起業家の風景(エッセイ) 起業家の風景 一覧へ

2017年8月 2日 (水)

日本人・アジア人・地球人 【日経コラム】人生最大の娯楽は学びだ

「人生を楽しむことの天才」。僕は自己紹介欄に必ずそう記載している。妻からは、「天才と自らを呼ぶのは、あまり感じがよくない」と言われるが、一向に気にしていない。小さい頃から遊ぶこと、楽しむことが大好きだったからだ。好奇心を働かせ、何か楽しそうなことがあればすぐに試し、もっと楽しいことがないかを日々探しながら生きてきた。20代には毎晩のようにディスコに繰り出し、30代にはできる限り子どもと遊ぶ時間をつくった。40代には囲碁やスノーボードを楽しみ、水泳の大会にも出場するようになり、50代では山登りを始めた。

一口に楽しみといってもいくつかの種類に分類できる。1つ目が享楽的、刹那的な楽しみだ。僕の場合は親しい仲間とお酒を飲み、ディスコやクラブで踊り、夜通し遊ぶことである。この楽しみの特徴は、翌日に反省することが多いことだ。「ついつい飲み過ぎた、ハメを外し過ぎた、散財してしまった」となる。だからこのタイプの楽しみは長続きしない。

2つ目は人間と知り合う楽しみだ。パーティーやイベントを開催したり、夕食会や勉強会に参加したりすることだ。これらのネットワーキングは、「社会的動物」である人間として必要不可欠だ。1人では何もできない。だからこそ、人的ネットワークを広げて、得意分野が異なる仲間で役割分担して行動することが重要になる。新たな人間に出会う楽しみは生産的だ。だが、それだけを目的にすると疲れてしまう。

3つ目の楽しみが、自らの成長が実感できる「学び」である。英語の学習、スピーチ能力向上、人間関係能力の熟練、テクノロジーの習得などだ。MBA(経営学修士)を取得しに大学院に通うのも典型的な方法だ。そして学びは知識・能力面だけにとどまらない。心・技・体の面で、自分の成長が実感できるものを指す。

例えば「体」の面では、僕は今、週3日プールで泳ぎ、水泳のタイムを縮める努力をしている。いつかは年齢別の世界記録を出すことを目標に掲げている。「技」の面では、囲碁でいつか高段者になりたいと思い、棋士の対局を見て勉強し、棋力を養っている。「心」の面では、米国のアスペン研究所で西洋哲学を学んだり、インドのアシュラムに1週間滞在して、東洋哲学を学んだりしている。

「学び続けていると疲れないですか」と言われるけど、これがまったく飽きることがないのだ。飽きるどころか、寝る間を惜しんで取り組み、心から楽しんでいる。僕は毎年、元日に自分の成長のためのテーマを設け、自分なりに教育プログラムをつくり、お金を投資したり時間を配分したりして、計画的に学ぶようにしている。今では、時間が足りないぐらいだ。

「3つの分類の中で、どれが一番楽しいのだろうか?」と自らに問いかけてみた。すると、ありとあらゆる楽しさを体感して至った結論は「最大のエンターテインメント(娯楽)は学びである」ということだ。

結局、一番楽しいと思えるのは、昨日できなかったことが今日できるようになり、今日できることが明日にはもっとうまくできることになる、という自らの成長だ。そのためのプロセスであれば、つらいと思えることであっても楽しめるようになるものだ。

もちろん楽しみを1種類に限る必要はない。僕もときには銀座や六本木のクラブで享楽的に楽しみたいと思う。これからもダボス会議などに参加しながら様々な人との出会いの輪を広げ、いろんな刺激を得たいと思っている。つまり、享楽的・刹那的な楽しみ、新たな人間と出会う楽しみを味わいながらも、徹底的に自らが学ぶ楽しみも享受していきたいと思っている。

自称「人生を楽しむことの天才」の一意見だが、皆さんが楽しく生きるための参考になれば幸いだ。

※この記事は日経産業新聞で2017年7月28日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

トラックバック(0)

この記事のトラックバックURL :
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/45572/65611219

コメント(1)

  • 堀さん、こんにちは。グロービス福岡校2017期の司法書士の丸田幸一と申します。この度はグロービス経営大学院に入学させていただきありがとうございます。
    堀さんの「人生最大の娯楽は学びだ」に100%賛同してしまい、思わずコメントを投稿してしまいました。

    ちなみに、私は松田聖子の10日後、堀さんの4日前の1962年3月24日にこの世に生を受けており、3人は同級生ということになります。というか、この年は司法書士会においても、とあるビジネス交流会においても危険な(笑)同級生が多いな、と感じる日本にとって収穫多い年だったような気がします。

    余談はさておいて、そのレベルは堀さんの足元にも及びませんが、私も人生を天才的に楽しませていただいております。
    子供の頃は、勉強そっちのけで野山を駆け巡り、学生時代は卓球とランニングの傍ら、留学生を捕まえては4000時間のフランス語の練習に明け暮れたのちヨーロッパを放浪という勉強と見聞の日々。

    20代では死ぬほど不動産の電話営業・飛び込み営業をし、ビジネスマンとしてのマグマを刹那的に醸成。
    そして脱サラ・土方をしながらの7000時間の司法書士試験勉強で成功体験の獲得。
    事務所開業後は、テレビカメラを引き連れて闇金事務所に突撃、私の全国初勝訴判決事件の全国5紙掲載、福岡県内巡回法律相談立ち上げ、業界での劇団立ち上げなど社会貢献に邁進。
    20年以上に亙る業界役員で人間力の醸成と人脈作り。

    50代になってからは、映画試写会の幕末解説や、ミュージカルで歌って踊って、婚活パーティで男女をひっつけ、毎月の法律講座や法律コラムも9年目に入り、『劇団・法科村塾』で幕末劇公演、最近はラジオレギュラーという芸能活動?に明け暮れて人間の幅を拡げまくっています。

    そして今、よく人から「なんで今更グロービス?」と聞かれますが、堀さんの3冊の本との出会い、グロービスに通う日々のなか「人生最大の娯楽は学びだ」と心底思っています。「なんで?」の答えはこれです。今の私にとってグロービスの名に恥じない「学び」と「実行」こそが人生最大の娯楽です。
    人間に睡眠が必要なかったらどんなに学べるだろう、どんなにことを起こせるだろうとよく考えます。

    そしてそして、ときにはちゃんと中洲のクラブで堀さんに負けじと享楽的に楽しんでいます。一度、中洲にご一緒させてください。それでは、グロービスのアジア最高・最大の経営大学院を祈念してCincin!


    投稿者: 丸田幸一

コメントを書く

お名前
メールアドレス 本サイト上には掲載しません。
URL
コメント本文(必須
コメントは管理者が公開するまで表示されません。
不適切な発言は、管理者の判断において削除することがあります。

はじめに

「起業家の風景/冒言」一覧

起業家の風景 最新コラム

起業家の冒言 最新コラム

メールマガジン配信

著書

グロービス 事業紹介