民泊が当たり前になり、世界中でスマートフォンによる視聴が普通になるはずだ。

僕は社会人になった24歳から約30年間ずっと東京に住み続けている。移り変わる街並みは刺激的で、東京の進化にわくわくする日々を過ごしてきた。首都圏1都3県に3500万人が住み、世界の都市圏の中でも圧倒的に大きな人口を擁する。ニューヨークや上海の都市圏よりも倍近く大きいのだ。

僕は都心に住んでいるが、最近ではほとんど渋滞に遭遇することもなくなった。首都高速道路もスムーズに流れていることが多い。来日する人は皆口々に、東京は人が優しく、食事はおいしいという。治安もよく、清潔で、街並みが奇麗だと褒める。さらに、複雑に張り巡らされた電車がぴたっと定時で運行されることに驚いている。総じてとても評判がいいのだ。

こんなに機能的で快適で大きな都市へと変容した東京。僕ら東京都民は、都知事に何を望むべきなのだろうか。

1つは、子どもを生みやすく育てやすい環境をさらに整備してほしいということだ。僕は5人の子どもをもつが、2015年の東京の出生率は1.17しかない。全国1位の沖縄県の1.94と比べると雲泥の差だ。待機児童問題の解消に向けた幼稚園・保育園の整備を進め、子どもの笑顔があふれる街になって欲しい。

2つ目としては、東京のグローバル化にさらに取り組んでほしい。東京ではベンチャー企業が育ってきた。だが、弱点はグローバル化だ。ベンチャーや旧来型企業のグローバル化のためにも、東京のグローバル化を進める必要がある。税制や教育、住環境の拡充を進め、外国人がさらに住みやすくなる環境を整備してもらいたい。優秀な人が世界から集まれば、お金や知恵も東京にどんどんと入ってくるであろう。

3つ目は文化だ。美術館・博物館は増えているが、ちょっと時代が古い。東京らしく新しい文化を伝えるクールジャパンの発信拠点があっても良いと思う。漫画やアニメ、ゲームキャラクター、ポップミュージックなどを体系的に示し、世界から高く評価されているポップカルチャー都市の地位を揺るぎないものにしたら良い。さらに、東京には夜のエンタメが少ない。特にミュージカルなどのパフォーミングアーツの部類が少ないので拡充できると良い。

英国のグローバル情報誌「MONOCLE(モノクル)」が発表する「住み良い都市ランキング」で、東京が15年から2年連続で第1位に選ばれた。世界ナンバーワン都市、東京の知事選では、主要な候補者が争点を明確にしてぜひ議論をしてほしい。パフォーマンスを重視したり、対立を生みだしたりするのではなく、目立たなくてもまじめに衆知を集めて実行してくれるリーダーを期待したい。

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